角が持ち駒にある時は「王手○○取りを狙いながらのコビン攻め」【美濃囲いの崩し方 vol.5】

前回は、角と桂を使って美濃囲いのコビンを攻める指し方をご紹介しました。今回もコビン攻めをご紹介していきます。まずは、第1図をご覧ください。

【第1図】

桂があれば、▲7四桂と打って王手で攻めることができるのは前回やりましたね。今回は先手の持ち駒は歩しかありません。これで本当に後手の片美濃を崩すことができるのか不安を覚える方もいるでしょう。それでは、角と歩を使った後手陣の崩し方を見ていきましょう。

まずは▲7四歩と、桂を使って攻めたときのように、7四へ歩を打ちます。ここまでのコラムを読まれてきた方には、ここで△7四同歩と取れないのはもう説明不要でしょう。

この手は特に王手ではないので、放っておかれたらどうすればいいでしょうか?その場合は▲7三歩成△同桂▲7四歩(第2図)としつこく7三の地点を攻めていきます

【第2図は▲7四歩まで】

この手に対しては、△6五桂とは逃げることはできませんね? さらに次は▲7三歩成△同銀▲7四歩と、角のラインを生かしてどんどん攻めていくことができます。後手も放置していると、歩で桂や銀を取って攻められてしまいますので、なにか受ける必要があります。

例えば、▲7四歩に△6三銀はどうでしょうか? ▲7三歩成△同桂の後、今度▲7四歩は6三に銀がいますので△同銀と取られてしまいます。しかし、今度は▲6四歩(第3図)と打つ手があります

【第3図は▲6四歩まで】

△6四同銀は、▲同角と4六の角で銀を取られてしまいますので、銀は逃げるしかありません。△7二銀や△5四銀では▲7四歩と打たれ、△6五桂に▲6三歩成が4六角の利きが通って王手となって後手陣は崩壊します。よって△7四銀と逃げるしかないですが、▲7五歩が厳しい追撃で、△同銀、△8五銀、△6五銀のいずれも、▲6三歩成とと金を作って攻めが成功します。

それでは、第1図からの▲7四歩に△9二玉はどうでしょう?▲7三歩成△同銀▲7四歩は、△同銀や△8四銀なら▲8二歩と打って成功ですが、△8二銀と引かれると次の攻めがありません。また、▲7三歩成△同銀に▲同角成△同桂▲7四歩と強攻するのは、とても鋭い踏み込みで有力です。△6五桂と逃げる手には、▲7三歩成と玉のそばにと金ができて、こうなれば大成功です。しかし、△6五桂でなく、△7二歩と受けられると▲7三歩成△同歩で、角と銀桂の二枚換えとなって駒割り的には先手が得をしていますが、攻めの要の4六角を失ったことも大きく、成功と言えるかは微妙なところです。

▲7三歩成以外の攻めはまったく思いつかないかもしれませんが、△9二玉には▲8二歩(第4図)が玉を8二に呼び戻す好手です。

【第4図は8二歩まで】

放置するのは▲8一歩成△同玉▲7三歩成でひどいことになるので、△8二同玉ですが、そこで▲7三歩成△同桂▲7四歩とすれば、第2図と比べると一歩は犠牲にしましたが、同じ形になって歩で駒を取りながら攻める形にすることができます。

さて、最後に第5図をご覧ください。

【第5図】

ここで▲5五角と銀取りに打ち、△3三銀に▲7四歩と攻めるのは、△4四銀▲7三歩成△同銀▲4六角△7四歩でたいしたことがありません。

ここは、先に▲7四歩と打つのが正しい攻め方で、△同歩には▲5五角で王手銀取りになりますし、△3三銀には▲7三歩成△同銀と、持ち角を温存して美濃囲いの形を崩すことができます。

このように一気に決まらない場合もありますが、角を手持ちにした場合、王手○○取りを狙いながらのコビン攻めで、美濃囲いの形を乱すこともできます。実戦でも出てきやすい筋なので、覚えておくと非常に役立つと思います。

コビン攻めはいったんここまでで、次回からは端攻めのご紹介に移ります。

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