1三歩と垂らしても先手よし。矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第98回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は△6四角まで】

1三歩と垂らしてみよう

いま▲4六角と飛車取りに引いた手に対し、△6四角とぶつけてきたところです。前回のコラムでは、ここから▲3三歩と打って攻めをつなげていきました。これでも先手十分でしたが、今回は別の攻め方も見ていきましょう。

まずは▲6四同角△同歩と角交換をします。そこから▲3三歩△同桂▲1五香とすると、前回解説しました順に合流しますが、もちろん今回は別の手でいきます。△6四同歩に▲1三歩(第2図)と垂らします。

【第2図は▲1三歩まで】

第2図から、▲1五香~▲1二歩成となると後手は端を破られてしまいますので、△2四歩と桂を取りにくる手が見えますが、▲1五香△2五歩に▲1二銀と単純に打ち込んで先手十分です。よって、後手は1三の歩を取るか、1五の歩を守るかをしてきます。順に見ていきましょう。

まず、△1三同香は▲同桂成△同桂▲1五香△1四歩▲同香△1二歩▲1三香成△同歩▲2五桂(第3図)で先手よしです。

【第3図は▲2五桂まで】

次に▲3三歩の打ち込みと、▲1四歩△同歩▲1三角の攻めがあります。第3図から、△2一桂と受ければ両方いっぺんに受かってそうですが、▲1四歩△同歩▲3三歩△同桂▲1三角△1二玉▲3三桂成△同金寄▲2五桂で攻めきれます。

次に第2図から△1三同桂ですが、▲1五香と走り、△1二歩には▲3三歩の打ち込みがあるので△2五桂と取ってきますが、▲1一香成△同玉(△1七桂成は▲2一銀)▲2五歩(第4図)としてこれも先手よしです。

【第4図は▲2五歩まで】

第4図からは▲4一角、▲1三歩や、いきなり▲2四桂と打つ手もあり、さまざまな攻め筋が残っています。第4図から△2二玉と形を直してきても、▲2四桂と打つ手が厳しいです。以下、△3三金上は▲1八飛△1三歩に▲3二歩の垂らしが▲3一角を見て厳しいですし、△2四同歩は▲同歩と進めておいて、▲2八飛や▲2九香の応援も利くのでこれも先手が攻めきれるでしょう。

△2四銀と1五の歩を守る手には?

では、第2図から△2四銀と1五の歩を守る手はどうでしょうか? こうされると1筋を攻め続けるのは難しそうで、攻めがとん挫したようにも思えます。ですが、△2四歩と突く手がなくなりましたので、先手は安心して攻められますね。▲6一角(第5図)と打つのがよいでしょう。

【第5図は▲6一角まで】

第5図から、先手の狙いは▲7一銀や▲8三銀から飛車を狙ったり、▲4一銀と打つ手もあります。△4二金寄には▲4三角成△同金▲3二金から飛車を入手してガンガン攻めていくことができますね。銀損の攻めですが、8一や9一にいる桂や香(今回は駒数を減らして解説していますので、図面上にはないですが)を打ち込んだ飛車で取れば、攻めながら駒損を取り返していくことができます。

よって、第1図から▲3三歩、▲6四角△同歩▲1三歩のいずれも先手が満足に攻めることができました。

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