勝つ喜びを体感させるために工夫するべきこととは?【将棋の教え方】

将棋をはじめて間もない頃は勝ってもらう

ここまで初めて将棋を学ぶお子さんに親御さんがどのように教えるかを書いてきました。参考になりましたでしょうか?将棋は、藤井聡太六段の活躍によって、今最も注目されている頭脳ゲームであり、日本の文化でもあります。この機会に、ぜひ、親子のふれあいといった意味でも、お子さんに将棋を教えてみてください。

さて、第五回目は、ここまで記載してきました指導する際のポイントについてまとめてみたいと思います。

将棋を習い始めて間もないお子さんについては、駒の動かし方が分かるぐらいで、ほとんど何も分かっていません。将棋に勝つのがどういうことかも理解していない場合が多く、そこが理解できると将棋が好きになる、最短の近道になると私は考えています。従って、お子様には、勝つ喜びを体感してもらうように導いていくことになります。

そこで、お父様、お母様が駒落ちの指導をする上で注意したいポイントは以下の通りです。

駒を損する交換をしたら注意する

はじめて間もない頃は、▲3三角成で角と歩の交換をしてくるお子さんがいます。(図1)

【図1】

この場合、「10円と1万円の交換は得?」と聞くと、ダメな手だと分かり、考え直すようになります。他には馬や竜と金を交換するケースの場合でも応用が利き、「千円と百万円の交換はどうかな?」などと確認をして、考え直してもらうのが大事です。

数の攻めをさせる

前回の駒でも少し触れましたが、玉を詰ますには、馬と竜での数の攻めが重要です。一枚だけで攻めてもうまくいかないことを伝え、 手を繋いで攻めると捕まえやすいということを教えると理解してもらいやすいでしょう。このセオリーを覚えることで、平手対局にも応用しやすくなります。数の攻めがうまくいったところで褒めてあげるとやる気アップにも繋がるはずです。(図2)

【図2】

詰みやすい形を作る

上手側が竜と馬で攻められた際の逃げ方についてですが、最初のうちは王が詰みにくい方向に行くのはできるだけ避けるのがお薦めです。(図3)

下手側は詰まし方が分からず、勝ち方を覚えてもらう目的からそれてしまいます。頭金や腹金などの基本的な詰みの形を含めて、簡単に詰む形を作るのが良いでしょう。詰ますことができない場合は、ヒントを与えながら何度も挑戦してもらいましょう。自分の力で考えて答えが見つかった時の喜びを実感してもらうのが重要です。上手が投了を伝えた後は、一局で良かった部分を複数褒めてあげて下さい。

【図3】

(例えば、この場合、玉を△4三や△2三に逃げたりすれば詰まないのですが、そうせずに△2一に逃げて▲2二金で詰ますことを体感させてあげましょう)

将棋はルールを覚えてから勝つまでに時間がかかってしまう場合があります。最初に勝つ喜びを感じてもらい、将棋に対して興味を持ってもらうことが大事だと思います。

次回も指導法について書きたいと思います。

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