飛車を使わない矢倉の崩し方!2四歩から攻める先手良しの変化とは?【第43回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉に対して4七銀、3七桂型から攻めていく指し方を見ていきます。それでは第1図です。

【第1図は△3三同玉まで】

いま、▲3三桂成と金をはがし、後手が△同玉と応じてきたところです。前回のコラムでは、ここから二通りの攻め方があり、まずは▲4八飛と回る手を解説しました。後手は「大駒は近づけて受けよ」の格言通り、△4五歩と犠打を打ち、▲同飛に△3四銀と飛車取りで補強しますが、そこでじっと▲4八飛と引き揚げておけば、後手は歩切れでなかなか攻めが切れることはない、ということでした。

今回はもう一つの攻め方をご紹介していきます。△4四玉と拠点を払われる前に攻めなければなりませんが、第1図から▲4八飛以外はどう攻めていきましょうか? まずは、▲2四歩と突きます。このままですと、▲2三歩成△同金に▲4三歩成(第2図)で決まってしまいますので、後手は△2四同歩と取る一手です。

【第2図は▲4三歩成まで】

さて、ここでよい手筋が見えませんか? 現状では▲4三銀(金)と打ち込んでも、△同金▲同歩成△同玉で先手の利きの数が足りませんね。3三の玉、または3二の金いずれかが4三の利きからそれれば今度は後手の数が足りなくなりますよね? そう考えると自然と▲2二歩(第3図)が浮かび上がってきます。

【第3図は▲2二歩】

第1図を見て、ぱっと第3図まで瞬時に見えた方は相当筋がよいです。第3図から△2二同金には▲4三金が激痛(▲4三銀も▲3四金までの詰めろで厳しい)です。△2二同玉には▲4三銀も厳しいですが、後手もそこで△2三銀と粘ってきます。そこで、じっと▲3四銀(第4図)がより厳しい攻めになります。

【第4図は▲3四銀まで】

第4図からは▲4三歩成を後手は防がなくてはなりませんが、△3一桂は▲4三金と打ち込む手が厳しいですし、△2三銀も▲同銀成△同玉にそこで▲4三銀と打てば2三に玉がいるために、△2三銀と受けることができません。次に▲3四金と打たれるわけにはいきませんので、△3三銀と受けるくらいでしょうが、▲3二銀成△同玉▲4三金(第5図)で後手陣は崩壊します。

【第5図は▲4三金まで】

以上、第二の攻め方は▲2四歩△同歩▲2二歩で先手よし、ということになります。

と、言いたいところですが、第4図まで後手に変化する手はなかったでしょうか? これで先手よしなら前回▲4八飛と回った攻め方より、はるかにわかりやすいとは思いませんか? 次回のコラムまでに後手に応手があるのか? それとも受けはなく先手よしなのかを考えてみてください。

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