2026年全米将棋選手権 開催報告レポート

更新:2026年05月11日 10:50

文/井道千尋

 2026年4月18・19日(土日)に全米将棋選手権がニューヨーク市マンハッタン区ソーホーで開催されました。会場は絵画なども展示されているおしゃれなスペースでした。

 私は会場まで車で30-40分のニュージャージーに住んでおり、日本から来た石川陽生七段、西川和宏六段と一緒に参加しました。
 石川七段は30年以上に亘りアメリカでの普及に励まれている第一人者で、当大会はなんと第一回からの参加。西川六段は初めてのニューヨークとのことで数日前にニューヨークに到着され、私もまだ行ったことのない「自由の女神」に登り観光も楽しまれていました。
 大会前夜17日(金)の練習会では、全米各地から現地入りされた選手のみなさんに指導をされ、充実した時間を過ごされていました。
 大会当日の朝、会場では支部長の番野さんをはじめニューヨーク支部の方々や早めに到着された選手の方が準備をされていました。私は、英語が話せないので設営には全くお役に立てず...石川七段と西川六段の観光のお話を伺いつつ、日本語が話せる選手の方と交流を深めていました。
 さて、大会の注目選手は昨年優勝者の佐藤勇大さん、一昨年の優勝者NOAH KIMさんはじめ最年長のマーク大野さん、カナダ支部のエースで最近本帰国され研修会にも通う佐々木奏翔君でしょうか。噂になっていたのは東大将棋部で活躍され、大学院生になりアメリカに留学された吉川毅さんです。
 大会の組み合わせはwebで逐次更新され、プロジェクターで投影されるスムーズな進行に驚かされました。選手のみなさんはすぐに理解し、スマホで組み合わせを確認すると自分の対局席に移動して問題なく対局が行われていました。
 1日目は予選3局、成績によりA級とB級に分かれます。選手の中には小学生や女の子の姿もみられました。

 午後からは地域ごとに分かれて6名1チームの団体戦。石川七段、西川六段と私の3人で1チームとなり、2面指しで対局。10分切れ負けのスリリングな進行でしたが、石川七段と西川六段が安定の指し回しを見せ、感想戦まで行われていした。隣で時計のたたき合いをしている女流棋士には感想戦も相手チームの選手がフォローして下さり、沢山の方々の愛情を感じていました。
 そのお相手の中にMiaさんという女性の方がいらして、日本語もお上手で、すぐに親しくさせて頂きました。将棋は序盤の知識が豊富で細かい変化もよく読まれていて実力の高さを感じました。
 チーム戦はニュージャージー&バルチモアチームの優勝。準優勝はサンフランシスコ&シアトルチームとなりました。
 チーム戦が終わると近くのチャイニーズレストランで懇親会。外に出ると昼間の熱気をかき消すほどの寒さでした。
 大会二日目は午後の準決勝に向けて、熱い戦いが繰り広げられていました。そんな中、子供大会も会場の一角で行われ可愛い声も聞こえてきました。
 さてA級もB級も大混戦で、上位4人を決めるのに時間が掛かりました。準決勝に勝ち進んだのは佐藤勇大さんとNOAH KIMさん。吉川毅さんとスティーブン・ザークさん。
 プロジェクターでは佐藤さんとNOAHさんの将棋が中継されました。お二人はオンラインで練習将棋をする仲だそうです。手の内を知り合ったお二人の対局は大熱戦。序盤で少しずつポイントを積み重ねる佐藤さんに決め手を与えないNOAHさん。見ている方も手に汗握る展開に中継から目が離せませんでした。
 その大熱戦を制した佐藤さんが決勝に進出。初参加の吉川さんとの決勝戦が少しの休憩をはさみ行われました。
 石川七段と私が決勝の大盤解説を担当。角換わりの将棋になり、後手の佐藤さんの揺さぶりに対し、吉川さんが機敏に反応。15分40秒の将棋とは思えない吉川さんの細かい利かしや、佐藤さんの嫌味のつけ方は石川七段も絶賛していました。終盤に差し掛かるころ、石川七段は解説を西川六段に交代。早逃げの感覚や手の抜き方を解説。そして局面を見るとあっという間に先手の吉川さんが寄せ切っていました。佐藤さんは準決勝の疲れもあったと思いますが、その疲れをみせない対局姿は前年度優勝の貫録を感じました。一方、初参加で若さと勢いを持ち合わせた吉川さんは堂々の優勝。
 お話を伺うと将棋連盟の子供スクール卒業生で、私も講師として一緒に将棋を指していたようです。そんな、素敵な出会いにも感動しつつ、アメリカでの再会と彼の成長にただただ感心していました。
 最後は優勝した吉川さんと西川六段の平手でのエキシビションマッチ。こちらは、西川六段の巧みな歩の使い方や終盤で相手の罠を見抜いて寄せ切ったプロの力を見せつける内容でした。しかし、感想戦で西川六段から「中盤で気が付かない踏みこみがあった」と吉川さんの強さを感じていらっしゃいました。
 今大会は11年ぶりのニューヨーク開催で過去最多の45名の参加者が集まり、非常にレベルの高い大会でした。また、A級三位のスティーブン・ザークさんは将棋を始めて2年と有望な海外選手の活躍も目立ちました。
 会場では元ニューヨーク支部長の林さんが日本から素敵な駒を持参し、各支部、優勝者へ駒の提供をして下さいました。また、駒づくりの実演も行われ、選手のみなさんは興味津々に見ていらっしゃいました。
 また、石川七段と西川六段からは日本から書籍や将棋グッズを提供。私は色紙と、賞状への記名を行わせていただきました。
 大会終了後は選手の皆さんと交流。私も選手の方から英語で話しかけて頂き、言葉では理解できなくても通じるものがありました。
 最後になりましたが、ニューヨーク支部の方はじめ関係者のみなさまに深く感謝申し上げます。

 最終日の対局の様子は下記のリンクから見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=ndtADp_dA1A

1.ニューヨーク 自由の女神像.jpeg  2.大会の様子1.jpg
写真左:ニューヨーク 自由の女神像
写真右:大会の様子1

3.大会の様子2.jpg 4.西川六段の指導対局の様子.jpg
写真左:大会の様子2
写真右:西川六段の指導対局の様子

5.石川七段の指導対局の様子.jpg 6.指導対局の様子.jpeg
写真左:石川七段の指導対局の様子
写真右:指導対局の様子

7.石川七段と選手の交流.jpg 8.駒の実演.jpg
写真左:石川七段と選手の交流
写真右:駒の実演

9.大盤解説会.jpeg 10.トロフィーと景品.jpg
写真左:大盤解説会
写真右:トロフィーと景品

11.石川七段と西川七段からの提供品の一部.jpg 12.A級.jpg
写真左:石川七段と西川七段からの提供品の一部
写真右:A級

13.B級.jpg 14.子供大会の集合写真.jpg
写真左:B級
写真右:子供大会の集合写真

15.全体の集合写真.jpeg
全体の集合写真

写真提供
(Harukaさん、裕美さん、志村さん、佐々木さん、西川六段、井道)

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