LPSAによる一方的な契約解除通知と、石橋女流四段の マイナビ女子オープン対局放棄についての記者会見

更新:2013年02月22日 20:22

 本日、日本将棋連盟は東京・将棋会館で標記の懸案事項について、渉外担当の田中寅彦専務理事、北島忠雄理事、谷川治惠理事、関根紀代子女流棋士会会長、矢内理絵子同副会長、木村明弘渉外部部長待遇が出席して記者会見を開きました。

2013年2月22日記者会見の模様01
写真左から、矢内理絵子女流棋士会副会長、関根紀代子女流棋士会会長、田中寅彦専務理事、谷川治惠理事、北島忠雄理事、木村明弘渉外部部長待遇

 冒頭、田中専務が声明文を読み上げました。
※声明文要約
「LPSAに対し、棋戦主催者、協賛者、将棋連盟、そして将棋ファンが納得する明確なけじめと、真摯な対応をお願いして2点の最終提案を行いましたが、誠意ある対応が見られず、連盟としては苦渋の決断でしたが、次のような決定をいたしました」

(1)LPSAとは全ての新規契約を締結しない
(2)石橋幸緒女流四段を、連盟の主催する棋戦における出場者として一切の推薦をしない
(3)スポンサーとの契約関係が存続中の今期開催の棋戦に関しては、スポンサーと協議し、LPSA所属の女流棋士の出場に関して決定する
(4)2月24日(日)に延期されていた「大和証券杯ネット将棋・女流最強戦2回戦、中村真梨花女流二段対石橋幸緒女流四段」については、予定どおり行う

 その後、東京将棋記者会会員による質問に答える形で、田中専務は「今回の決断は日本将棋連盟としての決定事項で、今後棋戦主催者、スポンサーとしっかり協議してまいります。(1)から(3)までは、本日を起点として1年間と考えています。棋戦参加については、LPSAを窓口にはしない所存です。LPSA所属の女流棋士とは、個々に交渉することを考えています。その場合、LPSAに所属したままでも結構です」と続けました。
 関根女流棋士会会長は「お騒がせして申し訳なく思っています。対局は棋士の命です。今回のことを反省しながら、若い女流棋士たちが対局に精進できるように頑張ってまいります」と、新たな決意を述べました。
 最後に田中専務は「今後、将棋ファンの期待を裏切らないように力を尽くしていきます」と述べて会見を終了しました。

2013年2月22日記者会見の模様02 2013年2月22日記者会見の模様03

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LPSAによる一方的な解除通知及び石橋幸緒女流四段(LPSA所属)の 対局放棄問題に対する日本将棋連盟の声明(全文)

 当連盟は、日本女子プロ将棋協会(LPSA)による第6期マイナビ女子オープン契約の一方的な解除通知と、石橋幸緒女流四段による1月30日のマイナビ女子オープンの対局放棄による不戦敗問題(以下「本件問題」といいます。)について、これまでLPSAと何度も協議を行い、さらに、女流棋戦主催者・協賛社様にも複数回立ち合っていただくなどして、協議を重ねてまいりました。
 この点、本件問題の所在をご理解いただきたく改めてご説明申し上げます。LPSAの要求は、LPSA独自に設定したプロ認定基準に基づき認定した女流プロ棋士を、連盟の認定基準に基づき認定される女流プロ棋士と同等に扱うよう要求するもので、連盟がこれに応じないのは、LPSAの自主性・自治権を否定する等の主張でした。
 しかしながら、それぞれの社団は、それぞれの目的、基準において運用されるものであり、LPSAがいかなる対応をされようとも、連盟は、プロ認定基準を変えることはできません。連盟には曲げることができない秩序と基準があるのです。
 加えて、対局は、棋士にとって命です。
 その対局を前日に記者会見までして拒否したうえ、謝罪もしないという対応は、前代未聞のあり得ない出来事です。
 そこで、連盟は、LPSAに対し、主催者、協賛社、将棋連盟、将棋ファンが納得する明確なけじめと信頼回復のための真摯な対応をお願いしてまいりました。そして、最終案として、次の2点について提案を行い、一定期限までに返答されるよう申し入れました。

(1)本件問題について、LPSAという組織及び石橋氏個人の立場から(株)マイナビ様に対し真摯に謝罪を行い、(株)マイナビ様から容赦してもらうこと。
(2)LPSAが、連盟と今後友好的関係を築くよう努力する旨、また、女流棋士認定基準について、連盟、棋戦主催者及び将棋ファンが広く納得する共通の価値・認識を持つ基準を協議する旨を表明すること。

 その際、併せて、LPSAが期限までに上記2点の対応を完了されたならば、渡部愛さんについて特例を認めるという柔軟な対応表明までいたしました。
 連盟が上記のような対応をいたしましたのは、LPSAが問題の本質を理解せず、いつまでも自己の主張に固執することは、スポンサー各社様の理解が得られないだけでなく、将棋ファンを困惑させ、今後の将棋の発展と普及を阻害するという危機的問題であると強く認識したからです。世界に誇る伝統文化たる将棋を守るためにもできる限りの対応をさせていただき、再考されるよう何度も要請した次第です。
 しかし、LPSAは、当初は「契約を解消したのだからその必要はない。」という返答があり、最終的には、連盟の提案(2)のうち、連盟との友好関係を築くよう努力する旨の表明はせずに、今後、棋士認定基準について協議することのみを表明した上、この協議が軌道に乗った場合には、(1)のマイナビ社への対応を行うという返答をしました。つまり、LPSAの最終回答は、要は、LPSAの認定基準について連盟との協議が整えば、マイナビ様に対局放棄について謝罪してもよいというものです。
 上記LPSAの回答は、対局を軽視するものであって、スポンサーであるマイナビ様に対する敬意も誠意も認められず、ひいては、棋戦を期待してくださる将棋ファンをも愚弄するものにほかなりません。
 連盟としては、LPSAの代表者でありかつ棋士である石橋女流四段が、本件問題に誠意ある対応をされず、命ともいうべき対局を故意に拒否するという暴挙に出てもなお真摯な謝罪を表明されない以上、もはや棋士の心を失ったと判断するよりありません。また、LPSAによる違法行為を許容することもできません。ついては、連盟は今後、次の対応をすることに決定いたしましたのでお知らせします。

■連盟は、LPSAとは全ての新規契約を締結しません。
■連盟は、石橋幸緒女流四段を、連盟の主催する棋戦における出場者として一切の推薦をしません。
■スポンサーとの契約関係が存続中の今期開催の棋戦に関しては、スポンサーと協議しLPSA所属の女流棋士の出場に関して決定を致します。
■2月24日(日)に延期されていた「大和証券杯ネット将棋・女流最強戦2回戦、中村真梨花女流二段対石橋幸緒女流四段」については、日程を再延期しました経緯もあり、予定どおり行うこととします。
※なお、石橋女流四段の出場者としての取扱に関する処分期間は1年とし、LPSA・石橋女流四段がファンとスポンサーに納得のいく謝罪が無い限り継続とする。

 女流棋戦主催、協賛各社様からは、不戦敗の再発防止対策をするよう要望をいただいております。LPSA所属の他の棋士については、各棋士に対局を行う意志を改めて確認し、確認が取れましたら予定どおりに対局を進めさせていただきます。
 最後に、本件問題において、皆様に多大なるご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。併せて、将棋を愛する多くの皆様が将棋界の将来を一緒に憂慮してくださり、対策に奔走してくださったことに感謝申し上げます。
 結果として、上記対処を取らざるを得なかったことは、連盟にとっても苦渋の決断でありましたが、今後の将棋界の発展と普及のため厳格に対処せざるを得なかったことをご理解いただきたく、重ねてお願い申し上げます。

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