ライター相崎修司
藤井七段の3連覇達成なるか?永瀬叡王、阿久津八段、藤井七段、千田七段による早指し棋戦、第13回朝日杯将棋オープン戦の展望は?
ライター: 相崎修司 更新: 2020年02月10日
2月11日に第13回朝日杯将棋オープン戦の準決勝、決勝が東京都千代田区の「有楽町マリオン」にて、公開対局で行われる。ベスト4に勝ち進んだのは現在2連覇中の藤井聡太七段、叡王と王座を併せ持つ永瀬拓矢二冠、第2回以来11年ぶりの優勝を目指す阿久津主税八段、前回に続いてベスト4入りを果たした千田翔太七段である。準決勝の組み合わせは藤井―千田、永瀬―阿久津となっている。
それぞれ、過去の対戦成績は藤井―千田が藤井の2勝0敗、永瀬―阿久津が永瀬の6勝0敗である。そして藤井―永瀬は公式戦での対戦がなく、藤井―阿久津は藤井の1勝0敗、永瀬―千田が永瀬の6勝0敗、阿久津―千田が千田の3勝0敗となっている。
最も注目されることは何といっても藤井が3連覇を達成するかだろう。初参加からの3連覇となればもちろん史上初の快挙であり、「初参加」という言葉を抜いても、過去にトーナメント棋戦の3連覇を達成したのは羽生善治九段のNHK杯戦4連覇、朝日杯3連覇と谷川浩司九段の全日本プロ将棋トーナメント3連覇、郷田真隆九段のJT杯3連覇しかない。そして藤井が3連覇を達成すれば「同一棋戦18連勝」となるが、こちらも羽生九段がNHK杯戦で達成した24連勝、王座戦で達成した19連勝に続く記録となる。
第12回朝日杯将棋オープン戦優勝の藤井七段
特に前回は全て後手番を持っての優勝であり、その結果をみたあるトップ棋士は「朝日杯の条件で藤井君が負ける姿が想像できない」とまで言っていた。
その藤井を止める筆頭格となると、やはり永瀬となるか。過去の相性だけをみれば決勝が藤井―永瀬になる可能性が高そうだということもあるが、ベスト4の中で唯一のタイトルホルダーであり、また藤井ブームの火付け役となった「炎の七番勝負」では唯一、藤井に勝った棋士でもある。この両者はVS仲間でもあり、お互いに手の内は見知っていると言ってよいだろう。
もちろん、阿久津と千田も、この両者の引き立て役となるわけにはいかない。大きな注目を集める舞台で勝つことが棋士冥利となるはずである。
過去の藤井―千田戦は角換わりと矢倉が一局ずつであり(藤井先手で矢倉、千田先手で角換わり)、今回もそのいずれかとなる公算が高いだろう。早指し棋戦であることも考えて、自らの土俵で戦う可能性が高いとみる。
前回、第12回朝日杯将棋オープン戦での藤井七段
永瀬―阿久津戦は相振り飛車の前例も一局あるが、やはり相居飛車となる可能性が高い。直近は4局連続で阿久津が先手を引いているが、その中で相掛かりが2局ある。ただ今回の朝日杯を見ると、両者ともに全て角換わりの将棋を勝ってここまで来ているので、こちらも角換わりが本線か。
持ち時間の短いスピーディな勝負を制するのは誰か。スリリングな戦いを是非とも楽しんでいただきたい。
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