藤井システムや角交換振り飛車に悩まされている方必見!飯島流引き角戦法の発展形を学ぼう!【玉の囲い方 第42回】

前回のコラムでは、対振り飛車における「飯島流引き角戦法」の組み方をご紹介しました。今回は、組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。それでは、飯島流引き角戦法に組むまでの手順の復習です。初手から、▲2六歩、▲4八銀、▲5六歩、▲7八銀、▲7九角、▲5七角、▲6八玉、▲7九玉、▲8八玉、▲5八金右(第1図)。

【第1図は▲5八金右まで】

それでは、まずは組む際の注意点を見ていきましょう。

組む際の注意点

前回も注意点として挙げましたが、角を移動してから玉を動かすことが基本です。第2図のように7八まで玉を移動してしまうと、8八の角を動かすことが難しいですね。

【第2図は▲7八玉まで】

▲9六歩~▲9七角ですと、△9五歩▲同歩△同香と角頭を攻められてしまいますし、▲7六歩から組むのでは、コビンの開いた左美濃になってしまいます。

第2図からも、▲8六歩、▲8七玉、▲7八銀、▲7九角、▲8八玉とすれば一応は組めなくはないのですが、8七に玉を上がる一手が無駄になってしまいますし、▲8六歩と突いたために玉頭の空間も気になります。また、▲6八玉と上がってから組むのも、▲7八銀、▲7九角としたあとに6八の玉がジャマになって、角を移動させることができません。ですので、居玉のまま▲7八銀、▲7九角、▲5七角としてから▲6八玉と上がらなければなりません。また、第3図をご覧ください。

【第3図は△8四歩まで】

相手が振り飛車党だと思い、駒組みを進めていたら居飛車にされてしまったという局面です。こうなってしまうと、▲7六歩と突いても△8八角成で角をタダ取りされてしまうため、飛車先交換を防ぐことができません。

第3図から、▲2五歩△3三角▲7九角としても構わず△8五歩と伸ばされ、▲2四歩△同歩▲同角△同角▲同飛に△2二銀と受けられると、△8八角や△8六歩▲同歩△8八歩の攻めが残っていて先手不利です。▲7九金と受けても△3五角が飛車金両取りですし、▲7九角と打つのでは苦しいです。相手が角筋を止めずに様子を見てきたときには、▲5八金右など7八に銀を上がらずにこちらも様子を見ましょう。では、次に囲いの発展形を見ていきましょう。

囲いの発展形

第4図をご覧ください。

【第4図は▲8八銀まで】

第1図から、▲5九銀、▲6八銀、▲7九銀、▲9八香、▲9九玉、▲8八銀と右銀を8八へ移動させて穴熊に組んだ局面です。これも、▲7六歩と突いていないことにより、相手の角筋の攻めを気にせずに組むことができますね。

また、▲6六歩、▲6七金、▲5九銀、▲6八銀、▲7六歩、▲7七銀右と四枚美濃にして上部を厚くする指し方もあります。第5図は平成18年4月19日、第24回朝日オープン将棋選手権決勝五番勝負第2局、▲藤井猛九段ー△羽生善治朝日オープン選手権者戦(肩書は当時)です。

【第5図は△3三銀右まで】

羽生竜王も、大舞台で飯島流引き角戦法を採用したということで有名な一局です。先手陣が穴熊なので、△3四歩と突いてもコビン攻めを気にしなくてよいので、とても上部に厚く、なおかつ堅固な陣形に組むことができました。また、第1図の形から▲3六歩~▲3五歩や、▲3六歩~▲3七銀など囲いは最低限の形から攻めて行くことも有力で、さまざまな指し方があります。

藤井システムや角交換振り飛車に悩まされている方はぜひ一度試されてみてはいかがでしょうか?

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