羽生善治名人記者会見

更新:2008年06月17日 15:28

記者会見の模様

6月17日の対局終了後、「天童ホテル」にて羽生善治名人の記者会見が行われました。
内容は以下の通りです。

対局を終えて
気分的にはホッとしたと言うか、だいぶ気持ちも落ち着きました。名人戦は獲得するのも(挑戦者として)出るのも大変で、瞬間的なものではなく、長い道のりのプロセスとしてあるのだなということを痛感しました。
「実績からして、もっと早く永世名人になっていたのでは?」という声に対して
結果が出ていなかったのは自分の実力と思っていましたので、目の前の一局、次の一手をずっと大切にするように心がけていました。
今回の名人戦は、これまでと比較してどのように位置付けされるものであったか?
30歳代という中で、自分がどういう将棋を指すことができるか。また、どういう結果を残せるかということを試されているようなシリーズだったと思っています。初めて名人戦に出たときの勢いに任せてという感じとは、少し違ったという感じはあります。
第5局に負けた後、第6局までにどのように立て直したか?
終わってしまったことはしょうがないので、次の対局に向かって集中し調整していくということを中心に考えていきました。
慎重に指しているように感じたが、今回の名人戦を振り返って
"将棋"は簡単じゃないと思うことがすごく多く、名人戦第1局も慎重に指したというところもあります。急に行くような手や一気に決戦するという手は、うまく行かないという場面が非常に多かったので、自重するというか丁寧に指しました。気持ちとしては、積極的に行きたいという気持ちはあったんですが、ただ、なかなかそういう局面にはならなかったですね。
「名人戦は出るのも大変」とのことだが、3年ぶりの名人戦はチャンスだという気持ちはあったか?
もちろん名人戦に出るからには、そういうつもり(チャンスという気持ち)もありましたし、名人戦という舞台にふさわしい将棋を指したいという気持ちもありました。
永世名人を意識したのはいつか?
第4局が終わって、あと一勝になって。それまでは、そういったことはあまり考えずに指していたんですけど、今日の将棋に関しては、あまりそういうことを考えすぎては、きっと良くないだろうと思っていたので、思い切って積極的に行けたらいいなということも合わせて感じていました。
夕食休憩中何を考えていたか?
局面のことを考えてました。実戦の展開を考えて△8五桂と跳ばれてどうするかと、そういったことを考えていました。ちょっと良いような気はしたんですけど、手堅く行って逃げ切れるリードではないと思っていましたので、どこかで踏み込まないといけないだろうなと思いながら休憩をすごしていました。
幼い頃からライバルであった森内九段との名人戦にテーマとか感慨深いといったことはあったか?
1局1局が重いと言うか、なかなか簡単にいかない、という感じは毎局毎シリーズあります。自分自身も根競べのようなものに負けないように指していました。第1局のときは、私から行って悪くなってしまったので、最後の最後まで集中を切らさないで大事に指すという事が、森内さんと指すときの大きなテーマかなと思っています。
初めての名人戦のときはそういったこともありましたが、何回もシリーズや対局を行っているので、小学生時代からということよりも前の対局より密度の濃いということを気にしてやっています。これから先もこういう対局を続けていければと思っています。
今後の目標について
ここで一息つきたいところですけど、直近に次の対局が迫っていますから、今日は今日として、非常に嬉しいというかホッとしたという気持ちもありますけど、次からの対局に全力を尽くして行きたいと思います。
歴代の名人に十九世として名を連ねたことについて
自分自身も頑張って昔の先輩たちにすこしでも追いついていけるようにという気持ちはありますけど、いまいちピンとこないというのが、今の正直な実感です。
永世名人の資格争いで森内九段に先を越されたが、今期にかける思いはあったか?
順位戦に落ちると大変なので、もちろん常に一生懸命やっていましたし、挑戦者になって七番勝負に出てたとして、来年も挑戦者になれるという保障はありませんので今回のチャンスを生かしたいという気持ちはありました。それまでのことはどういう形であれ、結果は結果なので自分の実力だと思っています。
永世称号が6つ目になったことについて(大山十五世名人、中原十六世名人を抜いて)
単純に比較は出来ないですけど、そういう記録が出来たということは誇らしく思います。
相性の良い棋戦と悪い棋戦があるように思えるが、自身ではどう感じているか?
相性の良い悪いというよりも、名人戦は簡単じゃないというのを感じる場面が多かったということはあります。自分自身の中では相性が悪いという感じはないですが、簡単にはいかないなという感じはすごくあります。
永世名人を獲得するまでに長い道のりでしたが・・・
棋士は長くやっていけるものなので、深く気にしないという言い方も変ですが、その瞬間瞬間の次を目指していきたい。ある意味マラソンみたいなもので、途中で走るのをやめるというのではなく、ずっと走り続けるという姿勢が大事なのかなと最近は思います。
永世7冠について
目指せるようにがんばります。
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