将棋コラム

プロ棋士昇段には5つの方法があった。意外と知られていない、その仕組みとは?

プロ棋士昇段には5つの方法があった。意外と知られていない、その仕組みとは?

更新: 2017年02月01日

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四段・五段には若い棋士が多く、八段・九段には年長者が多いですが、若くても高段者となっている棋士がいます。将棋の段位はどうやって決まっているのでしょうか? このコラムでは、将棋の「段位」はどう定められているのか、どういうときに昇段するのかを詳しくご紹介していきます。

昇段の方法は大きく5つ

棋士の段位は四段から九段まであります。昇段の方法は、大きく分けると以下の5つです。

  • 公式戦勝ち数
  • 竜王戦昇級
  • 順位戦昇級
  • タイトル獲得/タイトル挑戦
  • 棋戦優勝

それぞれをひとつずつ、詳しく見ていきましょう。

1.公式戦勝ち数での昇段

公式戦勝ち数での昇段の場合は、●段になってから〇〇勝と定められています。詳細は下表に示すとおりですが、段位が上がるにつれて、昇段への条件は厳しくなっていきます。

現在の段位 昇段条件 昇段後の段位
四段 公式戦100勝 五段
五段 五段昇段後公式戦120勝 六段
六段 六段昇段後公式戦150勝 七段
七段 七段昇段後公式戦190勝 八段
八段 八段昇段後公式戦250勝 九段

最近では、以下の棋士が公式戦勝ち数により昇段しています。

  • 船江恒平五段:五段昇段後公式戦120勝により、六段に昇段(2016年12月28日)
  • 門倉啓太四段:公式戦100勝により五段に昇段(2016年11月17日)
  • 真田圭一七段:七段昇段後公式戦190勝により、八段に昇段(2016年10月25日)
  • 野月浩貴七段:七段昇段後公式戦190勝により、八段に昇段(2017年1月20日)

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(第1期加古川青流戦 第2局より )

2.順位戦での昇段

プロ入りしたときはC級2組からのスタートで、勝っていけば順位戦で昇級できる仕組みですが、順位戦で昇級すると、昇段することができます。

昇段条件 昇段後の段位
順位戦C級1組昇級 五段
順位戦B級2組昇級 六段
順位戦B級1組昇級 七段
順位戦A級昇級 八段

昨年の順位戦では、A級昇級を決めたことで稲葉七段が八段へと昇段しています。一昨年の順位戦では、佐藤天彦七段がA級昇級を決めたことで八段へと昇段し、そのまま名人挑戦・獲得したことで九段へと昇段しました。

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(第2期叡王戦 第2局より )

3.竜王戦での昇段

竜王戦でも昇級により、昇段することができます。詳細は下表に示すとおりです。

昇段条件 昇段後の段位
竜王ランキング戦連続昇級または通算3回優勝 五段
五段昇段後竜王ランキング戦連続昇級または通算3回優勝 六段
竜王ランキング戦2組昇級 六段
六段昇段後竜王ランキング戦連続昇級または通算3回優勝 七段
竜王ランキング戦1組昇級 七段

最近では、西川和宏五段が竜王ランキング戦連続昇級で、六段に昇段しました。(2016年11月10日)
渡辺大夢四段も同様に連続昇級により、五段に昇段しています。(2016年10月27日)

4.タイトル獲得・タイトル挑戦での昇段

七大タイトルに挑戦やタイトル獲得することで昇段することができます。詳細は下表に示すとおりです。

昇段条件 昇段後の段位
タイトル挑戦 五段
五段昇段後タイトル挑戦 六段
竜王挑戦 七段
タイトル1期獲得 七段
竜王1期獲得 八段
名人1期獲得 九段
竜王2期獲得 九段
タイトル3期獲得かつ八段に昇段していること 九段

七大タイトル戦のうち、名人戦以外は予選を勝ち進むことでタイトル挑戦・獲得ができます。2016年12月16日、第42期棋王戦への挑戦を決めた千田五段が、六段へ昇段しました。

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(第42期棋王戦 挑戦者決定戦より )

5.棋戦優勝での昇段

七大タイトル戦以外では、全棋士参加の棋戦で優勝することで、七段まで昇段することができます。

昇段条件 昇段後の段位
全棋士参加棋戦優勝 五段
五段昇段後全棋士参加棋戦優勝 六段
六段昇段後全棋士参加棋戦優勝 七段

この規定は、2009年4月1日に追加されたものです。なお、この棋戦優勝の規定が追加される前では、2008年度朝日杯将棋オープン戦で当時の阿久津六段が優勝し、「類まれなる成績」として、特別昇段を理事会が決めています。

抜群の成績による特別昇段

先ほどの阿久津七段の例にもあるように、「類まれなる成績」を収めた場合には理事会で昇段を決めることもあるようです。昇段規定は2005年や2009年に追加されてきたように、時代の変化に合わせて少しずつ形を変えてきています。

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飛びつき昇段と1年に複数回昇段の可能性

かつては、昇段は一段ごと、1年に1回以内と決められていましたが、2006年度から規定が変更になりました。竜王戦の規定での昇段のみ、飛びつき昇段や1年以内の2度の昇段が認められるようになっています。

飛びつき昇段の例(1)竜王挑戦で一気に七段へ

竜王戦の4組から6組に在籍の四段が竜王への挑戦者になった場合は、五段・六段を飛ばして七段に昇段することができます。さらに竜王位を奪取すれば、奪取した時点で八段に昇段します。八段までの最短ルートと言えるでしょう。

飛びつき昇段の例(2)竜王戦2組昇級によって一気に六段へ

竜王戦の3組在籍の四段が2組昇級を決めた場合は、五段を飛ばして六段に昇段することができます。

1年の複数回昇段の例 連続2回昇級の間に他の規定で昇段

竜王戦の昇段規定の中に「連続2回昇級で昇段」がありますが、1回目と2回目の間に勝数規定などで昇段した場合、2回目の昇級をすれば1年で複数回の昇段することができます。

最近の例では、大石六段が1年で2回昇段しました。
2012年(第25期)に6組で優勝して5組昇級、2013年4月22日に勝数規定で五段に昇段しま した。同年5月15日に第26期5組2位以上確定で4組昇級(連続2回昇級)を決めて六段に昇段しています。五段昇段からわずか3週間というスピード昇段でした。

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さまざまな昇段規則がありますが、勝ちを重ねるほど段位が上がっていくのはどれも共通です。将棋は降段の仕組みはありませんから、過去の実績と将棋界への貢献度の目安とも言えるでしょう。あなたが応援・注目している棋士がいつ、どの規定により次の段位への昇段するのかを調べ、昇段のかかる対局でどんな将棋を指すのかを見るのもひとつの楽しみ方になります。

また、昇段間近の棋士は誰で、あと何勝と迫っているかについては、コチラのリンクから確認することができます。100勝、500勝といった、節目の勝ち数についても記録がありますから、昇段に関わらずとも、記念となる対局を応援してみてはいかが でしょうか。

佐藤友康

ライター佐藤友康

3歳から将棋に触れ、将棋とともに幼少期を過ごすものの、途中、長い長いブランクを経て、27歳で将棋復活。 2015年4月より、池袋で20代・30代に向けた将棋普及活動『将Give』を主催・運営する。 将棋の楽しさ・面白さ・奥深さに深く感動し、将棋普及と将棋を通じた社会貢献・人間的な成長の応援を使命とする。

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