東京大学教養学部・将棋授業レポート
更新:2024年03月14日 11:30
2023年10月5日(木)から2024年1月11日(木)にかけて、東京大学教養学部の全学体験ゼミナール「将棋で磨く知性と感性」が行われました。
本授業は2013年度から始まり、今年度で11年目となります。堀口弘治七段(東京大学大学院総合文化研究科客員教授)・勝又清和七段(同客員教授)、金子知適教授が担当し、講義と実技指導の両面から将棋文化を学ぶことを主旨としています。全13回の授業で単位を取得することができ、毎学期20~40名程度の学生が受講しております。
詳細は下記をご覧下さい。
将棋授業概要
- 対象
- 東京大学教養学部前期課程(1,2年生)
- 時限
- 木曜5限
- 授業の担当
- 東京大学大学院総合文化研究科客員教授 堀口弘治七段、勝又清和七段
東京大学総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系 金子知適(ともゆき)教授 -
堀口弘治七段
勝又清和七段 - 授業の概要
- 将棋は千年に亘る歴史を持つ日本の伝統文化である。このセミナーでは講義と対局の両面から将棋文化を学んだ。
初回にガイダンスをオンラインにて実施。ガイダンスの際に書いて提出してもらう作文によって、未経験者を優先して履修者を決定した。二回目以降は対面にて開催。 - 授業内容
- 第1回 ガイダンス (オンライン)
第2回 講義と対局(1) この回から対面授業
第3回 講義と対局(2)
第4回
↓
第13回 まとめ
毎週の講義では、5656将棋、礼法と文化、将棋界、将棋盤と駒のできるまで、世界の将棋、コンピュータ将棋などの話題を適宜扱った。毎週の対局では、設定されたテーマに沿い、段階的にルール・基本的な考え方を習得した。受講者の指し手に対して、棋士によるフィードバックを適宜実施。 - 授業の方法
- 将棋連盟の棋士(堀口弘治七段、勝又清和七段)が直接説明や指導を実施
- 成績評価方法
- 毎回の参加状況や授業目的の主旨に沿って自己の推察や感想を含めたレポートで評価
本授業は未経験者を対象としております。一回の授業内で前半を講義・後半を実技の構成にて行っております。
講義では、古今東西のボードゲームから俯瞰した将棋の歴史、対局の礼法、盤や駒などの用具における伝統工芸の美しさなど文化的な側面を広く扱います。棋士のなり方やタイトル戦など将棋界についても学びます。
実技では、駒の動かし方など基本的なルールから丁寧に指導します。最初は5656将棋から始め、最終的には本将棋を行います。今どの考え方を重視すべきかが局面によって変化することや、その変化を通じて相手の心理を感じ取るコミュニケーションを体験します。
通常は学生同士で対局しますが、最終回では、学生代表と堀口七段で対局を行いました。対局中に皆で次の一手を考える時間を取り、勝又七段が解説することで、実践的な考え方を知ることができました。
2023年度受講者の声を紹介
・駒の動かし方も知らない状態だったが、棋士から丁寧な指導を受けることで、詰将棋が解けるようにまで到達することができた。
・全体を見る力や先を読む力について学び、実践することで、将棋の奥深さを理解できた。
・今まで将棋を観る際は評価値でしか判断できなかったが、授業内で習得した知識を活かした見方が可能になり、解説も以前より理解できるようになった。
・文化的な側面から将棋を知ることができた。
・実技を行うことで将棋を指す楽しさを理解できた。授業が終わったあとも将棋を続けていきたい。
未経験者でも授業最終回を迎えた後は詰将棋が解けるようになったり、将棋の考え方を理解して実践できるようになったりしました。もっと対戦したいという声も多く、楽しみながら将棋の魅力を知ることができたようです。本授業が将棋における知性と感性を基礎にした思考法や、物事に臨む一般的な心構えなどを広く身に付ける一助になれば幸いです。
将棋連盟では学校教育への将棋導入事業を行っております。
学校内において、将棋というわが国が誇るべき伝統文化にふれることにより、 日本文化の理解を深める機会を設け、礼儀作法の習得、集中力や忍耐力、相手を思いやる気持ちなど児童・生徒の豊かな心や生きる力をはぐくむ機会を設けます。
将棋講師の派遣だけでなく、将棋盤・駒の貸出しや将棋ルールブック(冊子)の配布も行っておりますのでお気軽にご連絡ください。
詳細はこちらから
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