王座戦一次予選で魅せた、藤倉五段の戦法。角を守りに利かす指し回しがすごい・・・【これがプロの技!】

このコーナーではプロの対局から参考になる手筋や妙手などを紹介していきます。今回は2016年9月21日に指された王座戦一次予選の▲藤倉勇樹五段-△大平武洋六段戦を紹介します。

大平六段は2016年10月に新著『これだけで勝てる 四間飛車のコツ』を刊行しました。大平六段は四段のころ振り飛車と居飛車を併用。しばらく居飛車党でしたが、昨年から時折振り飛車も指しています。藤倉五段も『よくわかる四間飛車』や『美濃囲いを極める77の手筋』といった著書がある振り飛車党です。上記の3冊は初段を目指す方におすすめの棋書です。

本局は藤倉五段の四間飛車に大平六段が右銀を繰り出す急戦で対抗しました。第1図は中盤戦です。

飯島栄治七段
「懐かしい形の急戦ですね。私も昔指していました。第1図は5二金を5一に引いた局面ですが、これは▲2四桂△同歩▲2三角△同玉▲4一竜の手筋を受けたものです。ただ、こう指すのでは後手大変です」

【第1図は48手目△5一金引まで】

図から藤倉五段が巧みな順で優位を広げます。実戦は▲5六歩△7五桂▲5七角△4九竜▲7五角△6九竜▲5五歩(第2図)と進みました。

【第2図は55手目▲5五歩まで】

▲5六歩に△4六銀は(1)▲4七歩△3五銀▲6四歩△同歩▲6三歩の垂れ歩や(2)▲6八角で先手十分です。後手は△7五桂と勝負しましたが、▲5七角から▲7五角が好手順でした。△4九竜に▲同銀だと△6七桂成▲同金△8九角(参考図)が嫌らしい攻めです。

【参考図は△8九角まで】

第2図は急所の金を取られて失敗したようですが、先手よしです。7五角が△3九角を防いでいるので先手玉は大丈夫。美濃囲いの弱点である3九に角を利かすのは攻防の急所です。第2図で7五にいる角が、仮に後手の角だとすると、その違いがよくわかるでしょう。▲5五歩のあとは▲2六桂から▲3四桂と舟囲い崩しの攻めで藤倉五段が制しました。

藤倉五段の角を守りに利かす指し回しが参考になる一局でした。

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