国会(参議院文教科学委員会)での将棋に関する質疑報告

更新:2019年05月02日 23:32

超党派の国会議員で組織される将棋文化の支援団体「将棋文化振興議員連盟」は、国会議員の皆様方と日本将棋連盟の話し合いにより結成され、8年目を迎えることになりました。今回、その事務局長である石井浩郎参議院議員が、2019年3月20日の参議院文教科学委員会(文部科学省所管予算の委嘱審査)において、将棋に関する質問をされましたのでご報告いたします。

日時 平成31年(2019年)3月20日午前10時
場所 参議院第22委員会室

以下、石井浩郎議員の質問(将棋関連部門を抜粋) ※全体の会議録はこちら

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石井浩郎議員
次に将棋の振興についてお伺いいたします。
将棋界におきましては、昨年、羽生善治永世七冠が国民栄誉賞を受賞されましたり、また藤井聡太七段が様々な最年少記録を達成するなど、大変国民の皆さんの関心も高まっているところであります。
ここで、ちょっと将棋の歴史を紹介させていただきます。無類の将棋好きで知られる徳川家康は、後に一世名人となる大橋宗桂らを江戸城などに招いて御前将棋を指させて、慶長十七年、1612年ですけれども、宗桂に俸禄を、給料ですね、を支給して棋士の地位向上を図ったという、こういう歴史がございます。それから四百年以上続いておりますこの日本の伝統文化である将棋、礼に始まり礼に終わるものでありまして、また思考力や集中力、また劣勢に追い込まれたときの忍耐力、これも鍛えることができるということであります。
将棋の特徴といたしましては、対局に負けた側が、負けました、参りましたと宣言する、ほかの競技では例を見ることのない礼儀作法もございます。負けを潔く認めて、負けた相手に敬意を払う勇気を持つということは、子どもたちの心の成長に役立つと考えております。このように将棋で育まれる能力や資質は、先ほどご質問をさせていただきました道徳教育にもつながると思っておりますが、将棋が子どもの成長にどう影響をもたらすのか、お聞かせ願いたいと思います。
柴山昌彦文部科学大臣
実は先ほどご紹介をいただいた羽生善治さんは、私の地元所沢の方であります。
将棋は古くから国民的な娯楽として親しまれてきた我が国の伝統文化であります。今御指摘をいただいたとおり、常に相手を敬う将棋の礼儀作法は、子供たちの心の成長に大きく役立つものだと認識しております。さらに、将棋は世界有数の頭脳スポーツでもあり、将棋を学ぶことで育まれる集中力などの能力は子供たちの成長にも大きな影響を与えると考えております。文化庁といたしましても、引き続き将棋の普及に取り組んでいきたいと考えております。
石井浩郎 議員
ありがとうございます。私も将棋がやっぱり大好きで、小さい頃からやらせていただいておりますけれども、日本将棋連盟さんから大変興味深いお話を伺いましたので、御紹介させていただきたいと思います。
今から二十四年前、中国上海で小中学校、高校に日本の将棋を広めようと活動されております許建東さんという方がいらっしゃいます。この方は、日本の将棋の普及活動やまた文化振興に大変御尽力されまして、大山康晴賞というのを受賞された方でございます。日本留学から上海へ帰国した後、彼は将棋こそこれからの中国を担う子供たちに教えるべきだと考えまして、母校の校長に将棋を取り入れるようお願いをし、説得をし、将棋が課外授業として行われるようになったということであります。授業を受けた生徒は集中力やまた礼儀を身に付け、成績が向上した生徒が大変増えたということであります。その話が瞬く間に他校に広がりまして、今では延べ200校近くで将棋の授業が採用されまして、これまで百万人以上の中国人が将棋の授業を受けて、また更に人気が高まっているということであります。
ちなみに中国では、囲碁や将棋は頭脳スポーツということで、体育の課外授業の中で行われているということであります。日本でも将棋という我が国が誇るべき伝統文化に触れることによりまして、先ほど御答弁いただきましたが、礼儀作法の習得でありますとか、また集中力、忍耐力など、児童生徒の豊かな心でありますとか生きる力を育むことに加えまして、また学力向上にも資すると考えております。日本の小中学校、高校でも子供の教育に有益と思われる将棋を何らかの形で授業に取り入れるということは大変大事だというふうに思っておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。
柴山昌彦 文部科学大臣
お話をさせていただいている将棋の意義に鑑みて、各学校において例えば総合的な学習の時間や特別活動におけるクラブ活動で将棋を扱うことは可能でありまして、実際に授業に取り入れている事例もあると承知をしております。
文部科学省としては、各学校の判断により、こうした取組みが地域や学校の特色及び児童生徒の興味、関心などに応じて今後も広がっていくことを期待しております。
石井浩郎 議員
ありがとうございます。今、上海における取組みの例を申し上げましたが、将棋は日本の伝統文化そのものであります。是非子供たちの教育に役立てていただくと同時に、また東京オリパラを機に世界の教育現場に教材として広がるよう、しっかりと発信していただきたいというふうに思います。

こちらは「将棋世界」(2019年6月号)228ページでも報告しております。

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