幼いころの夢がついに実現!霧島酒造杯女流王将戦三番勝負展望

幼いころの夢がついに実現!霧島酒造杯女流王将戦三番勝負展望

ライター: 相崎修司  更新: 2020年10月02日

 10月3日(土)に第42期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負が開幕する。開幕戦の舞台は、第22期の番勝負から恒例となっている、宮崎県都城市の霧島創業記念館「吉助」。協賛している霧島酒造の創業時の社屋を移築したもので、霧島酒造の創業者である江夏吉助氏の名前に由来する。

*霧島酒造株式会社

挑戦者 室谷由紀女流三段

 今期の三番勝負は西山朋佳女流王将に室谷由紀女流三段が挑戦。前期に里見香奈女流四冠から女流王将のタイトルを奪った西山にとっては初の防衛戦となる。そして室谷にとっては初の女流王将挑戦だ。

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撮影:独楽

 今期の室谷は予選では小高佐季子女流1級と加藤結李愛女流初段を破り本戦進出。本戦では藤井奈々女流初段、山根ことみ女流二段、伊藤沙恵女流三段を連破し挑戦者決定戦へ進出した。

 挑戦者決定戦の相手は里見女流四冠。言うまでもない強敵であることに加えて、室谷はこれまで4回の女流タイトル挑戦があるが、そのうち3回は里見に名を成さしめている。悲願の初戴冠には、越えなければいけない壁だ。

 挑戦者決定戦は相振り飛車となったが、中盤で戦機をつかんだ室谷が徐々にリードを広げていく。

【第1図は▲2八玉まで】

最終盤の第1図。室谷玉も相当に危ない形だが、自玉の安全度を見切って△2一香と詰めろをかけ、後手の勝ちが決まった。以下▲8三歩成△同銀▲同飛成△同玉▲7四銀△8四玉(他の応手は詰み)▲8五金△9三玉▲9五香△8二玉(△9四合駒は▲同金から詰み)と、最後の追い込みを振り切って、室谷が挑戦権を獲得した。

迎え撃つ 西山朋佳女流王将

 対する西山女流王将。前期の奪取で、女王に合わせての女流二冠となり、さらにはリコー杯女流王座戦でも里見を破って三冠目を獲得。年が変わってからは女王の防衛に加えて、参加している男性棋戦でも竜王戦6組ベスト4をはじめとして、各棋戦で勝ち上がっている。

【第2図は△7一桂まで】

 第2図は奪取を決めた前期の第3局。すでに先手の西山が優勢な局面だが、ここからの手順が注目だ。

 西山は▲7六桂と打った。一見そっぽのようだが、△7三馬引に▲7四歩△同馬▲6四香まで進むと狙いがわかる。6二の馬がいなくなれば▲7一竜と竜を活用できる。里見はやむなく△6四同馬と取ったが、▲同桂の局面は先手が角を丸得している。こうなってはいかに里見と言えども指しようがない。

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撮影:日本将棋連盟

 さて、今回の西山―室谷戦だ。過去の対戦成績は女流棋戦で室谷が2勝しているが、男性棋戦の新人王戦でも両者の対戦があり、こちらは西山が勝っている。戦型はいずれも相振り飛車で、今回の三番勝負でもそうなる可能性が極めて高いだろう。

 実は両者ともに、大阪府大阪狭山市の出身。出身が同じ都道府県の棋士同士によるタイトル戦は戦後すぐの第6期名人戦、木村義雄―塚田正夫(両者ともに東京都出身)を皮切りに、いくつかの例があるが、出身が市単位まで同一である棋士2名で行われるタイトル戦は昨年の第4期叡王戦、高見泰地叡王―永瀬拓矢七段(両者とも横浜市出身)以来、史上2例目となる。

 「小さい頃『いつかタイトル戦で指したいね』と話していましたが、実現して嬉しいですし、盤を挟めるのが今から本当に楽しみです」とは挑戦を決めた直後に室谷が自身のツィッターに投稿した一文だ。

 対局者が楽しみにしているタイトル戦を、ファンの方々も是非とも楽しみながらご観戦いただきたい。

第42期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負の模様は【将棋プレミアム】【囲碁・将棋チャンネル】にて放送される

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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