佐藤秀司常務レポート 袴田巌さんへ初段免状を授与

更新:2017年05月18日 13:55

袴田巌さん_02 袴田巌さん_0151年前に起こった「袴田事件」。
長きに渡って収監されていた袴田巌さんは3年前に 釈放され、再審開始を待つ身である。
そしてまた、無類の将棋好きで知られている。
その袴田さんが在住する静岡県浜松市で3月に王将戦第6局が行われ、その時に対局会場に来られず、代わりに来場された令姉の秀子さんに対局者のサイン入り色紙が渡された。
そして5月11日(木)に関係者の骨折りで同市在住の神谷広志八段と将棋を指す機会が作られた。
普段は有段者にも勝つ実力を持つ袴田さんに、初段免状を用意して私たちはご自宅に伺った。
偶然ではあったが袴田さんはこの3月の誕生日に81歳の「盤寿」を迎えたばかりだった。
この日、報道各社は十社を超えていた。
昼間は街を散策する袴田さん。夕方、帰宅して神谷八段が待つ居間に。
そして対局してもらおうとするも、袴田さんは首を縦に振らない。
これには伏線があり、2日前に袴田さん宅を訪問した弁護士と将棋を指したのだが、大熱戦の末に袴田さんの負けとなった。
元ボクサーでもあり負けず嫌いの袴田さんは「もう一局!」と申し出たものの、その後の予定があった弁護士は帰って行った。
この「勝ち逃げ」に憤懣遣る方無い袴田さんは、その悔しさをまだ引きずっていたのだ。
今回の企画をした関係者が説得するも頑として応じず。
それが1時間も続いたが、意思の固さにとうとう断念。
私が谷川浩司九段の扇子と、そして免状を読み上げて贈呈した。
また、盤上に詰将棋を作ると、袴田さんは見た瞬間に解いてみせて周囲を驚かせた。
そして用意していた詰将棋の書籍も贈呈するや、食い入るように問題を見つめて解いていた。その集中力に、また周囲から感嘆の声が上がった。

結局、神谷八段との対局は実現せず空振りに終わったが、いつの日か年季の入った居飛車の攻め将棋を見せてほしいものだ。

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