さまざまな攻め方で駒得すること間違いなし?4六銀、3七桂型の形の攻め方【第49回 矢倉の崩し方】

前回までは、矢倉戦における4六銀、3七桂型の形がなぜ近年見なくなってしまったのかを説明いたしました。今回のコラムから、いよいよこの形から矢倉を攻めていく指し方を解説していきます。まずは第1図をご覧ください。

【第1図】

端を後手が受けるか受けないか、角が4二か6四かなど、さまざまな形がありますが、まずはいちばん攻めていきやすいこの形から見ていきます。なぜ攻めていきやすいのかと言いますと、端を突き越していますので、いつでも▲1四歩△同歩と突き捨てが入りますし、▲2五桂~▲1三桂成と場合によっては桂を突っ込ませて攻めることもできます。また、角が4二なので先手の攻撃陣に利いてなく、角の牽制を気にせずに攻めていけます。▲2五桂と跳ねた手が3三の銀取りになるのもピントですね。

このように、さまざまな攻め筋があり、先手にとって攻めていきやすい条件が多くそろっています。では、さっそく攻めていきましょう。まずは第1図から▲3五歩(第2図)と突いていきます。

【第2図は▲3五歩まで】

対して後手は△3五同歩と取ってきますが、まずは取ってこなかった場合を考えてみましょう。▲3五歩に手抜いた場合は、もちろん▲3四歩(第3図)と取り込みます。

【第3図は▲3四歩まで】

△3四同銀は▲3五歩、△2四銀は▲2五歩で銀が死にますし、△3四同金は▲3五歩△2四金▲2五歩でこれも金が死んでしまいます。金や銀をただ取られるのではさすがにきつすぎますので、後手が損を抑える対応は第3図から△3四同銀▲3五歩に△3六歩でしょうが、▲3四歩△3七歩成▲同飛(第4図)で先手は銀桂交換の駒得になったうえに、3四の拠点も大きく、早くも大成功の図です。

【第4図は▲3七同飛まで】

第4図からは、▲2五歩~▲3五銀~▲2四歩として攻めていく要領です。

また、第3図から△3四同銀▲3五歩に△4五歩も考えられるところです。しかし、これも▲4五同桂△同銀▲同銀(第5図)となれば銀桂交換の駒得になり、手順に4六の銀も進出していけます。

【第5図は▲4五同銀まで】

第5図からは▲3四銀と金にぶつけていく手もありますし、▲3四歩と伸ばす手も大きいですね。このように、第2図で後手が放置すると▲3四歩の取り込みがきつく、どう応じても早くも先手が駒得となります。よって、よほどの速い攻めなどがない限りは、第2図の▲3五歩に後手は放置することができまん。

次回のコラムでは、第1図から△3五同歩以外の対応を見ていきます。

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