渡辺明竜王の共同記者会見

更新:2008年12月19日 16:10

今期を振り返って?
渡辺明竜王へのインタビュー3連敗したときは、3局目も内容も悪かったので非常に申し訳ないという気持ちもありましたけど、4局目からは良い意味で開き直れたというか3局目までよりは良い将棋を指そうと思いました。4局目が終盤きわどい勝ち方でラッキーだったので、1局勝ててホッとしました。
永世竜王の資格保持者になったことについて?
実感はないんですけど、永世称号、しかも初代ということで本当に名誉あることだと思っています。非常にうれしいです。
4局目以降、具体的にはどのように開き直ったのか?
開き直るというのは諦めるというのと紙一重で非常に難しいのですけど、今回は開き直るのと諦めるのギリギリのところでうまく戦えたというか、具体的には3連敗したときに自分の中で振り返って消極的な選択が多かったように感じたので、指し手とか封じ手とかのタイミングとか色々含めて、4局目から相手を恐れずに迷っても積極的にどんどん行こうと思いました。
羽生名人との対局はこれまで少ないが、自分の将棋を振り返って?
タイトル戦は久々ということで、開幕前はどの程度戦えるか不安だったんですけど、3連敗して内容もまったくダメだったので届かないのかなと思いました。開幕前から"永世竜王"がかかったというのもあって注目されたシリーズでもあったのですが、スコアも内容も悪かったので、4局目からは内容的にも何とか良い将棋を見せられればというところでした。
4局目、非常にラッキーな勝ち方だったんですけども、熱戦の将棋を一つ魅せることができたので、5局目からはちょっと伸び伸び指すことができました。
今期のタイトル戦における調子や流れはどうだったか?
最近では、自分では調子の波は少なくなってきたと思います。今シリーズでは結果的に4局目に勝って、そこから連勝することができたので、4局目が大きかったです。3連勝することができて自信にもなったので、今日の7局目までその調子が続いて欲しいなと祈るような気持ちでした。
七番勝負を振り返っての羽生名人の印象は?
第7局感想戦の様子今日の将棋も含めて大局観ではまだまだ敵わないなと思いました。こっちが良いと思っていた局面でも、いざ進んでみるとそうでもないということもあって、その局面をある程度前から認識する力はまだまだだなと思いました。
4局目と今日の将棋と、最後は1分将棋の激戦で、自分も自信なく指していたので、その2局に関しては運が良かったなとしか言いようがないです。
今年の有馬記念の予定は?
行けたら行きたいですね。竜王戦が始まってから競馬も行っていないというか、そういう気分ではなかったので少しのんびりしたいですね。
3連敗したとき、そして3連勝したとき、家族とはどのような会話をしたか?
子供は何もいわないですけど・・・。子供もテレビとか見ているので、3局目負けて帰って、次の日起きたら「お父さん負けたんだね。」とうれしそうに言われて・・・。まあ「うん。」といった感じなんですけど・・・。子供は勝ち負けわからないと思うんですが、いい報告ができるので嬉しいですね。
妻は、基本的には何も言いませんが、1局1局言われるのも困るので、陰ながら応援してくれたという感じです。いつもシリーズ中は、家では自分がその将棋に集中できるようにしてもらっているので、感謝しています。
次の夢や目標は?
月並みなんですけど、タイトル戦にいっぱい出て、いっぱい戦いたいです。竜王戦のほか、ほとんどタイトル戦に出ていないので、力を付けたいです。
5連覇の間に羽生世代と言われる代表的な棋士を破っていますが・・・
全部きわどい戦いで、やはり自分の方が勝ってるという感じではないので、この後もどんどん挑み続けて行きたいです。
最初、竜王になったときはまだ二十歳だったので、まだ強くなれると思っていましたが、そこから3・4年経って、あんまり変わっていないということに気付き、もっと強くなりたいという気持ちがより一層強くなりました。やはり、いつまでも強くなれるわけではないので、時間などをもっと有効に使って力を付けたいという思いが強いです。
二十歳のときは夢は無限で、もっと強くなれると思っていたんですが、期待したほど強くなっていません。強くなりたいという気持ちも今ほど強くはなかったし、二十歳で竜王を獲ってからもあまり勝率とか良くはなかったので、今期を経験してますます将棋を強くなりたいと思いました。
渡辺竜王が考えるもっと強いという将棋とは?
今回、羽生名人と指して全然敵わないというようなところもありましたし、羽生名人は1年中タイトル戦に出続けているわけですから、やはりそういった面で差を感じます。もっと大きな舞台に立ちたいという思いは強いです。
5年前にも羽生名人と番勝負を指しているが、当時と比較して、羽生名人の印象で変わった点と変わらない点は?
5年前はほとんど覚えていないというか、自分にとって初めてのタイトル戦で舞い上がっていたので、あまり羽生名人の様子とか伺っていなかったので覚えていません。5年ぶりに戦うことになって、永世竜王がかかっていたこともあると思いますが、そのときよりは迫力があるように感じました。
5年前は、こちらは失うこともなかったので、バシバシ指すことができたんですが、今回はこちらのほうがビビリながらというか縮こまっていたという感じになっていたので、4局目からはそういうふうに心がけて指したのが良かったと思います。
ファンは、これからの渡辺竜王と羽生名人の番勝負に期待していると思うが、どんな勝負を挑みたいか?
今回のシリーズ、今日の将棋も非常に際どい将棋になって大変なんですが、挑み続けていかなければならない相手だと思います。しかし、自分のほうが出て行かなければなかなか対局ができないので、今回、永世竜王という大変名誉ある称号をいただきましたし、それに恥じない成績を残すためにより一層努力しないといけないなという気持ちです。
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