久保九段VS山崎八段のついたて将棋、糸谷八段VS菅井七段の関西エース対決など見どころたくさん 岡山県チャリティイベントをご紹介

久保九段VS山崎八段のついたて将棋、糸谷八段VS菅井七段の関西エース対決など見どころたくさん 岡山県チャリティイベントをご紹介

ライター: 長谷川優貴  更新: 2019年10月10日

9月1日(日)に岡山県の矢掛町で棋士会イベントが行われました。

こちらは昨年の7月に豪雨災害で被害に遭われた皆様を支援し、復興のためのチャリティーイベントとして開催されました。今回の実行委員は久保利明九段、糸谷哲郎八段、畠山鎮八段が務めました。

少し交通の便が良くない場所ということもあり、お客様が来てくださるか不安な面もあったのですが、今回はなんと120人を超える方が集まってくださったので、出演者一同大変嬉しく思いました。

ペア対局・トークショーなど多彩なプログラム

午前中は多面指し指導対局
10名の棋士が3~5名の方を相手に対局。今回は強豪の方も数多くいらっしゃったようでしたが、女性の方や将棋を始めたばかりの方も積極的に指してくださったように見受けられ、また楽しそうに指されていたのがとても印象的でした。

午後から行われた最初のプログラムはペア対局
今泉健司四段・北村桂香女流初段 対 西田拓也四段・長谷川優貴女流二段の戦いです。

出演者4人共が振り飛車党という少し珍しい組み合わせのため、相振り飛車が予想されましたが、エンターテイナーの今泉四段がお客様に人気の戦型をと対抗形を選択

解説は山崎隆之八段、糸谷八段ということで対局の解説ももちろんですが弟弟子の西田四段をいじり倒し、会場は大盛り上がりでした。

次のプログラムはトークショー

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久保九段、糸谷八段、菅井竜也七段、今泉四段に司会の武富礼衣女流初段で行われました。こちらも将棋のまじめな話からプライベートの話までいろいろな話題がありました。

この時の会話から後の特別対局への伏線が張られてあったのです・・・。

久保九段VS山崎八段による「ついたて将棋」とは?

3つ目のプログラムはついたて将棋

こちらは関西ではたまにある演目なのですが、対局者がなんと久保九段と山崎八段!

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他のイベントだと真剣勝負の特選対局の出演が当たり前のお二人ですが、まさかの遊び対局参戦に驚きが隠せません。

ついたて将棋とはお互い好きなように初形を組めるのですが、相手の形が全く見えないうえで戦っていくものです。今回は反則10回まで許されるとのルールでした。

形を決めてきて準備ばっちりの山崎八段に対し、改めてルールを確認する久保九段。練習もしてきて自信満々の山崎八段に対し、小学生以来だと弱気の久保九段。

勝負の行方ははっきりしているようにみえたのですが・・・結果を先に書くとまさかの久保九段の勝ち。王将を見失った山崎八段の一瞬の隙を久保九段が見逃さず、最後は見事な即詰みに討ち取りました。

普段とは全く違う将棋にも関わらず、本当に真剣に取り組まれた両者に大きな拍手が沸き起こりました。

糸谷八段VS菅井七段による対局は意外な戦型に

そして特別対局。今回は糸谷八段 対 菅井七段の対局です。

普段だと糸谷八段は居飛車党、菅井七段は振り飛車党ということで対抗形が予想されました。本局もその通りになったのですが、なんと!糸谷八段が振り飛車を指し、菅井七段が居飛車を指しています。

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こちらは先ほどのトークショーで話題になった模様、結果のほうは糸谷八段が剛腕を見せつけ勝ち切りました。

すると菅井七段が「もう1局お願いします」とのこと。

急遽、早指しでもう1局行われることになり、お客様にも大変喜んでいただきました、こちらは菅井七段の勝ち。1勝1敗で関西のエース同士の戦いは幕を閉じました。
(司会兼タイムキーパーの畠山八段がハラハラしていたことは内緒です)

おわりに

そして抽選会ののちに行われた閉会式では、久保九段と糸谷八段が挨拶で「チャリティーイベントはないに越したことはない、しかし災害は起きてしまうことがあり、その時には棋士会が皆様と共に動きます」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。

今回皆様にご協力いただきましたお金は経費分を除いて全額矢掛町の復興に向け寄付されることになっております。

たくさんのご支援、ご協力を賜りまして、誠にありがとうございました。

長谷川優貴

ライター長谷川優貴

兵庫県明石市出身。1995年9月13日生まれ。第5期マイナビ女子オープンでアマチュア選手として出場し、予選を勝ち抜き、自身2度目の本戦出場を果たした。その年の10月に女流棋士2級となり、とんとん拍子で本戦を勝ち続け、挑戦権を獲得。上田初美女王(当時)と五番勝負を戦った。

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