新四段誕生のお知らせ *藤井聡太(史上最年少四段)・大橋貴洸
更新:2016年09月03日 19:55
9月3日(土)に将棋会館で行われました第59回奨励会三段リーグ戦(2016年4月~2016年9月)18・19回戦において、藤井聡太三段と大橋貴洸三段が四段昇段を決めました。最終成績は藤井三段13勝5敗、大橋三段12勝6敗の成績です。四段昇段日は2016年10月1日付となります。
藤井聡太三段の四段昇段年齢は、加藤一二三九段の14歳7ヶ月の記録を5ヶ月更新し、14歳2ヶ月で史上最年少プロ棋士誕生、また加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治三冠(王位・王座・棋聖)、渡辺明竜王に次ぐ5人目の中学生棋士となります。2002年生まれの21世紀棋士の誕生となりました。詳細はこちらをご覧ください。
次点は12勝6敗で、黒田尭之三段です。

藤井 聡太(ふじい そうた) 棋士番号307

- 生年月日
- 2002年7月19日生まれ (14歳)
- 出身
- 愛知県瀬戸市
- 現住所
- 同上
- 師匠
- 杉本昌隆七段
- 奨励会入会
- 2012年9月
- 三段リーグ入り
- 2016年4月(第59回奨励会三段リーグ戦から)
- 得意戦法
- 角換わり
- 将棋を始めたきっかけ
- 5歳のときに祖母に教わった
- 現在、名古屋大学教育学部附属中学校2年
第12回(2015年)、13回(2016年)詰将棋解答選手権チャンピオン戦で2年連続優勝 - 本人のコメント
- 「今日昇段を決めたいと強く思っていました。決めることができてうれしいです。三段リーグは、二段以下とははだいぶ部屋の空気が違いました。目標にする棋士はいません。将棋という伝統文化を意識し、すごく強い棋士になりたいです」
大橋 貴洸(おおはし たかひろ) 棋士番号308

- 生年月日
- 1992年9月22日生まれ (23歳)
- 出身
- 和歌山県新宮市
- 現住所
- 大阪府大阪市
- 師匠
- 所司和晴七段
- 奨励会入会
- 2006年9月
- 三段リーグ入り
- 2010年10月(第48回奨励会三段リーグ戦から)
- 得意戦法
- 横歩取り
- 将棋を始めたきっかけ
- 小学校4年生のころに、父親と一緒に覚えた
- 2015年10月、第46期新人王戦三番勝負で準優勝
- 本人のコメント
- 「三段リーグはすごく成長させてもらっていい経験ができました。四段昇段という目標が達成できてうれしいです。次の目標はタイトルを狙っています。ファンの方に注目してもらえるような将棋を指していきたいです」
奨励会三段リーグ1期抜け昇段者 (1987年度以降)
回 | 年度 | 名 前 | 年齢 | 成績 | 順位 | 参加人数 | ||
1 | 1987年度前期 | 中川大輔 | 18 | 13 | - | 3 | - | 17人 |
1 | 1987年度前期 | 先崎 学 | 17 | 12 | - | 4 | - | 17人 |
3 | 1988年度前期 | 小倉久史 | 20 | 16 | - | 2 | 18 | 21人 |
3 | 1988年度前期 | 屋敷伸之 | 16 | 14 | - | 4 | 20 | 21人 |
12 | 1992年度後期 | 川上 猛 | 20 | 15 | - | 3 | 32 | 32人 |
24 | 1998年度後期 | 松尾 歩 | 19 | 14 | - | 4 | 23 | 29人 |
53 | 2013年度前期 | 三枚堂達也 | 20 | 14 | - | 4 | 31 | 35人 |
59 | 2016年度前期 | 藤井聡太 | 14 | 13 | - | 5 | 27 | 29人 |
四段昇段年少ベスト10
棋士名 | 生年月日 | 四段昇段日 | 年 齢 | |
1 | 藤井 聡太 | 2002/7/19 | 2016/10/1 | 14歳2カ月 |
2 | 加藤一二三 | 1940/1/1 | 1954/8/1 | 14歳7カ月 |
3 | 谷川 浩司 | 1962/4/6 | 1976/12/20 | 14歳8カ月 |
4 | 羽生 善治 | 1970/9/27 | 1985/12/18 | 15歳2カ月 |
5 | 渡辺 明 | 1984/4/23 | 2000/4/1 | 15歳11カ月 |
6 | 佐々木勇気 | 1994/8/5 | 2010/10/1 | 16歳1カ月 |
7 | 塚田 泰明 | 1964/11/16 | 1981/3/5 | 16歳3カ月 |
8 | 阿部 光瑠 | 1994/10/25 | 2011/4/1 | 16歳5カ月 |
9 | 森内 俊之 | 1970/10/10 | 1987/5/13 | 16歳7カ月 |
10 | 屋敷 伸之 | 1972/1/18 | 1988/10/1 | 16歳8カ月 |
※(1)渡辺明が昇段を決めたのは2000/3/9(中3)ですが、四段昇段日は2000/4/1付になります。
藤井、加藤、谷川、羽生、渡辺の5人が中学生棋士です。
(2)戦前の記録は不明な点があるので、この表は戦後の記録になります。
(3)二見敬三七段(故人。1932年2月20日生まれ)は1948年に四段に昇段していますが、 昇段日が確定できないため、この表には加えておりません。
藤井聡太四段昇段コメント

加藤一二三九段
誠におめでとうございます。心より祝福致しますとともに将棋界全体にとっても明るいニュースに喜びを覚えます。かねてより評判を耳にしておりました。精鋭揃いの棋界ですが、大成した先輩中学生棋士の谷川・羽生・渡辺に続けるよう精進されることを期待しています。現役最年長の私が、21世紀生まれで最年少の藤井四段と対局できると考えるとワクワク致します。

日本将棋連盟会長 谷川浩司九段
厳しい三段リーグを一期で、最年少の記録をつくったことは、大変素晴らしいことです。高い志を持って精進することを期待しています。
棋士個人の立場としては最年少名人の記録が破られるかも注目しています。

羽生善治三冠(王位・王座・棋聖)
三段リーグからの四段昇段は、史上最年少記録の価値をより高める快挙だと思います。これ から棋士として注目を集めることになると思いますが、それを乗り越えて歴史に名を残すような棋士になることを期待しています。

渡辺明竜王
久しぶりの中学生棋士というだけでなく史上最年少での四段昇段、おめでとうございます。藤井君は以前から詰将棋の早さなどで話題になっていましたが、三段リーグを1期で抜けたのには驚きました。対戦を楽しみにしています。

杉本昌隆七段 (藤井聡太新四段の師匠)
偉大な先輩方の記録を塗り替えての最年少四段は、師匠としてこの上ない喜びで板谷一門の誇りです。周囲の方々の支えや応援のおかげです。棋士になったとはいえ、14歳の藤井四段は将棋の勉強が一番必要な時期。精進を怠らず、将来、東海地区にタイトルを持ってくる棋士に成長することを期待しています。