服部が2度目の新人王に 10月下旬の注目対局を格言で振り返る

服部が2度目の新人王に 10月下旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2024年11月07日

 竜王戦は挑戦者が練った作戦を披露し、白熱したシリーズになっています。新人王戦では服部六段が2度目の優勝を飾りました。

第37期竜王戦七番勝負第2局

【第1図は△5二歩まで】

 第1図は第37期竜王戦七番勝負第2局(▲佐々木勇気八段△藤井聡太竜王)。先手の矢倉に後手は急戦模様から、互いにバランスよく構えました。難解な中盤から先手が抜け出して、ここははっきり先手が勝勢です。▲5三銀は「寄せは俗手で」の決め手。先手は銀を渡してもまだ詰まないため、これで後手は受けがありません。実戦もこの手を見て後手の投了となっています。佐々木八段はタイトル戦初勝利です。

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写真:紋蛇

第37期竜王戦七番勝負第3局

【第2図は▲9三歩まで】

 第2図は竜王戦第3局(▲藤井竜王△佐々木八段)。序盤に端の駆け引きがあり、佐々木八段が意表の角交換振り飛車を採用しました。△6三馬が「馬は自陣に引け」の手厚い指し回しで、後手陣は強大な厚みとなりました。後手が十分な戦いでしたが、藤井竜王は猛攻で厚みを崩し、難戦を制して2勝1敗としています。

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写真:飛龍

リコー杯第14期女流王座戦五番勝負第1局

【第3図は△7六玉まで】

 第3図はリコー杯第14期女流王座戦五番勝負第1局(▲福間香奈女流王座△西山朋佳女流三冠)。角交換型の相振り飛車から、先手がうまく攻めてペースをつかみ、勝勢となりました。▲7八銀が「玉は包むように寄せよ」の決め手で、上下の挟撃で後手玉は受けなしです。

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写真:玉響

第55期新人王戦決勝三番勝負第2局

【第4図は▲6七桂まで】

 第4図は第55期新人王戦決勝三番勝負第2局(▲高田明浩五段△服部慎一郎六段)。直前に千日手筋があり、先手が打開をしたものの、裏目に出て後手がチャンスを迎えています。7五の金は助かりませんが、△8六金▲同金△7四桂が「要の金を狙え」の攻めで、この金をはがせば先手玉は心もとない形です。以下▲8七歩△8六桂▲同歩に△9六歩▲同香△8五桂▲同歩△8六銀と上から押さえて、厳しい寄せを続けた後手が押し切っています。服部六段は2連勝で、2年ぶり2回目の新人王です。

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写真:武蔵

第2回達人戦立川立飛杯予選

【第5図は△4三銀まで】

 第5図は第2回達人戦立川立飛杯予選(▲行方尚史九段△郷田真隆九段)。局面は終盤で、角を逃げている時代ではありません。▲4三同角成△同金▲5二銀が「終盤は駒の損得より速度」で、2筋が壁の後手は受けが難しくなっています。以下△3三金▲3四歩△3二金に▲5五銀打と押しつぶしにいって、先手の厳しい攻めが続きます。今期から新参加の行方九段が予選通過を決めました。

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写真:康太

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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