突き捨てが生きても攻めが難しい。矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第101回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は▲6八角まで】

いま3五で銀交換が行われ、△3四歩と角取りに打たれ、▲6八角と引いた局面です。前回はここで△2四歩と突く手を見ていきました。今回は、△6四角(第2図)と出てくる手を見ていきましょう。

▲1三銀が強烈な打ち込み

【第2図は△6四角まで】

もちろん、無条件で△1九角成と取らせるわけにはいきませんね。さて、どう対処するのがよいでしょうか? ▲4六歩は角筋が止まってしまうので、△2四歩▲3三歩△4二金寄で2五の桂が助からず、先手難局です。▲1八飛は△3七角成なら▲3三歩△4二金寄(△3三同桂は▲1五飛! で△同香は▲1三角成△2一玉▲1二銀までの詰みがあるため、一発で決まります)▲1三銀(第3図)が強烈な打ち込みです。

【第3図は▲1三銀まで】

第3図以下、△1三同香▲同桂成△同桂▲1五飛△1二歩▲1四歩で攻めが続いていきます。また、▲1八飛に△2七銀と打つのも、▲3三歩で△1八銀成は▲3二歩成△同玉▲1八香で飛車と金銀の二枚換えで先手よしですし、△3三同桂は▲1五飛、△4二金寄は▲1三銀でいずれも先手がよいですね。

また、△2七銀のとき単に▲1三銀と打つのも有力です。△3一玉なら▲1五飛、△1三同香も▲同桂成△同桂▲1五飛でいずれも2七に打った銀が空振りになりますね。3三にくさびは入っていませんが、△1八銀成と飛車を取られる変化を消していますので、こちらのほうがオススメです。

▲1八飛で先手よし?

以前解説した端を突き越す形では、端の突き捨てが入っていなかったので、▲1八飛に△2七銀と打たれて失敗でしたが、この形では突き捨てが生きましたね。では、▲1八飛で先手よしでしょうか? がっちりと△2四銀と受ける手もあり、これでも先手の攻めが難しいですが、△1六銀(第4図)と打つ手があります。

【第4図は△1六銀まで】

次に△3七角成~△2六馬とする順があるので、なにか攻めなければなりませんが、第4図で▲3三歩は△同桂▲同桂成△同金寄で続きません。▲1三歩と垂らしても△同桂▲同桂成△同香△2五桂に、△同銀▲同歩△3五桂(第5図)とあっさり応じられると、次に△3七角成や△1六歩と伸ばす手があって銀桂交換の駒得になったものの、先手の攻めが難しい局面となります。

【第5図は△3五桂まで】

第4図で▲4六歩と角成を受けるのも、△2四歩でこれも先手が失敗になります。よって、▲1八飛は△3七角成や△2七銀なら、▲3三歩~▲1五飛や▲1三銀の強打の筋で先手がよくなりますが、△1六銀といったん受けられるとどうもうまくいきません。

次回は別の指し方を見ていきましょう。

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