竜王戦七番勝負が開幕 10月上旬の注目対局を格言で振り返る

竜王戦七番勝負が開幕 10月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2024年10月21日

 竜王戦七番勝負は開幕から力のこもったねじり合いとなりましたが、竜王が貫録を見せています。白玲戦七番勝負も2勝2敗となり、今年も一進一退の戦いとなっています。

第37期竜王戦七番勝負第1局

【第1図は▲4九玉まで】

 第1図は第37期竜王戦七番勝負第1局(▲藤井聡太竜王△佐々木勇気八段)。長い中盤戦から先手が抜け出した終盤戦です。苦しい後手ですが、△2五桂が勝負手。先手からは▲2五桂が厳しいため、「敵の打ちたいところへ打て」で消した意味もあります。しかし▲1七桂が切り返しの好手で、先手の勝ちは動きません。

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写真:琵琶

ヒューリック杯第4期白玲戦七番勝負第4局

【第2図は△9三玉まで】

 第2図はヒューリック杯第4期白玲戦七番勝負第4局(▲西山朋佳白玲△福間香奈女流五冠)。後手の押している将棋でしたが、先手が粘り強い指し回しで逆転に成功しました。先手玉は角や銀を渡さなければ大丈夫。▲9五歩が「端玉には端歩」の厳しい寄せで、後手玉への詰めろが途切れない形になりました。

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写真:潤

霧島酒造杯第46期女流王将戦三番勝負第1局

【第3図は▲8四歩まで】

 第3図は霧島酒造杯第46期女流王将戦三番勝負第1局(▲西山朋佳女流王将△福間香奈女流五冠)。王手に対して逃げ場所は4つありますが、△7四玉が「中段玉寄せにくし」です。攻め駒に近付くようですが、桂頭の玉と同様に、頭の丸い角の前は安全です。これで後手玉は寄らず、以下は勝ち切っています。なお、第2局は挑戦者の体調不良による不戦敗となり、1勝1敗となっています。

第14期加古川青流戦決勝三番勝負第2局

【第4図は▲7九玉まで】

 第4図は第14期加古川青流戦決勝三番勝負第2局(▲上野裕寿四段△岡部怜央四段)。第1局は千日手となり、指し直しを逆転で上野四段が制して迎えた第2局。△6九銀が「要の金を狙え」の厳しい一手。▲同玉ならもちろん△4七角の王手飛車取りがあります。実戦は▲5二歩成△同金▲7二角と開き直りました。後手に分のある終盤戦でしたが、第1局に続き上野四段が逆転勝ち。加古川出身の上野四段が2連勝で初優勝を果たしました。

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写真:飛龍

第55期新人王戦決勝三番勝負第1局

【第5図は▲3七銀まで】

 第5図は第55期新人王戦決勝三番勝負第1局(▲服部慎一郎六段△高田明浩五段)。△1九馬と香を取りながら銀に当てる手も見えますが、馬の働きが悪くなります。△5四馬が「馬は自陣に引け」の手厚い好手。攻防によく利く位置です。後手に分のある終盤戦でしたが、最後に詰みを逃して先手の逆転勝ちとなっています。

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写真:虹

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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