羽生善治三冠が東京大学駒場キャンパスで特別講演を行う

更新:2013年12月10日 15:55

羽生善治三冠の特別講演が、12月5日に東京大学駒場Iキャンパスで行われた。 対象は東京大学大学院総合文化研究科・教養学部の学生。会場の定員に近い約 170名が参加し熱心に聞き入った。90分超の特別講演の終了後、さらに約20分程 度の活発な質疑応答も行われた。 羽生三冠東京大学駒場校で特別講義01

講演は「格言から学ぶ将棋」と題され、「歩の無い将棋は負け将棋」「ヘボ将棋、王より飛を可愛がり」「玉の早逃げ八手の得」など将棋で古くから用いられる有名な格言を中心に羽生三冠が選んだ50(*1)の言葉が取り上げられた。一つ一つの格言について、羽生三冠自身の将棋の例や体験が大盤を用いて紹介さ れ、参加者は将棋の考え方を広く学んだ。この講演の動画は後日、東京大学によりtodai.tv(*2)にて広く無料で公開される予定である。

羽生三冠東京大学駒場校で特別講義02 また、講演終了後に設けられた質疑の時間では、参加した学生から多くの質問があった。質問内容は、対局や勝負に関することから普段の生活で心がけていることなど多岐にわたり、それぞれに対して羽生三冠の言葉で丁寧な回答が行われた。

この講演は、2013年度冬学期に東京大学教養学部1、2年生を対象とする全学体験ゼミナール「将棋で磨く知性と感性」の開講を機に特別に企画されたものである。同ゼミナールは修了すれば単位が認められ、約40名の主に初心者を対象に開講されている。講義内容は対局をはじめ、将棋の歴史や文化・対局の礼儀作法・局面ごとの考え方など多岐にわたる。授業内の対局は、タブレット端末を用いて棋譜を記録し、学生同士の感想戦で局面を振り返るための補助や講師による指導に活用されている。

授業の担当は、日本将棋連盟の堀口弘治七段(客員教授)、勝又清和六段(客員教授)、矢内理絵子女流四段(客員准教授)と、東京大学の金子知適准教授である。また、運営支援として、株式会社栄光(栄光ゼミナール)より運営費、富士通株式会社よりタブレット「ARROWS Tab Wi-i(FAR70B)」20台の寄付を受けている。

(*1)
1、一歩千金 2、歩の無い将棋は負け将棋 3、三歩持ったら端攻め
4、手の無い時には端歩を突け 5、と金の遅早 6、5三のと金に負けなし
7、金底の歩、岩より固し 8、と金は金と同じで金以上 9、焦点の歩
10、下段の香に力あり 11、底歩には香で攻める 12、香の田楽刺し
13、桂の高跳び歩の餌食 14、三桂あって詰まぬことなし 15、銀は千鳥に使え
16、銀は引く手に好手あり 17、一段金に力あり 18、玉の守りは金銀三枚
19、攻めは飛角銀桂 20、遠見の角に好手あり 21、歩越し銀には歩で対抗
22、大駒は近づけて受けよ 23、馬は自陣に引け 24、ヘボ将棋、王より飛を可愛がり
25、玉飛接近すべからず 26、玉の早逃げ八手の得 27、中段玉寄せにくし
28、玉は下段に落とせ 29、香の四隅を見る 30、端玉には端歩
31、居玉は避けよ 32、銀が泣いている 33、玉は包むように寄せよ
34、序盤は飛より角  35、終盤は駒の損得よりスピード 36、位を取ったら位の確保
37、穴熊には端攻め 38、金無し将棋に受け手無し 39、二枚換えなら歩ともせよ
40、王手は追う手 41、四枚の攻めは指しきらない 42、不利な時は戦線拡大
43、横歩三年の患い 44、振り飛車には角交換 45、手損は避けよ
46、5筋の位は天王山 47、離れ駒に手あり 48、遊び駒を活用せよ
49、悪手の山の中を歩いている 50、臨機応変
(*2) http://todai.tv/

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

関連イベント

一覧へ