はじめのうちは銀交換ができたらひとまずOK!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第94回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

もう一度、▲3三歩と打つ攻めを考えてみよう

【第1図は△3四歩まで】

いま、▲3五銀△同銀▲同角と3五の地点で銀交換になったあと、△2四銀▲6八角△3四歩と進んだ局面です。 前々回のコラムでは、第1図から▲1三歩と垂らし、前回のコラムでは、▲3三歩と打って△同桂に▲1五香と捨てて攻めていきましたが、いずれもうまくいきませんでした。今回はもう一度、▲3三歩と打つ攻めを考えてみましょう。△3三同桂に対し、前回は▲1五香と走りましたが、▲同桂成(第2図)と素直に桂交換をしてみます。

【第2図は▲3三同桂成まで】

いろいろと取り方はありますが、△3三同玉は玉が露出してしまうので、ほぼこう取ってくることはないでしょう。もちろん、例外的な場合(例えば4四の歩が4五で上部脱出が望めそうな形)はありますが。

よって、残りの駒で取ってきそうですが、△3三同銀には▲1五香△同香と捨てて、▲2五桂(第3図)と打つ攻めがうるさそうです。

【第3図は▲2五桂まで】

第3図は3三の銀取りではなく、▲1三角成以下の詰めろが真の狙いですので、後手はなにか受けなくてはなりません。△3五桂と打つのが△4七桂成を見せて、一見よさそうな受け方ですが、堂々と▲3六歩と打たれると△4七桂成には▲1三角成以下後手玉が詰みますので、桂を逃げることができません。

△2四銀と上がるのが、銀を逃げつつ詰めろを防いでよさそうですが、▲1三銀△3一玉▲2四銀成△同歩に▲3三歩(第4図)が厳しい攻めになります。

【第4図は▲3三歩まで】

第4図から、△2三金は▲3二銀で寄り筋ですし、△2二金も▲2四角で次に▲1三角成(△同金は▲3二銀)が厳しく残り、先手絶好調です。第4図からは△3三同金寄と取ってくるでしょうが、▲同桂成△同金に▲2五歩で攻めがつながっていきます。

第2図でほかの取り方はある?

では、第2図でほかの取り方はどうでしょう? △3三同金寄と取ってみましょう。先手はやはり、▲2五桂と打ちます。△4三金寄と逃げれば、▲1五香△同銀(△同香は第2図から△3三同銀▲1五香△同香▲2五桂となった変化と同じ局面)に▲3三歩や▲1二歩△同香▲1三銀で攻めが続きます。ところが、△2五同銀▲同歩(第5図)とあっさり対応されるとどうでしょうか?

【第5図は▲2五同歩まで】

先手は銀桂交換の駒得にはなりましたが、歩切れで手番は後手です。第5図から、△6四角と出られても、△3五桂と打たれても攻めをつなげるのは難しく、先手成功とは言い難いところです。

では、第1図の局面は先手失敗なの? と思われるかもしれませんが、やはり先手だけ銀が持ち駒にあることは大きいです。すぐに攻めるのはこのようにうまくいきませんが、以前のコラムでご紹介したように、相手の玉側ではなく、攻撃陣に対しても使うことができます。よって、はじめのうちは銀交換ができたらひとまず成功、くらいに思っていただければよいと思います。やはり後手も持ち駒を投入して全力で受けていますので、そうなるとやはり簡単には攻めきれないですね。

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