対ヒネリ飛車の囲いに「矢倉」?順位戦内藤國雄VS中村修戦、安恵照剛VS伊藤果戦で指された形

今回のコラムも、ヒネリ飛車に対する囲いをご紹介します。実は、別の囲いをする予定でしたが、おもしろい囲いを思い出したので、急遽そちらについて書くことにしました。

では、今回の対ヒネリ飛車の囲いはと言いますと「矢倉」です。ヒネリ飛車に矢倉? 見たことないよ。こう思われるかもしれません。実は、筆者も初めて目の当たりにしたときはびっくりしました。実戦例も少なく、なかなか指しこなすのは難しいので、こんな囲いもあるんだ、くらいに見ていただきたいです。では、どのようなものかを見ていきましょう。

囲いの特徴:第1図をご覧ください。

【第1図は▲9七角まで】

平成9年8月22日、第56期順位戦B級1組、▲内藤國雄九段ー△中村修八段戦(肩書は当時)です。あれ? 金は3三に上がっているし、これ別の棋譜じゃない? そう思われるかもしれませんが、手順を見てください。第1図から、△3二金▲8六飛△8五歩▲7六飛△3三銀▲6八銀△3一角▲6六歩△4二角▲6七銀△3一玉▲3九玉△2二玉(第2図)と進みました。

【第2図は△2二玉まで】

実は、この対局の記録係は筆者でした。中村九段が△3二金と引いた後、△3三角や△4四歩から「カタ囲い」に組むのかと思っていると、△3三銀と上がられて、内心おどろきながら記録用紙に書き込んだ記憶があります。△3二金に▲3四飛と歩に飛びつくのは、飛車の横利きがなくなったので△9五歩で後手有利になります。この後、中村九段は2~4筋の位を取り、玉頭の位を生かして攻めきりました。

さて、この将棋では、△3三金と上がらされてから△3二金~△3三銀となり、二手損をしています。手損なしで矢倉に組んでいる棋譜はないか調べてみましたら、何局かありましたので、そのうちの一局をご紹介します。 第3図は昭和59年1月24日、第42期昇降級リーグ3組、▲安恵照剛六段ー△伊藤果五段戦(肩書は当時)です。

【第3図は▲8五歩まで】

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