角を引かずに銀で攻める!4七銀、3七桂型での矢倉の攻め方とは?【第37回 矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉に対して4七銀、3七桂型から攻めていく指し方を見ていきます。それでは第1図です。

【第1図は△4四銀まで】

いま、後手が△4四銀と角に当ててきたところです。これまでのコラムでは、▲6八角や▲2六角と引いたときの指し方を見てきました。今回のコラムでは、これ以外の指し方を見ていきます。

さて、角を引ける方向は大きく分けて元の位置の6筋方面と、前回解説しました2筋方面です。ということは、今回のコラムでは角を引く以外の指し方となります。第1図から、▲2四歩と突くのは△同歩なら▲同角で話はうまいです。しかし、堂々と△3五銀と角を取られると、▲2三歩成△同金(第2図)となり、後手陣は大いに乱しましたが、これ以上の攻めがなく、角損では先手大失敗です。

【第2図は△2三同金まで】

この変化は以前ご紹介しましたね。では、第1図から▲4四同角はどうでしょうか? △同金に▲3六銀と繰り出していく攻め方も十分考えられますが、△4六角と一発打たれる手も気になりますし、これはやや気が乗らない変化でしょう。角を引かない、切らない。

はて? ほかに手はあるの? と思われるでしょう。▲3六銀(第3図)と銀を進出させる手が最後の手段です。

【第3図は▲3六銀まで】

第3図が先手の手番でしたら、▲2四歩と突いていけます。今度は△3五銀に▲同銀と取り返して▲4四歩と▲2三歩成△同金▲2四歩の二つの攻めが残っていて、これは先手大優勢です。第3図から△3四歩と打つのは、▲2六角と引いておいて△3三桂に▲4八飛としておけばもう後手は4五に駒を足せないのでこれも先手よしです。

よって、先手の注文通りになるようですが、△3五銀と後手は取ります。先手も▲3五同銀と取り返します。そこで、桂頭にスキあり! と△3六歩と打つのは、一発▲4四歩と打ち、△3三金寄に▲4五桂(第4図)で攻めがつながります。

【第4図は▲4五桂まで】

△3三金寄で△5三金も▲4五桂△5二金に▲4三歩成が好手です。どちらの金で取っても▲4四歩で金の逃げ場がなく、「ダンスの歩」がきれいに決まります。

よって、後手は▲3五同銀に△3四歩と打ってきます。ここで弱気を出して▲2六銀と引き揚げるのでは、ただ角銀交換の駒損になっただけで代償はほとんどなく、明らかに先手失敗です。以下△4六歩と伸ばされるくらいでもダメでしょう。また、▲2四歩は△3五歩▲2三歩成△同金でやはりここからの攻めがありません。ではどうするのか? 駒台にちょうど一枚歩がありますね。その歩を生かして▲4四歩(第5図)と打っていきます。

【第5図は▲4四歩まで】

第5図からは、△3五歩と銀を取る手と△3三金寄と逃げる手があります。次回のコラムでは、△3五歩と銀を取る手を見ていきましょう。

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