ドラム、ゴルフ、水泳を、すべてやめてプロ棋士を目指した【斎藤七段インタビュー vol.1】

若手棋士インタビュー今回は、 順位戦でB組1級への昇級を決めた関西若手棋士のホープ・斎藤慎太郎七段です。 1回目は、将棋を始めたきっかけや奨励会時代のことについて語っていただきました。
(インタビュー日 2016年11月初旬)


イベントの席上対局での斎藤六段。撮影:池田将之

 ーー将棋を覚えたのはいつ頃でしょうか?

「小学校に入る直前、保育園を卒業するくらいです。当時、学習塾の『公文』に通っていました。そこで読書の時間があり、ふと手にした本が羽生(善治三冠)先生の入門書でした。両親は将棋に興味がなかったので、偶然の出合いと言いますか、本当に縁があったと思います」

 ーー将棋のどんなところに関心を持ったのでしょうか?

「昔からトランプなどの勝負事が好きで、負けず嫌いだったそうです。『こういうゲームがあるんだけど』と両親に質問して、気になるのならやってみようという流れになりました。始めてからは一気にのめり込んだそうです」

 ーー将棋のほかに習い事はありましたか?

「習い事は多かったですね。楽器のドラム、父が好きだったゴルフもやっていました。夏休みの水泳には毎日行っていましたし、小学校に入ってからは中学受験を目指すような学習塾に通っていました」


撮影:池田将之

 ーー将棋の腕はどこで磨かれたのでしょうか?

「初めは関西将棋会館の子供教室に通いました。そこが実家からいちばん近く、環境に恵まれていました。そのあとは関西将棋会館の大人もいる道場に行って、初段にあがったころには奨励会の下部組織にあたる研修会に入りました」

 ーープロ棋士になりたいと思ったのはいつ頃でしたか?

「小学4年生のときです。道場で級や段を上げていくのが楽しくて、その延長上に奨励会の存在を知りました。プロ棋士を目指そうと決めたとき、それまでの習い事を全部辞めたいと親に言ったそうです」

 ーー奨励会試験はいかがでしたか?

「小学4年生のときは奨励会員と対戦する二次試験で3連敗して落ちました。1勝すれば合格だったのでショックでした。もう1年研修会で力をつけて、翌年合格することができました」

次回は、奨励会時代についてや師匠の畠山鎮七段についての話しになります。お楽しみに。

取材協力斎藤慎太郎七段

2004年に6級で畠山鎮七段に入門。2012年に四段。2017年に七段。第43回将棋大賞で勝率一位賞・新人賞を受賞。

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