角道を開けず堅く囲う!銀冠穴熊の特徴と組み方とは?【第43回 玉の囲い方】

今回のコラムでは、「銀冠穴熊」についてご紹介します。一般的には、第1図のような形が多いと思いますが、これは居飛車穴熊からの発展形として組まれることが多いです。

【第1図】

これは居飛車穴熊に組んだ後、▲8六歩から8七へ銀を上がり、銀のいた8八へ7九の金を上がれば組むことができます。以前、居飛車穴熊の組み方をご紹介しており、そのときの発展形ではご紹介しませんでしたが、居飛車穴熊からはすぐに組み替えられますので、この形への組み方は割愛させていただきます。

第1図の形も銀冠穴熊と呼ばれますが、今回ご紹介する銀冠穴熊はどういう形なのか? それではそちらを見ていただきましょう。

囲いの特徴

第2図をご覧ください。

【第2図】

第1図と比べるとどうでしょう? そうです。角が7七ではなく7九にいますよね? そして7六に歩を突いていないところも特徴です。歩が7七のまま陣形を組むというのはどこかで見ませんでしたか? そうですね。前回紹介しました、飯島流引き角戦法の左美濃と似ていますよね? 銀冠穴熊も、藤井システムを警戒し、角道を開けずにライン攻撃を避ける組み方です。また、角交換もできませんので、角交換振り飛車が得意な相手にも有力ですね。飯島流は角が5七にいましたが、この銀冠穴熊は角が7九にいます。では、どのようにしたら第2図の形になるのか。組み方を見ていきましょう。

囲いを組むまでの手順

初手から、▲2六歩、▲4八銀、▲5六歩、▲7八銀(第3図)。

【第3図は▲7八銀まで】

ここまで、どこかで見た手順ではありませんか? そうです、前回までご紹介しました飯島流引き角戦法と同じですね。飯島流はここから▲7九角~▲5七角と角を移動させてから▲6八玉と玉を囲いました。では、銀冠穴熊はどう組むのでしょうか? 第3図から、▲8六歩、▲8七銀、▲6八玉、▲7八玉、▲7九角、▲8八玉、▲7八金(第4図)。

【第4図は▲7八金まで】

▲8六歩から銀を上げ、あいた7八のスペースに玉を移動させます。それから、角を7九へ引き、8八へ玉を囲います。飯島流は玉の進路に角がいましたが、銀冠穴熊は銀と角が進路にいますので、両方移動させなければなりません。こう言われてみると、囲うのは大変そうですが、角の移動は7九の一回で済みます。さて、ここまででもそこそこは堅いのですが、より堅固にすべく穴に潜っていきます。第4図から、▲5九金、▲9八香、▲9九玉、▲8八金、▲6九金、▲7八金上(第5図)。

【第5図は▲7八金上まで】

このあたりの手順は好みでよいですが、いったん▲5九金と寄ってから▲9八香から潜るほうが、金銀がまとまったまま囲える感じがしませんか? 第4図から、▲9八香、▲9九玉、▲8八金とするのはなにか4九の金が取り残されてる感じがしますよね? 玉を囲うときはできるだけ金銀を集結させながら囲っていったほうが、急な戦いにも強く対応できます。

では、次回のコラムは囲いの注意点と発展形を見ていきましょう。

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