羽生善治が竜王位を奪回し、史上初の「永世七冠」の資格を獲得
更新:2017年12月05日 16:27
羽生善治(47歳)が12月4日・5日(月・火)で行われた第30期竜王戦第5局で、渡辺明竜王に勝利し4勝1敗で竜王位を奪回いたしました。
羽生は今回の竜王位獲得で通算7期の獲得となり、「永世竜王」の資格を得ました。また、永世竜王を獲得したことにより、史上初の「永世七冠」の資格を得るという快挙を成し遂げました。
羽生は今回の竜王位獲得で、47歳2ヶ月でのタイトル獲得となり、タイトル獲得年長記録4位になりました。
お祝いメッセージ
■佐藤康光 日本将棋連盟会長
この度は四度目の竜王復位、並びに「永世竜王」の資格獲得、「永世七冠」の達成、誠におめでとうございます。前人未到の偉大な記録に改めて敬意を表します。どんな厳しい環境、状況下におかれてもそれを受け入れ、戦い続ける姿勢には畏敬の念にたえません。
これからも体調にご留意され、益々のご活躍を祈念いたします。
■谷川浩司九段
永世称号は一つだけでも大変なのに、七つ全てとは信じられません。羽生さんの飽くなき好奇心、探究心が、47歳になっても若手と最新型でぶつかり合う姿勢につながっているのでしょう。相手の得意形に飛び込み、相手も良い内容の将棋を指す中で、結果を出し続けるのが凄いと思います。永世竜王は4度目の挑戦、15年越しということで喜びも一入でしょう。心よりお慶び申し上げます。
■中原誠 十六世名人
永世七冠おめでとうございます。羽生さんのたゆまぬ努力に敬意を表します。45歳を過ぎてからは、さすがの羽生さんもタイトル戦で苦労することが多いようですが、その中での大記録達成は立派だと思います。これからの一年、一年にも注目したいと思っています。
■加藤一二三九段
覇者として将棋界を牽引し続けて30余年。類い稀なる才能をたゆまぬ努力により開花させた羽生さんが、ついに前人未踏の金字塔を打ち立てられたことに最大限の賛辞を送りたいと思います。今後の活躍を益々楽しみにしております。
■藤井聡太四段
竜王奪取そして永世七冠の獲得、おめでとうございます。
「永世七冠」という言葉の重みに羽生先生が積み上げてこられたものの大きさを改めて感じています。今後ますますのご活躍を期待しています。
■囲碁 井山裕太七冠
この度は永世七冠達成、誠におめでとうございます。
長きに亘り結果を残し続けられるそのお姿に、敬服いたしております。
今後も健康に留意され、私を含めた多くの人々の目標で有り続けていただければと思います。
永世(名誉)称号者一覧
・タイトル戦において、連続または通算して規定のタイトル数を獲得した棋士に与えられる称号。
・原則として、永世称号は引退後に名乗る → 十四世名人木村義雄 1952年に襲位
・現役での就位は次の通り。
(1)永世王将 *大山康晴 1973.10.31から
(2)十五世名人 *大山康晴 1976.12.6襲位
(3)永世十段 中原誠 1994.4.1から
(4)永世棋聖 *米長邦雄 1998.5.22から
(5)名誉王座 中原誠 2007.9.2から
(6)十六世名人 中原誠 2007.11.17襲位
(7)永世棋聖・永世王位 中原誠 2008.4.1から
棋戦名 | 称号 | 制定年 | 獲得期数 | 獲得者(獲得年) |
---|---|---|---|---|
竜王戦 | 永世竜王 | 1996年 | 連続5期 | 渡辺明(2008) |
通算7期 | 羽生善治(2017) | |||
※九段戦 | 永世九段 | 3期 | *塚田正夫(1954) 以後、「九段」を名乗る | |
※十段戦 | 永世十段 | 1980年 | 通算10期 | *大山康晴(1988)・中原誠(1982) |
名人戦 | 永世名人 | 1949年 | 通算5期 | *木村義雄(1949)・*大山康晴(1956)・中原誠(1976) |
・谷川浩司(1997)・森内俊之(2007)・羽生善治(2008) | ||||
王位戦 | 永世王位 | 1997年 | 連続5期 | *大山康晴・中原誠・羽生善治(1997) |
通算10期 | ||||
王座戦 | 名誉王座 | 1996年 | 連続5期 | 中原誠(1973)・羽生善治(1996) |
通算10期 | ||||
棋王戦 | 永世棋王 | 1995年 | 連続5期 | 羽生善治(1995)・渡辺明(2017) |
王将戦 | 永世王将 | 1973年 | 通算10期 | *大山康晴(1973)・羽生善治(2007) |
棋聖戦 | 永世棋聖 | 1965年 | 通算5期 | *大山康晴(1965)・中原誠(1971)・*米長邦雄(1985) |
・羽生善治(1995)・佐藤康光(2006) |
*印は故人
※印は終了棋戦
. | 棋士名 | 獲得称号(獲得順) |
---|---|---|
1 | *木村義雄 | 永世名人 |
2 | *塚田正夫 | 永世九段 |
3 | *大山康晴 | 永世名人・永世棋聖・永世王将・永世十段・永世王位 |
4 | 中原誠 | 永世棋聖・永世名人・永世十段・名誉王座・永世王位 |
5 | *米長邦雄 | 永世棋聖 |
6 | 谷川浩司 | 永世名人 |
7 | 羽生善治 | 永世棋王・永世棋聖・名誉王座・永世王位・永世王将・永世名人・永世竜王 |
8 | 佐藤康光 | 永世棋聖 |
9 | 森内俊之 | 永世名人 |
10 | 渡辺明 | 永世竜王・永世棋王 |
注1)十段獲得期数には、前身の九段獲得期数も含む
注2)王座獲得期数には、非タイトル戦時代も含む
注3)タイトル戦以外では、2012年にNHK杯で通算10回優勝したことにより
羽生善治が「名誉NHK杯選手権者」の称号を贈られている。
タイトル獲得年長記録ベスト10
No. | 氏名 | 生年月日 | 年長タイトル達成日 | 達成年齢 | 棋戦名 | 局 | 対局相手 | 四段昇段日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 大山康晴 | 1923年3月13日 | 1982年4月8日 | 59歳0カ月 | 第31期王将戦 | 7 | 中原誠 | 1940年 |
2 | 二上達也 | 1932年1月2日 | 1982年1月12日 | 50歳0カ月 | 第39期棋聖戦 | 3 | 加藤一二三 | 1950年12月 |
3 | 米長邦雄 | 1943年6月10日 | 1993年5月21日 | 49歳11カ月 | 第51期名人戦 | 4 | 中原誠 | 1963年4月 |
4 | 羽生善治 | 1970年9月27日 | 2017年12月5日 | 47歳2カ月 | 第30期竜王戦 | 5 | 渡辺明 | 1985年12月 |
5 | 木村義雄 | 1905年2月21日 | 1951年5月29日 | 46歳3カ月 | 第10期名人戦 | 6 | 升田幸三 | 1920年 |
6 | 郷田真隆 | 1971年3月17日 | 2016年3月19日 | 45歳0カ月 | 第65期王将戦 | 6 | 羽生善治 | 1990年4月 |
7 | 中原誠 | 1947年9月2日 | 1992年6月23日 | 44歳9カ月 | 第50期名人戦 | 7 | 高橋道雄 | 1965年10月 |
8 | 加藤一二三 | 1940年1月1日 | 1984年9月21日 | 44歳8カ月 | 第25期王位戦 | 7 | 高橋道雄 | 1954年8月 |
9 | 内藤國雄 | 1939年11月15日 | 1982年9月21日 | 42歳10カ月 | 第23期王位戦 | 6 | 中原誠 | 1958年10月 |
10 | 森けい二 | 1946年4月6日 | 1988年9月22日 | 42歳5カ月 | 第29期王位戦 | 7 | 谷川浩司 | 1968年4月 |
※各棋士の最年長記録を記載しています