女流棋士独立問題について

更新:2007年04月24日 15:00

 日本将棋連盟は、平成19年4月24日(火)午後4時より、東京・将棋会館において、米長邦雄会長、西村一義専務理事、田中寅彦常務理事が出席し、女流棋士独立の件につきまして、報告と経緯説明を以下の通りいたしました。

  • 理事会は新法人を立ち上げる女流棋士の皆さんに「独立」を勧めています。女流棋士は、今まで通り日本将棋連盟所属のメンバー、新法人に移籍する人々に分かれました。
  • 平成19年4月23日現在、日本将棋連盟所属の意思確認をした女流棋士は39名です。各人が自分の意思で決めたもの、あるいは親権者の同意を得て決めたものです。氏名は下記の通りです。
今後について
  • 新法人に移籍される方の諸権利につきましては、弁護士同士で話合っていく予定です。
    1) 対局権利
    2) 肖像権の扱い(将棋世界、将棋年鑑、ホームページ等)
    3) 普及イベントでの扱い(将棋教室、将棋まつり等)
    4) ファンクラブの扱い
    5) 対局場の問題
    6) その他
経緯説明

一部の報道に誤解されかねない記事があります。 事実のみ時系列を追って今回の女流棋士独立の顛末を記します。

  • 日本将棋連盟の会計
     慢性赤字ではありません。諸々の改革の結果、一昨年度は単年度黒字になりました。昨年度は先行投資等もあって赤字にはなりますが、ごく短期間で健全財政になると信じています。
  • 女流棋士会の独立
     これは経費の削減とは全く無関係です。元より歴代の理事会は女流棋士会には好意的であり、現理事会も踏襲しているつもりです。
     平成18年12月1日に突然女流棋士新法人設立準備委員会が立ち上りました。
    会長個人も、理事全員誰もが知らなかったことは事実です。「事前に指導をいただいている」との談話もありますが、少なくとも平成18年4月1日以降8ヶ月間は没交渉でした。
  • 寄付金について
     女流棋士新法人設立準備委員会の方々全員が平成19年1月30日に連盟を来訪され、双方の弁護士同席で寄付金募集を知らされました。
     全く別の団体がすることですので、反対できることはありませんが、円満な独立を目指すのであれば、寄付の募集先、募集の方法などについて事前に説明があって然るべきであったと考えます。2日後の2月1日から募金活動をはじめました。
  • 残留を巡る女流棋士間のトラブル
     平成18年12月1日の女流棋士総会以後、同日の決議の解釈をめぐり、これにより新法人の独立が決定したという女流棋士と、単に準備のための委員会を立ち上げたのみであるというグループに二分されました。その結果、連盟内に残りたいとの意思表示をした者は2桁であり、もはや溝は埋まらないというのが実状でした。
     新法人への移籍を巡って対局日にトラブルも生じ、対局前日の説得工作、頻繁にかかる電話等々の相談が理事会に寄せられるに至りました。体調を壊す者も出ており、このままでは不測の事態が生ずる恐れがあると危惧しておりました。
     理事会は平成19年3月7日付で、55名の女流棋士全員に残留か独立かの意思確認を求めました。理事会は本来静観すべき立場ですが、事ここに至ってはこのような意思確認をせざるを得なかったのです。
     その結果、39名の女流棋士の残留の意思が確認されましたが、これは各人の強い自主的な意思によって決められたことであります。
     尚、日本将棋連盟が主催もしくは共催している諸々の普及活動等は本連盟所属の女流棋士が行うよりありません。お互いに競い合いつつ良い結果が出るよう願っております。一部の報道では「理事会が残留工作」などと事実無根のものがあります。理事会はリストラのために独立をすすめたり、一転して残留工作など、全く矛盾するようなことはどちらもしておりません。
今後について

 どうしても連盟内に残りたいとする者と、独立すると記者会見までしたグループとがおります。連盟理事会としては、両者ともそれぞれが所属の帰趨を明確にしてもらわなければなりません。又、連盟所属の意思表示をしておきながら、自らが連盟内に居る間に女流仲間の移籍勧誘等をする行為は信義にもとるのみか混乱をもたらす行為であり、このような行動は取るべきではないということが平成19年4月20日、残留を決めた女流棋士の会合で確認されました。

 平成19年4月20日付の女流棋士新法人設立準備委員会の文書を拝見しますと、合計しても17名に過ぎない立場にありながら、2倍以上の残留者に対し、新法人に入り一つになるように説得し続ける旨のスタンスが明示されております。このようなスタンスは混乱を引き延ばすことに繋がるばかりです。

 この独立問題は、女流棋士の総意で決めること。全員独立も総意、全員残留も総意。分裂も又総意である。
 それぞれの意思を尊重するのが理事会の姿勢です。
 理事会としましては、一日も早く女流棋士が対局に専念出来て、普及活動に務める安らかな日が来ることを強く願っています。

平成19年4月24日 日本将棋連盟 理事会

社団法人日本将棋連盟所属 女流棋士名簿 平成19年4月23日現在
No. 氏名 備考 No. 氏名 備考
1 関根紀代子 26 野田澤彩乃
2 谷川治惠 引退 27 山田朱未 関西
3 森安多恵子 関西 28 上田初美
4 宇治正子 引退 29 坂東香菜子
5 長沢千和子 30 村田智穂 関西
6 山田久美 31 鈴木環那
7 清水市代 32 中村真梨花
8 高群佐知子 33 貞升 南
9 斎田晴子 34 岩根 忍 関西
10 石髙澄恵 35 里見香奈 関西
11 植村真理 関西 36 井道千尋
12 船戸陽子 37 室田伊緒 関西
13 古河彩子 38 伊奈川愛菓
14 高橋 和 引退 39 熊倉紫野
15 林 まゆみ 関西
16 本田小百合
17 久津知子
18 矢内理絵子
19 千葉涼子
20 伊藤明日香
21 竹部さゆり
22 早水千紗
23 甲斐智美
24 安食総子
25 藤田 綾

女流棋士独立問題について(2007年3月30日)
女流棋士独立に関連して(2007年2月21日)
女流棋士新法人設立準備委員会より各界への寄付の要請に関する理事会の立場について(2007年2月14日)
女流棋士独立について(2006年12月1日)

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