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先崎九段の子供の頃

更新: 2015年2月28日

米長邦雄先生と7年間、週刊ポスト誌の将棋指導の企画で日本全県の支部を廻りました。その頃は外国の支部は少なかったのですが、香港、アメリカ、カナダ、タイ、ヨーロッパも行きました。

先生と家が近かった事も有り、鷺ノ宮、阿佐ヶ谷で何度呑んだか解りません。早朝、自転車の籠に酒の瓶を何本も持って我が家に来られ、
「サ、呑みましょう。」
そんな日も有りました。

先崎さんが入門したのもその頃でしょうか、師匠の米長先生は、
「あの子は朝一番で新聞の株式欄を読むんですよ…。」「変わっているでしょう…。」
と言っていました。

先崎さんは小学生4年生で同門の林葉直子さんが中学1年生。新宿将棋センターに看寿、宗看の詰め将棋を解きながら二人で通っていました。

僕もその頃初段から参段あたりを目指していたので先崎さんに聞いた事が有ります。
「先ちゃんサー、初段から参段になるのにどれくらいかかったの?」
「そうですね、アマチュアの段でしょう?…たぶん2時間くらいだったと思いますよ。」
「若いプロは寝て起きると強くなると言われていますから…。」

先崎さんは現在18冊も本を出版しています。最初に出版したのが、たぶん「一葉の写真」講談社だと思います。今、この本を読み返して、僕が参加しているイベントも有るなぁ~と思いました。

タイトル戦の打ち上げで、広間の舞台で師匠と二人踊りだしたり、僕はその写真を1枚撮って、当時とても売れていた新潮社の「フォーカス」誌に掲載されました。
あの頃、将棋関連の写真を時々提供していましたが、発行部数が半端ではなかったので反響がとても大きかったのを覚えています。

先崎さんは今九段ですが、僕には小学生の頃と今もまったく変わらない絵が頭の中には見えています。
彼を無頼派とは言わないでしょうが、やはり昔の将棋指しの匂いがとても多く残っている棋士だと思います。

コンピューター全盛の今、将棋はとても苛烈な時代、でもそんな時代だからこそ先崎さんの優しさが漂う文章を読みたいなぁ~と僕は思っています。
そうそう…一葉の写真、あれ撮ったのは僕だと思うよ。

【掲載写真についてのミニ解説(サイト編集部記)】

写真上から順に(1):
入門したての頃の先崎少年。昭和55年に故米長邦雄永世棋聖の内弟子(住み込みの弟子)として入門。奨励会入会は、昭和56年11月に5級でスタートした。
写真(2):
元女流棋士の林葉直子さんと先崎少年。共に内弟子仲間であった。
写真(3):
昭和56年2月の写真。米長永世棋聖は、テレビ東京で放映されていた早指し将棋選手権戦を昭和55年、56年と2年連続で優勝しているが、優勝後に鷺ノ宮駅前の焼き肉店で家族や弟子達と一緒に祝勝会を行った。弦巻氏も会に呼ばれ、参加し、その時に撮った一枚。優勝カップを持った先崎少年の右隣は現在の伊藤能六段。
写真(4):
昭和55年秋頃に米長永世棋聖宅で行われた週刊ポストの指導対局の様子。米長永世棋聖と対局をしているのが今の中井広恵女流六段。当時、まだアマチュアで二枚落ちでの対局だった。ちなみに、中井が88手で勝っている。また、スーツを着て笑顔でいるのが、米長永世棋聖の師匠、故佐瀬勇次名誉九段。
写真(5):
麻雀を打っている先崎。四段になりたての頃の一枚。先崎九段も棋界の雀士として知られており、自著でもたびたび麻雀の話題を採りあげている。
写真(6):
十段戦にとってかわり第1期竜王戦が昭和62年11月13日に開幕。開幕局の中にランキング戦6組の村山聖四段 対 古賀一郎アマ戦、森内俊之四段 対 小林庸俊アマ戦、そして先崎学四段 対 小島一宏アマ戦の3局も行われた。村山-古賀戦は、古賀アマが勝利。森内-小林戦は、森内四段が勝ち、先崎-小島戦は、198手の熱戦の末、先崎四段が勝った。その対局開始の時の一枚。超大型棋戦の開幕局、しかも相手がアマチュアとあってか、流石の先崎四段の表情にも硬さが見られる。なお、別の日に同門の中川大輔四段 対 谷川俊昭アマ戦が行われたが、四段になりたての中川が勝っている。第1竜王戦のプロアマ戦は、プロ側の3勝1敗という結果だった。
写真(7):
平成元年のおそらく3月初旬頃の対局帰りであろうと思われる写真。羽生善治五段を中心に左に先崎学四段、左に先日逝去された河口俊彦六段の姿がある。奥右側は、堀口弘治五段、左奥は、おそらく、室岡克彦五段、石川陽生四段が写っている。格好からして、先崎四段は対局ではなさそうだが、何やら満面の笑みを浮かべて話している。当然撮影されたのは、夜ということになるが、向かって歩いてくる被写体を撮ることは、想像以上に難しいもので、ましてや夜ともなれば尚更だが、そこは流石にプロカメラマン。主役三人の一瞬の表情と姿を見事に枠におさめている。心に強く刻み込まれる一枚だ。

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