石本さくら女流2級の見事なデビュー戦。丁寧な指しまわしで、きっちり勝ち切る【プロの技】

今回は石本さくら女流2級のデビュー戦を紹介します。昨年12月21日に行われた船戸陽子女流二段との第44期岡田美術館杯女流名人戦予選の対局です。石本女流2級はアマチュア時代にリコー杯女流王座戦で本戦に進出した実績があります。予選では、第3期でなんと、タイトル経験者である甲斐智美女流四段を破りました。

本局、先手になった石本女流2級は三間飛車から石田流に構えました。第1図は後手が△4四銀と上がったところです。

【第1図は△4四銀まで】


先手はここから▲3六歩△5五歩に、勢いよく▲6五桂と跳ねました。以下△6四歩なら▲7三桂成△同桂▲7四歩で戦えます。

畠山七段は、▲3六歩から▲6五桂について「非常に実戦慣れしいていることがうかがえる」と話します。図ですぐに▲6五桂もありますが、桂を渡す可能性が高いので、あらかじめ▲3六歩と突いて△3五桂の筋を消しているのです。

第2図は飛車角交換が行われ、△5六歩と突かれたところです。

【第2図は△5六歩まで】


本譜は以下▲同銀△7九飛▲9七香と進みました。畠山七段は先手の二手を「形に明るいですね」と言います。本来は、形よく▲5六同歩としたいところですが、将来△5七歩とたたかれる筋が気になります。▲9七香も簡単に駒を取らせない落ち着いた一手です。

第3図は先手優勢で迎えた終盤です。

【第3図は△3三同歩まで】


ここから▲3四歩△同歩▲1四歩△同歩▲1三歩△同香▲2五桂として、一気に穴熊を攻略しました。畠山七段は「見事なデビュー戦でした。寄せ方もきれいですし、タイトル戦の舞台で戦う姿を一日でも早く見たいです」と期待を寄せました。

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