日本将棋連盟とリコーが「リコー将棋 AI棋譜記録システム」を共同開発

更新:2019年06月20日 17:03

公益社団法人日本将棋連盟(会長:佐藤康光)と株式会社リコー(社長執行役員:山下良則)は、将棋対局時の記録係の不足に対応するために、AI(人工知能)技術を活用し、棋譜を自動的に生成する「リコー将棋AI棋譜記録システム」(通称「リコー棋録」)を開発しました。2019年7月より、システムの実証実験を共同で開始いたします。

現在、日本将棋連盟では、年間約3,000局以上の対局が行われており、全ての対局で棋譜の記録と計時が記録係によって手動で行なわれています。記録係は、プロ棋士を目指している奨励会員が主に行っておりますが、近年、高校・大学に進学する奨励会員が増えていることや、対局数が増加していることなどにより、記録係を担う人材が慢性的に不足する事態が発生しています。このままでは将棋連盟と各棋戦の主催者にとって、重要資産である「棋譜」が残せなくなることが危惧されてきました。
本システムは、リコーがこれまで培ってきた画像処理技術とAI技術により、これまで記録係が行ってきた棋譜の記録を自動化するものです。対局の盤面を天井からのカメラで動画撮影し、AIソフトに取り込み解析することで、リアルタイムで棋譜が生成され、将棋連盟の「棋譜データベース」に取り込まれます。これにより、記録係の人材不足が大幅に解消される見込みです。
2019年7月から開始される、第9期リコー杯女流王座戦本戦トーナメントから実証実験を行い、2020年4月以降の本格運用を目指します。

リコーは、2011年より、リコー杯女流王座戦を主催してきました。また、リコー将棋部は企業日本一を決定する内閣総理大臣杯職域団体対抗将棋大会のS級で現在、7連覇(継続中)するなど、これまでも将棋と深く関わっており、将棋対局に関わるノウハウを蓄積してきました。
また、AIへの取り組みとして、2017年にはAI開発に関する専任組織「AI応用研究センター」を設立して、AIの製品への搭載や、社内の業務改革への適用などに取り組んでいます。独自性のある高度な技術開発を進め、世界トップレベルのAI技術の開発を目指すと同時に、AIをより汎用化することで、広くお客様の課題解決に活用できるようにしたいと考えています。
今回の「リコー将棋AI棋譜記録システム」はAIによるお客様の身近な課題解決のひとつとして発表するものです。将棋連盟における「働き方改革」を支援していくことで将棋文化の発展に貢献していきます。

会長佐藤康光の挨拶(抜粋)

棋士や女流棋士にとって証となるのが棋譜です。一手一手丹精込めて積み上げたものです。 棋譜は棋士個人にとって棋士人生を支えるもので、将棋連盟にとっても大きな財産です。 ファンの皆さまにとっても、将棋の楽しさや面白さや棋士の個性を魅了するものとして考えています。将棋連盟は公式戦の棋譜をすべて残しています。いままでデータベースに10万局以上ありますが、現在は公式戦が年間で約3,000局指されていて、記録係によって棋譜をつけています。 記録係は奨励会員が担当していますが、近年は高校や大学に進学する奨励会員が増えていますし、対局数が増えております。記録係を担う人材が慢性的に不足していることが課題になっています。 そんな中、リコー様からこのような事業を一緒にさせていただくことで、将棋連盟の課題が解消されて、新しい一歩を進めるのではないか、新しい形で活用できるのではないかと期待しています。

株式会社リコー 執行役員 イノベーション本部 本部長 知的財産本部 本部長 将棋部 部長 古島 正様のご挨拶(抜粋)

リコーは2011年から女流王座戦を主催しておりまして、日本将棋連盟さまとご縁いただいています。
コピー機などを提供していますが、オフィスだけでは窮屈になってきているので、もう少し付加価値を提供していく場所を広げていこうとしています。オフィスから現場、そして社会へということを旗頭に進めています。
今回のリコー棋録により、ファンを含めた将棋関係者に、将棋の棋譜をAIを活用した画像認識で、自動生成による省力化して、将棋の楽しさを伝えることができると思います。
リコーは今回が初めてカルチャーにAIを適用しました。これからどんどん分野にAIを適用していって、皆さまに役立てられるのではないかと思っています。

記者会見では、鈴木大介常務理事と西尾明常務理事により、リコー将棋 AI棋譜記録システムのデモンストレーションが行なわれました(下写真)。

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