端を突き合ったらどう攻める?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第75回 矢倉の崩し方】

今回のコラムからは、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図】

これまでは、▲1五歩と端を伸ばしている形から攻めていきましたが、第1図のように4六銀、3七桂型では後手は端を受けてくるほうが一般的です。わかりやすいように、前回までの形と第2図として出しておきますので、比較してみましょう。

【第2図】

第2図のように、端を突き越していれば、▲1三桂成と突っ込む手もありますし、▲1四歩と突けば大体は取る一手となりますので、先手としては攻めやすい形です。第1図の形なら、場合によっては▲1五歩を手抜いて攻め合ってくる場合もありますし、▲1三桂成と突っ込んでいく順もありません。よって、第2図の形より、第1図の形のほうが先手としては攻めるのが大変となっていきます。

まずは、これまで通りに▲3五歩と突いていきます。△3五同歩に、▲2五桂と跳ねていく手もありますが、▲1五歩(第3図)と端をすぐに突き捨ててみます。

【第3図は▲1五歩まで】

ここでなら、端の突き捨ては確実に入りそうです。突き捨てのタイミングは早すぎても△1六歩から逆襲される手が生じますし、遅すぎても手抜かれてしまいますので、非常に難しい問題でもあります。

第3図では、普通は△1五同歩と取ってきますが、取らない手も見ていきましょう。まず、△3六歩は▲2五桂と跳ねて銀取りと▲1四歩の取り込みがあり、これは簡単に先手よしですね。では、その▲2五桂を消すために、△2四歩(第4図)はどうでしょうか?

【第4図は△2四歩まで】

第4図で▲3五銀は△3四歩と打たれ、▲4六銀に△1五歩と取られてこれは先手失敗ですね。当然、▲1四歩と取り込んでいきます。△1二歩と受ければ、そこで▲3五銀と出れば△3六歩と打つ歩が後手にはありません。よって、△3六歩と突き出してきます。これで桂は助かりませんが、1筋の取り込みが大きいです。

△3六歩に対しては、▲3五銀と出て、△3七歩成▲同飛△3四歩に▲4六銀(第5図)としておく順は考えられます。

【第5図は▲4六銀まで】

桂は取りきられ、銀も追い返されてしまいましたが、△1二歩と受ける歩が後手にはないので、いつでも▲1三歩成から攻めていく手が残ります。ただし、すぐに▲1三歩成としても、△同香▲同香成△同玉で攻めが続いていかないことが不満ではあります。こうなると、1三に玉を露出させても、△2四歩と突いた手が6八の角筋も止めていて生きてしまいそう(例えば4六の銀が▲4五銀などと動いたときに王手にならない)ですね。

次回は、第4図から代わりにどう攻めていくのがよいのかを見ていきましょう。

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