福間、クイーン清麗に　～大成建設杯清麗戦振り返り～

　福間香奈清麗に加藤桃子女流四段が挑戦した第６期清麗戦五番勝負。清麗戦では第３期、第４期に続いて３度目の顔合わせだ。

大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第1局

　第１局は東京都港区「The Okura Tokyo」にて。先手中飛車から銀対抗の形はこのカードでおなじみの戦型だ。難解な中盤から激しく切り合う終盤戦に突入した。

【第1図は△7六角まで】

　ここで▲３三歩が手筋の一着。対しては△同金もあったが、実戦は△同桂に▲２二銀が実践的な好手。そこでも△３一金なら残していたが、△４九角成▲２一飛△３一香としたため、▲４九銀が詰めろになって先手の勝ち筋に入った。加藤にもチャンスの多い将棋だったが、福間が競り勝って先勝。

写真：生姜

大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第2局

　第２局は愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」にて。第２局も福間の中飛車。加藤の急戦に対して△３二金型で迎え撃った。駒の働きで差を付けてペースをつかむ。

【第2図は△6一飛まで】

　竜を取る前に▲６四桂が鋭い。△同玉ならそこで▲６八金から▲６五飛が厳しい。△６二金とかわしたが大きな利かしで、▲６八金△同銀不成▲６五金と押さえて、△７七銀不成の余裕を与えずに寄せ切った。加藤が追い付いて１勝１敗に。

写真：牛蒡

大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第3局

　第３局は栃木県日光市「日光金谷ホテル」にて。第１局同様に中飛車から銀対抗の形に進んだ。福間のペースで戦いが進み、終盤戦に突入した。

【第3図は△4六同銀不成まで】

　先手玉は露出して危険な形だが、桂を渡さなければすぐに寄る心配はない。▲５三歩△同金▲４二歩が駒を渡さずに後手玉に迫るうまい攻め。△同飛なら▲５一銀のように迫れば良い。△４五桂は攻防だが、▲４一歩成が厳しく、△４四銀に▲４二角と張り付いて後手玉は楽にならない。的確に寄せ切って福間が２勝目をあげた。

写真：八雲

大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第4局

　第４局は大阪府大阪市「関西将棋会館」にて。先後は逆だが、本局も中飛車から銀対抗の形に。揺さぶりにうまく対応して振り飛車ペースの戦いとなった。

【第4図は▲4五桂まで】

　部分的には厳しい両取りだが、後手玉は深い。△４七成銀が強手で、▲３三桂成△２八飛▲３二飛△５八成銀▲５九歩△６九成銀▲同玉△８八金として、たちまち先手玉は受けの難しい形になった。以下は加藤も徹底抗戦するものの届かず、福間が押し切った。

写真：翔

　これで福間は３勝１敗で防衛を果たした。女流五冠を堅持し、通算５期目の清麗獲得。清麗戦では初のクイーン資格保持者となった。６期中５期の獲得は見事と言うよりない。

注目対局プレイバック

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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