竜王獲得の原動力!渡辺棋王が得意にしていた後手番での中原囲いとは?

今回のコラムでも、「中原囲い」についてご紹介していきます。中原囲いの前のコラム「中住まい」では先後で囲い方が違いましたが、中原囲いも先後で違ってきます。それでは、後手番では中原囲いはどのように囲うのか? そちらを見ていきましょう。

囲いの特徴

第1図をご覧ください。

【第1図は△6二銀まで】

平成7年2月28日第16回オールスター勝抜戦、▲中川大輔六段ー△中原誠永世十段戦(肩書は当時)です。これまで、横歩取り△3三角戦法では、第2図(平成4年6月11、12日、第50期名人戦第6局、▲高橋道雄九段ー△中原誠名人戦※肩書は当時)のように、前回ご紹介した中住まいがほとんどでした。

【第2図は△6二銀まで】

まずは、中原十六世名人が先手番で多用し、後手番でも多用するようになりました。その後、第3図(平成16年12月27、28日、第17期竜王戦第7局、▲森内俊之竜王ー△渡辺明六段※肩書は当時)のような横歩取り△8五飛戦法(中座飛車)が流行し、猛威を振るいました。

【第3図は△5一金まで】

特に渡辺棋王が得意とし、第3図の竜王戦第7局でも勝利をおさめ、初タイトルとなる竜王獲得の原動力となりました。中住まいよりも玉が下段にいて囲いもしっかりしており、堅さを生かしてガンガン攻めていけることが魅力です。また、△5四歩~△5五歩と伸ばしたときも、玉が4一なので反動を気にせずに安心して伸ばすことができます。

現在のプロ棋戦では、中住まいが主流になりましたが、たまに中原囲いの対局も見ることもあります。以前流行った戦法も指されることもありますので、また中原囲いも流行するかもしれませんね。それでは、後手番で中原囲いを組むまでの手順を見ていきましょう。わかりやすいように盤面を先後逆にして進めていきます。

囲いを組むまでの手順

初手から△3四歩▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲2五歩△3二金▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲2四歩△同歩▲同飛△7六飛▲7七角△7四飛▲2六飛△8四飛▲8八銀(第4図)。

【第4図は▲8八銀まで】

ここまでどこかで見た手順ではありませんか? そうです。中住まいの後手番の手順とまったく同じです。ここから、中住まいの場合は▲5八玉~▲3八銀と囲っていきましたが、中原囲いの場合はどう進めていくのでしょうか? 続きを見ていきましょう。第4図から△2三歩▲6九玉△5二玉▲4八銀△7二銀▲5九金(第5図)。

【第5図は▲5九金まで】

玉を6九へ寄り、銀を4八へ上がって金を5九へ寄せて玉の脇に引きつけます。金を寄ってから銀を上がっても問題ありません。次回は、中原囲いに組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。

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