銀がなくても「7一」から美濃囲いは攻略できる!「6二歩」で攻める方法とは?【美濃囲いの崩し方 vol.3】

さて、前回に引き続き美濃囲いに対する、7一の地点を狙っていく攻めを、今回もご紹介していきます。まずは第1図です。

【第1図】

銀があれば、前回のコラムでご紹介したように、▲7一銀と打って後手玉を寄せることができますが、あいにく先手の持ち駒には、歩しかありません。さて、この場合はどう攻めていけばよいでしょうか?

まず、第1図から▲5三歩と打って、次に▲5二歩成△同金▲7一竜を狙う順を思いついた方は非常に鋭いです。しかし、△5一歩と受けられると、▲5二歩成としても△同歩や△同金で続く手段がなく、攻めが止まってしまいます。

それではもうひとつ上に▲5二歩はどうでしょうか?△同金には▲7一竜があるためこの歩は取れず、今度後手は歩を受けるスペースがないので、次の▲5一歩成を受けることができません。これは非常に有力な攻めです。もちろんこの攻めでもよいのですが、さらにこの攻めのスピードを上回る厳しい攻めがありました。▲6二歩(第2図)です。

【第2図は▲6二歩まで】

△6二同金はもちろん▲同角成で金が取れるので論外ですし、△5二金とかわしても▲6一歩成と手順にと金を作って、次の▲7一角成や▲6二とが、非常に厳しい攻めとなります。そこで、後手は△7一金とかわしてきます。

第1図の状態では、7一への利きが先手が2一竜と4四角、後手が6一金と8二玉と2対2の状態でした。そこから後手の6一の金が7一へ移動しましたが、今度は先手が打ったばかりの6二歩がジャマになって、7一への利きが先手が2一竜、後手が8二玉と1対1の状態になり、これじゃ破れないじゃないの?と疑問に思われる方が多数いらっしゃることでしょう。しかし大丈夫です。ここから構わず、▲7一同竜!と金を取ってしまいます。そして△同玉に、▲6一歩成(第3図)が必殺の寄せになります。

【第3図は▲6一歩成まで】

第3図から△6一同銀は4四の角で7一の玉が取られてしまいますので、①△6一同玉か②△8二玉しかありません。①△6一同玉には▲6二金までの詰みですし、②△8二玉にも▲7一角成△9二玉▲8二金までの詰みで、後手玉を寄せきることができました。

第3図の▲6一歩成のような状態は、6一とと、4四角の2つの駒で7一玉に王手を掛けており、これを「両王手」と言います。両王手は、合駒ができない(第3図で△6二飛と打っても▲7一とで玉を取られてしまう)とても強力な王手で、第3図では後手は玉を逃げるか、6一のとを取るかの2通りに応手を狭めています。

次は第4図です。

【第4図】

ここで、第2図の形を目指して▲5三角と打つのは、△5一歩と受けられると、以下▲6二歩と打っても△5二金とかわされて攻めは失敗に終わります。また、▲5二歩は確実な攻めですが、ややスピード感に欠けてしまいます。ここは、先に▲6二歩と打つのが正しい攻め方です。△6二同金や△5二金は▲7一角と打たれてしまうので、△7一金と逃げるよりありません。

そこで▲5三角(第5図)と打てば、次に▲7一竜△同玉▲6一歩成と第3図と同じ攻めが狙え、金が7一へ移動してしまった後手は、今度△5一歩と打っても▲同竜で2一竜の利きを止めることができません。△9四歩と逃げ道を開けても、▲7一竜がやはり厳しく、△同玉▲6一歩成△8二玉▲7一角成△9二玉に▲7二馬と銀を取った手が、▲8二金△9三玉▲8三金までの詰めろとなって、後手は受けに窮することとなります。

【第5図は▲5三角まで】

以上が、7一を狙う基本的な攻め筋となります。まだまだいろいろな攻め方がありますが、いったんは7一を狙う攻めのご紹介はここで終了させていただきます。

次回からは、美濃囲いに対するコビン攻めを紹介させていただきます。

おすすめの記事

棋士・棋戦

2024.01.16

里見、2年連続の挑戦を跳ね返す