第70期名人就位式の模様

更新:2012年07月27日 14:27

名人就位式01

 2012年7月26日(木)、東京都文京区「椿山荘」にて、通算7期目の名人位を獲得した森内俊之名人を囲んでの『第70期名人就位式』が執り行われました。将棋ファンの方が多数参加され、約480名が出席した式は、主催者である朝日新聞社木村伊量代表取締役社長、毎日新聞社朝比奈豊代表取締役社長、日本将棋連盟米長邦雄会長からの挨拶があり、推戴状、賞金目録、協賛社の大和証券グループ本社松下浩一常務執行役より記念品の贈呈、元チェス全日本チャンピオンのジャック・ピノー氏からの祝辞、花束贈呈、森内名人からの謝辞へとすすみました。

名人就位式02

写真:木村代表取締役社長
「第1局の観戦記を執筆された作家の海堂尊氏は、森内名人は広く深く根を張る大樹、挑戦者の羽生二冠は融通無碍に吹き抜ける風と表現された。また、第2局を観戦された脳科学者の茂木健一郎氏は、二日間にわたり各9時間の長丁場で集中を高めていくその姿は、細切れの現代を生きる私たちにとって、神話的でありまぶしい存在と寄稿された。今後、どのような進化を遂げていくのか楽しみにしている。」

名人就位式03

写真:朝比奈代表取締役社長
「将棋名人400年の節目となった名人戦は、京都・北九州の大盤解説会を始め、多くの方々にお越しいただいた。森内名人は後進の指導にもご尽力され、子ども達にとってかけがえのないものになっている。先日の佐藤王将の就位式にもお見えになるなど、人の絆を大切にされ将棋界の至宝と思う。節目の名人戦であったが、来期も盛り上がるようにしていきたい。木村義雄十四世名人に並ぶ名人8期の大記録達成を期待したい。」

名人就位式04

写真:米長会長
「今期名人戦は、徳川宗家18代当主の徳川恒孝様に振り駒をしていただいたが、振った駒の配置が美しく、気品を感じた。400年を飾る名人戦は、節目の年にふさわしい充実した内容であったと確信している。今後とも総力を挙げて盛り上げて参りたい。」

名人就位式05

写真:推戴状授与

名人就位式06

写真:協賛社・大和証券グループ本社より記念品(ワイン2本)の贈呈。
「オーパス・ワンは、音楽用語で『作品番号1番』というワインで、名人にふさわしい。昨年の記念品である暖炉の前でグラスを傾けながら戦略を練っていただければ。」との紹介に会場より笑いがこぼれました。

名人就位式07

写真:元チェス全日本チャンピオンのジャック・ピノー氏
「18年前に初めてお会いしてから、チェスを通じて交流させていただいてきた。西洋でも近年叫ばれている、"もの"や、"ものの繋がり"を大切にする『エコロジー』の精神は何百年も前に日本の将棋に表現されている。森内名人は登山家のように、山を愛しながらゆっくりと登っていく印象。今、名人という大きな山の頂点に立たれたが、その山を愛し、またゆっくりと登り続けられることと思う。」

また、平野文部科学大臣よりの祝電が披露されました。 「名人400年の記念すべき今期の名人戦は最後まで目を離せない熱戦が繰り広げられ、多くのファンを魅了しました。」

尚、就位式には、将棋文化振興議員連盟より会長代行の山東昭子参議院議員と、副会長の市田忠義参議院議員が出席されました。

名人就位式08

写真:廣瀬晶妃ちゃんより花束贈呈

名人就位式09

写真:森内名人
「シリーズ前には両対局者の成績が余りにも違うため、心配されることや激励を受けることもありましたが、第1局を制することができ気持ちが楽になりました。勝負に絶対はなく、どんなに困難な局面でもチャンスがあれば掴み取りたい。未来は決まったものではなく、自分で切り開いていけることを感じてもらえればこれほど嬉しいことはありません。40代となりましたが、まだ伸ばせる点はありますので前向きに頑張りたい。将棋名人400年の中で、先人の方々と将棋界を支えて下さっている皆様に感謝し、次の世代に伝えられるように一歩ずつ進んで行きたい。」

就位式に引き続き、師匠の勝浦修九段より乾杯のご発声があり、祝賀会が始まりました。

名人就位式10

写真:勝浦九段
「今回の名人戦は、森内は不調、羽生二冠は調子が良く、正直防衛するのは難しい、と思っていました。この椿山荘で第1局が行われ、勝ち切ったことが大きく、結果的に防衛することができました。さらに、ほかのタイトルを獲りにいく、それができると信じています。」

祝賀会では、森内名人の成田地区後援会会長の小泉一成成田市長より記念品、横浜市立もえぎ野中学校の生徒より花束と寄せ書きの贈呈、直筆色紙の抽選会が行われました。

名人就位式11

写真:記念品贈呈「成田市観光キャラクターのうなりくん」

名人就位式12名人就位式13

写真:花束と寄せ書きの贈呈(横浜市立もえぎ野中学校)

名人就位式14

写真:山東参議院議員による抽選会

名人就位式15

写真:藤田観光末澤代表取締役社長
「椿山荘は名人戦第1局と就位式を5年連続で開催させていただいているが、年々来場される方が増えており特に多くの若い方にいらしていただいている。66期・69期・70期と森内名人は三回とも第1局を椿山荘で勝利しており光栄に思う。今後のご活躍を祈念したい。」

今後の将棋界の発展と森内名人の活躍を祈念して、1本締めにて盛会のうちに終了いたしました。

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

関連ニュース

一覧へ