▲6八角に、△3五銀と打つ手は? 矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第99回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は△3四歩まで】

角引きが飛車取りなどにならない場合について

いま3五で銀交換が行われ、△3四歩と角取りに打たれた局面です。前回のコラムまでは、▲4六角と引いた手が飛車取りになると仮定して解説していきました。今回は角引きが飛車取りなどにならない場合について見ていきましょう。7三や6四に銀がいたり、6四に歩がいたりなど、▲4六角が先手にならないことも多々あります。それでも▲4六角と引いたらどうでしょうか? △3五銀▲6八角△2四歩(第2図)とされ、△3五銀と△2四歩の二手をいっぺんに指されることになります。

【第2図は△2四歩まで】

第2図から▲1三歩と垂らしても、△2五歩と桂を取った手がちょうど1五の歩に4二の角が利いて、ピッタリになります。仮に、第2図で先手の持ち駒に二歩あっても、▲1二歩△同香▲1三歩△同桂▲同桂成△同香で桂交換はできますが後手陣は手厚く、先手がうまくいきませんね。

よって、第1図では▲6八角と引くことになります。ここで、△2四銀と打てば以前解説しました△2四銀▲6八角△3四歩とした局面と同じになります。というわけで、別の手を見ていきましょう。

▲1三歩以外の攻めを考えてみよう

▲6八角にも、△3五銀と打つ手はどうでしょうか? これには▲1三歩と垂らす手が有力に見えます。今度△2四歩には、4二角の利きが止まっていますので▲1五香と走ることができますね。もし後手がなにもしなければ? 1三の拠点が大きくプレッシャーにはなっていますが、一気に攻めるなら▲1二銀と打ち込み、△同香▲同歩成△同玉▲1五香△同香▲1六香(第3図)とする順があります。

【第3図は▲1六香まで】

ただし、▲1三歩のときに△2四銀と引かれると一気の攻めは難しいです。これは端を突き越している形で▲1四歩△同歩▲1三歩と攻めたとき、△1五歩と伸ばされた形と同じですね。前回のコラムでは、角交換になっていたので▲6一角と打ち込んで先手十分でしたが、銀一枚の持ち駒では以前解説したように、攻め続けることは困難です。

では、▲1三歩以外の攻めはなにかないか考えてみましょう。▲3三歩と打ち、△同桂に▲1五香(第4図)と走ってみます。

【第4図は▲1五香まで】

第4図から△2五桂は、▲1一香成△同玉▲2五歩で▲3七香の狙いもあって、先手十分です。▲2五歩に△2二玉は▲3七香△2六銀▲3四香△3三歩に▲1四桂が痛打となります。

また、第4図から△1五同香には▲1三銀△3一玉▲3三桂成△同金寄▲2五桂(第5図)でこれも先手の攻めが続いていきます。

【第5図は▲2五桂まで】

よって、第1図からの▲6八角に△3五銀は、▲3三歩△同桂▲1五香で攻めがつながりました。

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