小山アマが棋士編入試験合格 2月上旬の注目対局を格言で振り返る

小山アマが棋士編入試験合格 2月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2023年03月03日

 藤井聡太王将と羽生善治九段の王将戦は2勝2敗となり、あらためての三番勝負へ。小山怜央アマの棋士編入試験は3勝1敗で合格となり、近代では初の奨励会在籍経験のない棋士誕生となりました。

第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局

【第1図は△6二同金まで】

 第1図は第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局(▲羽生善治九段△藤井聡太王将)。角換わりから攻め込んで羽生九段がリードを奪った局面です。▲4二銀が厳しい一手で「玉の腹から銀を打て」です。5三の地点を数で攻めており、△4一桂の受けに▲5三桂成△同銀▲同銀不成△同桂に再度▲4二銀が厳しく、先手の攻めは振りほどけません。以下は羽生九段の快勝となり、スーパースター同士の対決は2勝2敗と白熱しています。

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写真:玉響

第48期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局

【第2図は△4三銀左まで】

 第2図は第48期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局(▲藤井聡太竜王△渡辺明棋王)。六冠目を目指す藤井竜王対10連覇中の渡辺棋王の対決です。ここで▲2三歩が「金は斜めに誘え」の手筋で、△同金なら▲2七香と攻めて当たりが強くなっています。後手としてはそちらを選んだ方が良かったようですが、実戦は△8五桂と攻め合ったため、▲2四香と確実な攻めが実現して先手が形勢をリードしました。難解な将棋でしたが、まずは挑戦者が快勝しています。

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写真:中野伴水

第49期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第3局

【第3図は△4五歩まで】

 第3図は第49期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第3局(▲伊藤沙恵女流名人△西山朋佳女王・女流王将)。先手が快調に攻めて終盤を迎えています。玉が角筋に入っていますが、すぐに技が掛かることはありません。▲7二成銀△同金▲8三金が確実で、「寄せは俗手で」とはがしていきます。△同金▲同歩成△同玉に▲8四歩が厳しく、△7四玉に▲6六角で決まりました。伊藤女流名人が踏ん張って1勝を返しています。

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写真:睡蓮

第81期順位戦A級8回戦

【第4図は△6三桂まで】

 第4図は第81期順位戦A級8回戦(▲永瀬拓矢王座△藤井聡太竜王)。角換わりから速攻が決まり、先手がペースをつかんだ将棋です。後手も必死に粘りを見せていますが、▲5六玉が「中段玉寄せにくし」「玉の早逃げ八手の得」の負けない指し回しです。△4八竜に▲5八金と一枚入れて、先手玉は安全になりました。藤井竜王が2敗目を喫し、挑戦権争いは混沌となりました。

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写真:睡蓮

棋士編入試験五番勝負第4局

【第5図は△4六銀まで】

 第5図は棋士編入試験五番勝負第4局(▲小山怜央アマ△横山友紀四段)。四間飛車に対し居飛車穴熊から攻め込んだ先手が大優勢でしたが、終盤にもつれて混戦になりました。しかし図は再度先手が抜け出しており、▲9五歩が「端玉には端歩」の寄せです。△同歩に▲5一角△9四銀打▲9七桂と縦からの寄せを狙い、先手勝勢になりました。本局を勝った小山アマは3勝1敗で合格を決め、プロ棋士の夢をつかみ取りました

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写真:夏芽

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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