先手の攻撃陣が一気に躍動!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め【第52回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は▲2五歩まで】

いま、先手が▲2五歩と突いた局面です。前回はここで後手が△3五歩と取り、先手も▲2四歩と取り込んでいきました。一足早く先手が四段目に歩を進めてあっさりよくなったかと思われるところでしたが、△3六歩と突かれ、▲2八飛は△3七歩成▲同銀△2五歩、▲2五桂は△2四銀▲2八飛△2三歩でいずれもうまくいきませんでした。

第1図から「▲3五同銀は△3六歩があるので、▲2四歩と取り込みます」と、前回のコラムの頭に書きましたが、実はその一文が問題ということでしたね。では、そちらの変化を見ていきましょう。

第1図から▲3五同銀として、△3四歩と受けるのならば▲2四銀(第2図)と進出してこれは▲2五歩と突いた手が生きて先手がよいですね。

【第2図は▲2四銀まで】

第2図からは▲3三銀成と銀をはがす手はもちろんですが、▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲1三歩△同香▲同銀成△同桂▲1四香△1二歩▲1八飛と端から攻め込む手もありますし、じっと▲2八飛と寄って次に▲3三銀成△同金寄▲2八飛と2筋からの攻めを見るのも厳しいですね。

また、第1図からの▲3五同銀に△2五歩は▲同桂(第3図)として、先手の攻撃陣が一気に躍動しますね。

【第3図は▲2五同桂まで】

第3図から△3四銀は▲同銀△同金▲同飛、△2四銀も▲同銀△同角▲同角となるので、3三の銀の逃げ場はありません。第3図からは▲3三桂成と銀を取る手はもちろんありますが、▲3四歩と打つ手がより厳しい狙いになっています。

よって、△3四歩と後手は受けてきますが、▲3三桂成△同金上に▲4六銀の退却ではなく、▲2三歩の叩きが厳しい攻めの継続手になります。△2三同金▲2四歩に△3五歩は▲2三歩成△同玉▲3五角、△3三金左は▲2三銀と打ち込んで後手陣は崩壊します。

ということで、第1図から△3五歩▲同銀のとき後手は△3六歩(第4図)と打つのは当然の一着となります。

【第4図は△3六歩まで】

第4図から▲3四歩とするのは今度は3八にいる飛車の利きが通っていないので、△3四同銀▲同銀△同金でうまくいきません。3七の桂の行き場所がなく、桂損で先手失敗かと思われるところですが、▲2四歩がとても大きな取り込みとなります。2五の地点が開いたので、次に▲2五桂と桂を逃げながら攻められてはひとたまりもありませんので、△3七歩成と桂を取ってきますが▲同飛(第5図)となった局面はどうでしょう? 

【第5図は▲3七同飛まで】

後手に歩があれば△3四歩であっさり受け止められますが、あいにく駒台には桂しかありません。第5図からは▲3四歩が厳しい狙いで残っていますが、「敵の打ちたいところへ打て」の△3四桂は銀取りではないので、▲2七飛と寄れば次の▲2三歩成△同金▲2四歩の狙い(△2四同銀は▲同銀△同金▲同角△同角▲同飛で後手の利きが足りない)が受からず、先手よしです。

よって、第1図から△3五歩には▲同銀△3六歩▲2四歩で先手よしということになります。

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