関西の「将棋世界」に行きたくなる?関西将棋会館に山口女流1級が潜入し、将棋道場や対局室などを隅々までご案内します!

大阪駅からひと駅離れた福島駅。そこから5分歩いたところにあるのが、プロ公式戦の舞台となる「関西将棋会館」です。ビルやマンションと隣り合う、茶色いどこか歴史漂う建物です。


関西将棋会館 撮影:山口絵美菜

毎日の棋譜中継や『将棋世界』などでその名を目にすることも多い「関西将棋会館」。実際にその中がどうなっているかご存じでしょうか?5階建ての「関西将棋会館」はふらっと気軽に立ち寄っていいただける場所から普段は将棋関係者以外が立ち入れない場所まで、様々な設備があります。今回はそんな「関西将棋会館」に潜入しましょう!

まずは正面玄関。レストラン「イレブン」を左手に見つつ自動ドアを潜ると、突き当たりの壁が鏡張りになっているのにとりあえず驚きます。機嫌のいい日はランウェイを歩くような気持ちでエレベーターまでの道のりを闊歩するといいかもしれません。


正面玄関 撮影:山口絵美菜


昼食でよく使われるイレブン 撮影:山口絵美菜


突き当りの鏡張り 撮影:山口絵美菜

冗談はさておき、玄関を潜ってすぐ右手にあるのが「売店」。棚にはずらっと棋書がならび、棋士によるサイン入りの新刊本が平積みされているのに加えて、扇子や盤・駒、キーホルダーやパスケースといった将棋グッズが勢揃いしている、まさに「将棋の楽園」です。藤井聡太七段のグッズが発売されるときには1階を埋め尽くすようにお客さんがお買い物にこられたこともあります。職員さん手作りの駒モチーフのモビールやステッカーが貼られているのがチャームポイントなので、売店ではぜひ見上げてみてください!ちなみに火・木曜日は定休日になっておりますのでご注意を。


売店の外観 撮影:山口絵美菜

軽やかな足取りで売店をあとにすると、次に目にはいるのがショーウィンドウに飾られた高級盤・駒の数々。珍しい「武者人形駒」の展示もあります。脚付き盤や盛り上げ駒をご購入の際はぜひご覧になってはいかがでしょうか?


撮影:山口絵美菜


撮影:山口絵美菜

鏡張りの壁に向かって歩いていくと階段とエレベーターが目に入ることでしょう。階段を上り2階に向かうとそこは「将棋道場」。朝10時から20時半まで営業しているこちらは規定の席料を払うと指し放題で、勝敗によって昇級・昇段していきます。老若男女が集い将棋に勤しむ憩いの場です。割引のサービスもあるのでぜひ一度腕試しはいかがでしょうか?


将棋会館の案内図 撮影:山口絵美菜


撮影:山口絵美菜


将棋道場 撮影:山口絵美菜


撮影:山口絵美菜


撮影:山口絵美菜

一般の方が普段入ることができる場所はここまで。3階は事務室と遠征の棋士の宿泊室、そして「関西棋士室便り」でお馴染み棋士室があります。大会のお申し込みなどご用の際は事務室にお越しくださって構いませんが、それより先は関係者以外立ち入り禁止となっておりますのでご了承ください。ちなみに3階エレベーター前には木村義雄十四世名人、4階エレベーター前には大山康晴十五世名人の肖像画が飾ってあります。


撮影:山口絵美菜


木村義雄十四世名人の肖像画 撮影:山口絵美菜


大山康晴十五世名人の肖像画 撮影:吟

さらに階段を上がって4階へ。ここは「水無瀬(みなせ)」「錦旗(きんき)」の間と「多目的ルーム」がある階です。駒の書体名から名をとった「水無瀬」「錦旗」の間は公式戦の対局場として使われる他にも奨励会・研修会の例会場や奨励会員の宿泊室としての役割も担っています。藤井聡太七段の28連勝目である対澤田六段戦が行われたのも「水無瀬」なのですが、実は私のデビュー戦もここで指した思い出があります。「多目的ルーム」は「ビギナーズセミナー」などの各種教室や、アマチュア将棋大会を行う際に使用される他、対局中の棋士が昼食をとる場としても使われることがあります。


撮影:山口絵美菜


撮影:山口絵美菜


撮影:山口絵美菜


撮影:山口絵美菜


撮影:山口絵美菜

そして最上階5階は江戸城本丸御黒書院を模した対局室です。最も格の高い部屋が「御上段(おんじょうだん)」の間で、他の間より一段高く作られた、床の間には掛け軸のかかる格調高い間です。次が「御下段(おんげだん)」、そして「芙蓉」と続きます。名人戦棋譜速報や携帯中継で目にする「対局室の様子」はすべてここを舞台としています。


御上段 撮影:日本将棋連盟


御下段 撮影:日本将棋連盟


芙蓉 撮影:日本将棋連盟

「関西将棋会館」を隅々までご案内いたしましたが、雰囲気を感じていただけましたか?何事も「百聞は一見にしかず」といいますので、ぜひ一度お越しいただけると嬉しいです。関西の「将棋世界」に足を踏み入れてみませんか?お待ちしています!

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