ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2024年10月01日
王位戦七番勝負は藤井聡太王位が4勝1敗で防衛。永世王位の資格を得ました。また、清麗戦五番勝負は福間香奈清麗が3勝1敗で防衛し、こちらもクイーン清麗の資格を得ています。
【第1図は△6六銀まで】
第1図は伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負第5局(▲藤井聡太王位△渡辺明九段)。いま▲5六歩として△6六銀と呼び込んだところです。▲2四飛△2三歩▲7四飛が「飛車は十字に使え」のさばき。6六の歩を取らせた効果で▲6三歩の先手になっています。以下△6三銀打▲4四飛△7七銀成▲同桂△4三銀に▲同飛成△同金▲6四歩△5二銀▲9六角と攻防の角を放ち、この後の難解な終盤戦を制しました。藤井王位は4勝1敗で防衛し、永世棋聖に続き永世王位の資格を得ています。
写真:翔
【第2図は▲7八同玉まで】
第2図は王位戦第4局(▲渡辺九段△藤井王位)。矢倉に対し後手が急戦から攻め込んでいます。△5七角成▲同飛△5六銀打▲5九飛△6七銀不成が「終盤は駒の損得より速度」の踏み込み。▲6七同玉△8七飛成▲7七銀△5六歩と畳みかけて、大きな駒損ながら先手は受け切るのが困難になりました。
写真:琵琶
【第3図は▲4五桂まで】
第3図は大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第4局(▲加藤桃子女流四段△福間香奈清麗)。飛車金両取りが掛かっていますが、後手は玉が深いのが強みです。△4七成銀が「両取り逃げるべからず」の踏み込み。▲3三桂成に△2八飛▲3二飛△5八成銀と踏み込んで、後手の厳しい攻めが続きます。以下も押し切った福間清麗が制勝。五番勝負を3勝1敗で防衛し、クイーン清麗の資格を得ました。
写真:翔
【第4図は△3三角まで】
第4図はヒューリック杯第4期白玲戦七番勝負第1局(▲福間香奈女流五冠△西山朋佳白玲)。女流棋界の最高峰は今年もゴールデンカードとなりました。先手は桂得ですが、大駒の働きに差があり形勢は後手良しです。▲9五歩が「不利な時は戦線拡大」の勝負手。△3六歩▲3八歩で持ち歩を削り、△2四角▲5八飛に△9五歩と手を戻しますが、▲9三歩と垂らして後手玉も嫌な形になりました。後にタイミング良く▲9四桂が入り形勢も逆転しますが、勝負は秒読みの中で再逆転し、西山白玲が制しています。
写真:紋蛇
【第5図は▲5九金まで】
第5図はALSOK杯第74期王将戦二次予選(▲高田明浩五段△西田拓也五段)。四間飛車対居飛車急戦から迎えた終盤戦です。単に△6七銀は▲8五銀△同銀▲4九金で逆転しますが、△5七桂が「金は斜めに誘え」の決め手。▲同金で守備を弱体化してから△6七銀打と押さえれば先手玉は受けなしです。互いに初の王将リーグ入りを懸けた一番は兄弟子が貫録を見せました。
写真:飛龍
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段