▲1五香は応手に注意。矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第89回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は△2四銀まで】

いま、▲3五銀△同銀▲同角と3五の地点で銀交換になったあと、△2四銀と打ってきたところです。前回までのコラムでは、▲2四同角と強攻する手を見ていきました。対して△同歩なら、▲3三歩で攻めがつながっていきましたが、△同角と取られると2三の地点があいていないのが大きく、攻めきれませんでした。

今回は、じっと▲6八角と引き揚げる手を見ていきます。後手の受け方としては、△6四角、△3四歩、△3五歩の三通りがありそうです。まずは、△6四角(第2図)から見ていきましょう。

【第2図は△6四角まで】

やはりここでも、香取りを恐れて▲4六歩と突いてしまうと、先手の角筋が止まってしまい、攻めが難しくなります。また、▲4六角も△同角▲同歩となると、手番を後手に握られているうえに、4七、2七、2九、4九など、角の打ち込みが多く、これも先手が冴えません。

6四角の利きも強力ですが、飛車の利きが直通しているいまがチャンスです。一気に攻めかかりましょう。さて、どう攻めていくかですが、▲1二歩△同香▲1一銀は△3一玉とされて後続は難しいですし、前回のコラムでも書きましたが、8二に飛車がいる場合は3二の金に利きがありますので、そもそもこの攻め方は成立しません。

では、どうせ香取りになっているのだから、捨ててしまえと▲1五香(第3図)と走る手はどうでしょうか。

【第3図は▲1五香まで】

△1五同銀、△1五同香と、二通りの応手があります。まずは△1五同銀です。3筋が薄くなったので、▲3三歩と打ちたくなります。△3三同桂に▲同桂成△同金上▲2五桂は△3七歩と打たれ、▲3三桂成と金は取れますが、先手の飛車が働きにくくなり、うまく攻めきれません。ですが、△3三同桂にとき、▲1二歩△同香▲1三銀(第4図)とすれば、△3一玉に▲1二銀成で▲1三角成、▲1三桂成が残って攻めが続いていきます。

【第4図は▲1三銀まで】

次に、△1五同香も見てみましょうか。これも▲3三歩と打ち、△同桂に▲1三銀という攻め方をしてみたくなります。こうなれば先手も攻めは続きますが、▲3三歩に△同銀(第5図)とされると、▲1三銀は△3一玉で重い形ですし、▲3三同桂成も△同金上で先手は銀二枚は持てるものの、4三、3三と並んだ金が厚く、後続が難しい局面となります。

よって、▲1五香は△同銀なら攻めが続きますが、△同香でうまくいきません。次回のコラムでは、第2図から別の攻め方を見ていきましょう。

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