弦巻勝のWeb将棋写真館

駒に聴き盤に遊ぶ

更新: 2015年8月19日

1970年後半頃、作家の渡辺淳一先生と週刊誌の仕事で知り合いました。
話をすると将棋と麻雀がお好き。で、住んでいる処が同じ鷺ノ宮と言う事で先生の家に遊びに行くようになりました。

その頃は先生の家も建売でそれほど大きな家じゃあ無かったです。
たいていは夕刻から奥様の手料理とビールで将棋を指しました。週に2回くらいのペースでした。行くたびに先生の新刊本にサインして頂きました。

当時は高田馬場に先生の事務所が有り、原稿が追いつめられている時はそちらで指す事も多かったです。
「締切が来ると無性に将棋が指したくなるんだ。」
と、よく言い訳していました。

しばらくして編集者を10人くらい集め、将棋の会を渡辺先生を中心にして始めました。僕は幹事です。月に一回先生宅で、他に年に2回ほど泊りがけで旅行にも行く良い会でした。
女流の谷川治恵さん、観戦記の高橋呉郎さんも会が始まって間もなくのメンバーです。
麻雀の方では、先生の紹介で有馬千代子さんに初めて会ったのもこの頃でした。競馬の有馬記念の関係と聞きビックリしました。作家の有馬頼義さんの奥様です。

有馬さんの紹介で今度は女優の中原ひとみさんと知り合い、こちらも週に2回ほど麻雀。有馬さんは西荻窪で中原さんは石神井、この頃はどちらかのお宅で夕食をご馳走になっていました。

今思うと将棋も麻雀も徹夜で結構やっていたと思います。阿佐田哲也さんや深作欣二監督、それに役者や女優さんと全自動卓が流行る前からの麻雀です。
映画監督の相米慎二さんは下駄をカラコロ言わせながら負け組ですが笑顔で人気が有りました。

メンバーが足りない時に勝浦修九段に声かけたら、勝浦さんも週1くらいで参加するようになりました。こちらは勝ち組。
将棋も麻雀も出来たのは東映の岡田祐介さんで麻雀が始まる前に何度か彼と指しました。

今回将棋ペンクラブと関係無い事書いてしまいましたがが、写っている方々は、ほとんど亡くなり、懐かしく感じるからです。

将棋ペンクラブ、渡辺淳一先生や親友だった週刊ポストの斎藤宣郎さんが亡くなってから僕は遠のいていますが湯川博士さん湯川恵子さんは週刊ポスト将棋の旅を共にした仲。これからも頑張ってもらいたいと思います。

「駒に聴き盤に遊ぶ」これ中原誠16世名人の扇子に書かれている言葉です。今年の夏は此の中原扇子を使用させて頂いています。

掲載写真についてのミニ解説(サイト編集部記)

写真上から順に(1):
昭和62年秋から冬にかけて撮影されたものと思われる。将棋ペンクラブは、加藤治郎名誉九段が名誉会長を務め、昭和62年11月27日に旗揚げパーティーが東京・新宿区「京王プラザホテル」で開催された。昭和62年12月20日の時点で、メンバーが113名。その後も会員が増え続け、昭和63年2月20日の時点で約400名となった。将棋観戦記者、プロ棋士はもとより、マスコミ関係、作家や俳優、学者、音楽家など多彩なメンバーで構成されていた。事務局は河口俊彦(八段)が担当していた。
写真は、加藤治郎名誉九段を中心に向って右手から、湯川恵子氏、福本和生氏、横田稔氏、河口俊彦(八段)、東公平氏、鈴木宏彦氏、寺下紀子(女流四段)。左手からは、湯川博士氏、大竹延氏、武者野勝巳(七段)。
写真(2):
昭和62年11月27日に旗揚げパーティーでの一枚。作家・山口瞳氏、講談師・二代目神田山陽氏、作家・団鬼六氏などの姿が写っている。
写真(3~6):
将棋ペンクラブが主催した文壇将棋会が昭和63年1月30日に東京・渋谷区「将棋会館」で行われ、その時の模様。色川武大氏、山口瞳氏、渡辺淳一氏、江國滋氏、有馬千代子氏、小沢遼子氏、中原ひとみ氏等、各界から錚々たるメンバーの参加があり、全部で100名を超えた。写真(3)と(5)で原田泰夫(九段)と指しているのが、作家・原田康子氏。写真(4)では、評論家・小沢遼子氏(奥側)と女優・中原ひとみ氏(手前側)が盤を挟み、横で作家・色川武大氏と勝浦修(九段)が感想戦に加わっている様子が写っている。写真(6)は、飛燕・銀沙の部屋で打ち上げの時の様子と思われる。作家・山口瞳氏、作家・江國滋氏、作家・色川武大氏、そして谷川浩司(九段)と話しをしているのが作家・渡辺淳一氏。
写真(7):
第1回将棋ペンクラブ選考会の様子。昭和63年11月14日に東京・新宿区「京王プラザホテル」で行われた。写真一番奥に座っているのが、作家・山口瞳氏、向かって右手に中原誠(十六世名人)、作家・色川武大(阿佐田哲也)氏、横田稔氏。左手は、高橋呉郎氏、河口俊彦(八段)、一番手前は、不明。
写真(8):
平成元年1月28日、東京・新宿区「京王プラザホテル」で第1回将棋ペンクラブ大賞贈呈式が開催され、その時の模様。新聞観戦記部門の大賞は、井口昭夫氏、佳作に島朗(九段)。雑誌部門で高柳敏夫(名誉九段)。特別賞に団鬼六氏が選ばれた。