端歩の突き捨てからどう攻める?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第92回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

1筋に香を二枚並べて攻めていこう!

【第1図は△3四歩まで】

いま、▲3五銀△同銀▲同角と3五の地点で銀交換になったあと、△2四銀▲6八角△3四歩と進んだ局面です。前回のコラムでは、銀と歩を持ち駒にしているメリットの一例をご紹介しました。今回は、第1図からどう後手陣を攻めていくのかを見ていきます。まず、端歩を突き捨ててあるのを生かして▲1三歩(第2図)と垂らす手はどうでしょう?

【第2図は▲1三歩まで】

△1三同香に、▲同桂成△同銀▲1七香打(第3図)と、1筋に香を二枚並べて攻めていきます。

【第3図は▲1七香打まで】

第3図から、次の狙いはもちろん▲1五香ですね。△6四角と香取りに角を出てきても、構わず▲1五香と走れば、△1四歩には▲同香△同銀▲同香△1三歩▲同香成△同桂▲1四歩ですし、△1九角成にも▲1三香成△同桂▲1四歩で攻めが続きます。第3図から、△2四銀には、▲2五歩△同銀▲1五香でやはり1筋の攻めは受け止めにくいです。また、△1六桂と打つのも▲同香△同歩▲同香△1五歩▲2五桂△2四銀▲1五香△同銀▲3三歩でこれもうるさく攻めていけますね。

なお、「香は下段から打て」の格言があるようになんで1八から打たないの? と思われる方もいるでしょうが、△2四銀▲2五歩となったとき、△2六桂と打たれる手を消しています。また、なにかのときに▲1八飛とさらに飛車の応援も利くようになり、この場合は1七のほうがわずかによいでしょう。

▲1三歩は先手よし?

ところで、第2図の▲1三歩で先手よしでしょうか? これまで、4六銀、3七桂型のコラムは長く続いておりますが、ずっと読んでいただいている方には第2図を見た瞬間、ある疑問が浮かばれたことと思います。疑問が浮かばれた方、しっかり読んでいただきありがとうございます。

以前、▲1五歩と端を突き越した形でのコラムで、3筋で銀交換が行われた後、△3四歩~△2四銀と受けてきた際、▲1四歩△同歩▲1三歩と垂らして攻めた回がありましたね。そのときに、△1五歩と伸ばされるとどうもうまく攻めきれませんでした。そのときは、△1五歩と伸ばした局面が先手の手番でしたが、今回は同じ局面で▲1三歩と垂らしたところですので、手番が後手になっております。よって、先手にとってより条件は悪くなっていますね。手番を生かして、△6四角(第4図)と出られるくらいでも、▲4六歩は角筋が止まってしまいます。

【第4図は△6四角まで】

また、▲4六角も△同角▲同歩△4七角(第5図)くらいで先手がうまくいっているとはいえない局面でしょう。

【第5図は△4七角まで】

このように、1筋を突き越している形より、1筋を突き合っている形のほうが、先手にとっては攻めにくく、後手にとっては受けやすいようになっています。次回は別の攻め方を見ていきましょう。

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