じっと▲2五歩が好手。飛車先と桂馬を使い敵陣を乱す攻め方とは?【矢倉の崩し方】

今回のコラムも、矢倉に対する攻め方をご紹介します。第1図をご覧ください。

【第1図】

先手は銀が4八にいるので、すぐに銀を活用して攻めるというわけにはいきません。また、▲5七銀とこの銀を活用しようとするのは、△4五歩▲同桂△4四銀(第2図)で桂が助からない形になって困ります。

【第2図は△4四銀まで】

では、第1図はらはどうやって攻めの形を作っていけばよいのでしょうか? まず、飛車の活用を狙って▲2五歩と突き出す手は考えられます。しかし、飛車先を伸ばして後手陣にプレッシャーはかけられましたが、続く攻めがありませんね。

かといって、▲2五桂と跳ねても△2四銀で攻めはやっぱりなさそうだし...。こう思われた方は、実は目のつけどころは非常によいです。△2四銀とかわされた局面は本当に後続手はなにもないですか?

実はさらに▲1三桂成!(第3図)と突っ込んでしまう手があるのです。

【第3図は▲1三桂成まで】

第3図から△1三同桂は▲1四歩で桂を取り返せますし、△1三同玉は▲2五歩で銀が取れます(△3三銀とは逃げれませんよね)。△1三同香は▲1四歩△同香▲同香△1三歩▲2五歩△3三銀▲1三香成△同桂▲1四歩でこれも攻めが続きますね。

残る応手は△1三同銀となります。ここで、いきなり▲1四歩と突いてしまうのは、△2四銀なら▲2五歩△3三銀▲1三歩成(▲1八香として▲1九飛~▲1三歩成を狙うのも有力)でよいですが、△1四同銀▲同香△同香とさっぱり応じられてしまうと、逆に△1八香成から飛車をいじめられて上部開拓をされてしまう恐れも出てきます。

では、どうするのか? △1三同銀に対してはじっと▲2五歩(第4図)と飛車先を伸ばす手が好手となります。

【第4図は▲2五歩まで】

さっき飛車先を伸ばす手は次の攻めがないって言ったじゃん! と、言われるかもしれませんが、第1図から▲2五歩と伸ばした局面と、第4図を見比べてみてください。第1図から▲2五歩と伸ばした局面は先ほど解説しましたように、次の攻めはありません。

では第4図は?第1図と比べると先手の3七桂が後手に取られており、そこだけ見ると状況は悪化してはいます。ですが、3三の銀が1三に移動しました。これが大きいのです。

第4図からは、▲1四歩△同銀▲同香△同香▲2四歩とガンガン攻めていく手が残っています。それに備え、△3三金寄と2筋を補強してきますが、ここで4八の銀を▲3七銀(第5図)と活用します。

【第5図は▲3七銀まで】

第5図からは▲2六銀ともうひとつ繰り出し、▲1四歩△同銀▲同香△同香▲1五歩を狙う要領です。また、2六に銀が出れば▲3五歩△同歩を入れてから、▲1四歩△同銀▲同香△同香▲3四歩△同金▲3五銀と攻める手段も生じます。このように、桂で1三の歩を取ってじっと▲2五歩と伸ばす指し方はしばしば出てきますので、ぜひ覚えておいてください。

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