令和7年9月、第77期奨励会三段リーグ最終戦で4名の新四段が誕生。飯塚祐紀八段門下からは岩村凛太朗四段と片山史龍四段が同時昇段を果たしました。
オンライン将棋スクール講師としても活躍する飯塚八段と、新四段のお二人による座談会を、本記事では前編・後編に分けてお届けします。
日本将棋連盟公式YouTubeチャンネルにて動画を公開中です。動画では時間の都合でカットされた未公開エピソードを本記事に掲載しています。ぜひ動画と合わせてお楽しみください。
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後編では飯塚八段が講師を務めるオンライン将棋スクールの生徒からの寄せられた質問にお答えします。
―熊本市の中学1年生からの質問です。
Q:好きな駒は何ですか。
飯塚:棒銀を得意としているので、銀がないと棒銀ができないので銀です。
岩村:おっしゃると思いました(笑)。僕は角です。縦にビューンっていける駒は香車や飛車とかあると思うんですけど、斜めにビューンっていける駒って角だけなんです。だから角があることで将棋の幅が広がっていると思っています。角が成ると馬になるんですけど、馬が活躍する詰将棋は結構多いんですよ。そういった意味でも面白い駒だなって思います。
片山:やっぱり飛車ですかね。最強の駒ですし、成って龍になるというのもかっこいいなと思います。
飯塚:片山史龍(しりゅう)くんだからね。いい駒ですよね。
東京都の小学3年生からの質問です。
1日にどれくらい将棋を指していますか?
岩村:小学生の頃は全く指さずに鬼ごっこをしている日もありました。土日は将棋道場に行って、13時から18時まで20局ぐらい指していました。
片山:私も将棋道場や将棋大会で指していました。特に級位者のころは1局のペースが速いのでとにかくたくさん指していました。
Q:最近はVS等でどれくらい指していますか?
岩村:僕は実戦派なので、月に20個くらい研究会を入れています。今は持ち時間を長めにしているので一日3局くらいです。
片山:あんまり研究会やVSをやっていないんですが、指すときは大体持ち時間「20分1分」※や、「30分1分」の将棋を1日に3局が多いです。
※「20分1分」とは、持ち時間が各20分で使い切ると、1手1分未満で指さなければならない。
飯塚:小学3年生からの質問だけど、その時はプロを目指していましたか?
片山:はっきりとは思っていなかったです。
岩村:プロになりたいから指すというよりは将棋が楽しいから指すという感じでした。
飯塚:参考になりますね。
―埼玉県の小学6年生からの質問です。
Q:横歩取りの4五角戦法の対策を教えてください。
岩村:我々が小学生の頃も4五角戦法は流行りましたよね。
片山:多分今でも指す人は多いと思います。
飯塚:片山くんの得意戦法ですか?
片山:いや、あまりやったことはありません。定跡書で勉強することが多いと思いますが、その先をもっと詳しく知っている相手もいると負かされることが多いと思うので、自分なりに定跡書で読んだ内容を改めて考えてみることが大事かもしれないですね。定跡書に載っている内容が最近アップデートされているっていう感じですかね。定跡をAIで研究して違う結論が出てきたりしています。
飯塚:研究のしがいがあるよね。よく研究しましょうということですね。
岩村:自分が4五角戦法をやってみて、相手の対応をみてみるのもいいです。
飯塚:自分でやれば対策がわかるよね。
―「岩村さんと片山さん若さを生かして頑張ってください」という質問してくれた生徒からのメッセージを伝える
岩村・片山:ありがとうございます。
岩村:若いうちから暴れまわれるように頑張ります。
―兵庫県の小学5年生からの質問です。
Q:将棋棋士になろうと思ったきっかけは何ですか?好きなキャラクターは何ですか?
岩村:小学5年生の頃に、将棋の全国大会に優勝したことです。奨励会の試験がちょっと免除になる特典がありました。それが大きなきっかけでした。※
※岩村四段は第16回全国小学生倉敷王将戦高学年の部で優勝し、奨励会試験の一次試験が免除となった。
片山:自然と奨励会に入っていて、はっきりと棋士になりたいと思ったのはその後です。奨励会で強い相手と指したり、張り詰めた空気を感じているうちに自分がしっかり決意しないと、勝ち進めないっていうことを感じました。そこで意識が変わりました。
岩村:好きなキャラクターということですけど、むしろこれが一番大事な質問かもしれないですね。小学生の頃、スター・ウォーズのヨーダが好きでした。僕はおじいちゃんとか、おばあちゃんとか経験を沢山積んでいるキャラクターや、何かを悟った感じのキャラクターが好きです。
片山:昔は仮面ライダーが好きな時期はありましたね。多分世代で言うとディケイドの世代です。
清水市代会長から片山四段への四段免状授与の様子
―沖縄県の小学4年生からの質問です。
Q:いつか戦ってみたい相手は誰ですか?
岩村:片山先生とは対戦したくないですね。実力はわかっているし。
片山:散々指したのでお互いおなか一杯ですね。
岩村:対戦したい棋士は大勢いらっしゃいます。今まで関わりのなかった先生方、みなさんです。特に我々は羽生世代の先生方の将棋を見て育ったので、羽生九段をはじめ、羽生世代の先生方に教わりたいなっていう気持ちはあります。
片山:伊藤匠二冠です。普段から棋譜を見て勉強させていただいている棋士の一人なので、対局したいです。
飯塚:同世代はどうですか?
岩村:指したい気持ちはありますけど、練習仲間なのでできれば潰しあいたくない気持ちはあります。
片山:同世代だと吉池四段と仲が良いですけど、公式戦で対戦できることはうれしいです。
飯塚:私は世代が違いますけど修業時代に活躍していた棋士と指せた時は感激しました。中原誠十六世名人や桐山清澄九段、加藤一二三九段、内藤國雄九段、昭和の大棋士と実際に公式戦で対局したときは感激しました。
岩村:確かに藤井聡太竜王・名人とは対局すること自体が大変ですけど、いつか戦ってみたいです。
飯塚:気持ちはわかります。すごい方なので私もいつか対戦してみたいです。
―東京都の小学1年生からの質問です。
Q:振り飛車党は現在、不利と聞いたことがありますが、一方で初段を目指すまでには振り飛車の方が有利だと聞いたことがあります。先生たちは初段になるまでどちらを選択していましたか?
飯塚:質問の初段っていうのは奨励会初段じゃなくて、教室の初段っていうことですよね。2人とも振り飛車党でしたか?
片山:いや、アマチュアの頃は居飛車でした。有利不利があるんですか。
岩村:質問のレベルが高いですね。
飯塚:現在、プロでも振り飛車党の人は今もたくさんいます。私もアマチュアの初段になるまでは振り飛車をやっていたりしました。
岩村:僕はアマチュア1級までは師匠から習った矢倉棒銀を指していて、初段になってから振り飛車に転向しました。振り飛車は相手の出だしにかかわらず、美濃囲いぐらいまでは組めると思うので、いいかもしれないですね。自分が慣れた形で、やりたい形をちゃんとできます。
飯塚:確かに藤井猛九段という振り飛車の巨匠がいますが、美濃囲いが美しいっていうことを言っていましたね。
岩村:美濃囲いは美しいです。
飯塚:振り飛車にすると必ずできるので、それがよさですよね。自分の指したい戦法をするのが一番です。
―新潟県の小学1年生からの質問です。
Q:僕はよく矢倉囲いをするのですが、相手に棒銀で急戦を仕掛けられた時、矢倉を組み終わる前に銀や角で囲いを崩されて負けてしまう時があります。矢倉囲いは、急戦に弱いのでしょうか、それとも僕の組み方が良くないのでしょうか?
飯塚:矢倉囲いと棒銀は難しいですよね。プロでも結構難しいのです。矢倉で受ける方ではなく、先に攻めた方がいいです。思い切って攻める方に回るのがいいと思います。決して矢倉の組み方が良くないとか、急戦に弱いということではないです。技術的にすごく難しい話をされています。相手も受けにくいので、どんどん攻めた方がいいと思います。
岩村:僕はアマチュア1級のころはすぐ崩されちゃうので矢倉をやめました。
飯塚:矢倉は組みあがるまでに手数がかかるんですよね。良さもあるんですけどね。
片山:自分の矢倉囲いを組むことに集中していると相手に仕掛けられて、潰されてしますので、相手との間合いをみて、攻めてきそうだったら反撃の目途をたてておく戦い方もあると思います。
飯塚:試合だから相手の様子を見ることが大切だよね。
―神奈川県の小学2年生の質問です。
Q:新四段のお二人に質問です。小学校の時、学校があるときはどれくらい将棋の勉強をしていましたか?
片山:学校が終わってから将棋道場にいくのも難しいので、ネット将棋をしていました。夜までに5局ぐらい指していました。
岩村:午前授業の日は連盟道場に行っていました。
飯塚:ネット将棋の話がでましたが、オンライン将棋スクールは授業がない日も生徒同士でさせるようになっています。
飯塚祐紀八段
―最後に棋士を目指す子供たちや将棋を頑張っている生徒さんへ
片山:将棋を楽しむという気持ちが一番上達につながると思います。奨励会を目指す、棋士を目指すとなると、苦労するようなこともあると思います。奨励会は将棋が強くなれる場所ということは、間違いないと思いますので、ぜひチャレンジしていただきたいです。
岩村:将棋を指していると、多分負けまくる日もあると思うんですけど、勝ちまくれる日も来ると思います。あまり勝ち負けにこだわらずに楽しんでいただきたいです。
飯塚:私は棋士を33年やっています。棋士という仕事はシンプルで、毎日将棋をするんです。もうこれに尽きます。毎日将棋を指したいという人は、ぜひ将棋のプロに挑戦してみてください。みなさん。頑張ってください。
オンライン将棋スクール第7期生募集!初心者クラスのモニターも同時募集!!
ご自宅でプロ棋士の指導が受けられるオンライン将棋スクールの第7期生を募集しています。
全国、そして海外からも受講可能です。
さらに、新設予定の初心者クラスではモニターを募集!駒の動かし方から丁寧に指導します。
オンライン将棋スクール第7期生募集について
小中学生の級位者を対象としたオンラインスクールです。
毎月4回・3ヶ月で12回の授業を行います。
水曜日クラス:毎週水曜 17:30〜19:00
金曜日クラス:毎週金曜 17:30〜19:00
講師陣として、飯塚八段、藤倉勇樹六段、村田顕弘六段、星野良生五段が指導を担当。
生徒が参加しやすい講義スタイルが好評で、
月2回は授業中の対局で指した棋譜を丁寧に添削する「棋譜添削」を実施しています!
【受講期間】
2026年1月~3月末
【対象学年】
小学校1年生~中学校3年生
【対象棋力】
水曜日クラス:1~5級程度
金曜日クラス:3~7級程度
【お申込み方法】
[お申込みフォーム]
https://forms.gle/rWWa2Qyszzi4mCp66
[申し込み期間]
令和7年11月25日(火)~12月15日(月)
[月謝]
・8,800円(税込)/月
開講前に3ヶ月分26,400円(税込)を一括支払いとなります。
お支払い方法につきましては、12月下旬頃にメールにてお知らせします。
初心者クラス モニター募集について
【日時】
2026年2月 月曜日 全4回 〇17時~18時 1回60分の授業です。
2月 2日・9日・16日・23日
【対象学年】
5歳~15歳
【受講についてのお願い】
授業開始前や授業ごとにアンケートの回答をご協力いただける方
受講には保護者の方も必ず同席をお願いします
【受講の特典】
実際の盤駒を使いながらの授業となるためソフト盤とプラ駒をプレゼントします。
【受講にあたり、ご用意いただく環境】
・ビデオ通話を行うことが出来るPC
...カメラ・マイク・スピーカーの接続が必要となります。
※「iPad」などのタブレット端末では通話や対局の際に不具合が発生するケースがございます。受講される際はPCのご用意をお願いいたします。
【お申込み方法】
日本将棋連盟 オンライン将棋スクールHPより
[申し込みフォーム]
https://forms.gle/Lizy9Kdpt5Bph3qH7
[申し込み期間]
令和7年11月25日(火)~1月7日(水)