羽生善治九段VS藤井聡太七段、ドリームマッチが実現!~予選Dリーグ2回戦・チーム永瀬VSAbemaドリームチーム振り返り~

羽生善治九段VS藤井聡太七段、ドリームマッチが実現!~予選Dリーグ2回戦・チーム永瀬VSAbemaドリームチーム振り返り~

ライター: 相崎修司  更新: 2020年06月25日

*前回の記事:予選Dリーグ2回戦・チーム永瀬VSAbemaドリームチーム 事前特集

 6月21日に放映された第3回AbemaTVトーナメントの予選Dリーグ2回戦、チーム永瀬対Abemaドリームチームの団体戦の模様をお送りする。先鋒、中堅、大将は以下の通り。

先鋒戦 増田康宏六段―鈴木大介九段
中堅戦 永瀬拓矢二冠―三枚堂達也七段
大将戦 藤井聡太七段―羽生善治九段

【先鋒戦】増田六段VS鈴木九段

 振り駒の結果、先鋒戦の第1局は増田の先手に。鈴木の四間飛車に対して、増田は居飛車穴熊に潜る。予選1回戦で黒沢怜生六段との熱戦を3局指しており、終局時はさすがに疲れていたそうだが「バナナを食べて復活」と。さすがチームバナナの一員である。

【第1図は△5四金まで】

 第1図からの▲7五歩が見た目以上にきつい。以下△3五飛▲7四歩△3八飛成▲4八飛△3九竜▲7三歩成△同角の進行は、桂損とはいえ竜を作っているので後手もやれそうだが、ここから▲7四歩△3七角成と角を追ってからの▲4四角△同金▲5三桂不成で先手の攻めが決まった。金の両取りになっており、後手は収拾困難である。

「うまく攻めをつなげて勝てたので流れに乗れた気がする」という増田は続く第2局で、今度は鈴木の振り飛車穴熊を端攻めから粉砕。2連勝でチームのポイントをプラスマイナス0まで戻した。

 局後の鈴木に感想を求めると「穴熊はずるい。あっ、自分もやったのか」とジョークを飛ばしたのちに「昭和の早指しとは似て非なるもので、自らの方針を一貫させるのが大事」とフィッシャールールの対局について語った。

【中堅戦】永瀬二冠VS三枚堂七段

 中堅戦の永瀬―三枚堂戦。第1局は三枚堂の先手で角換わりとなり、162手の熱戦を永瀬が制する。「永瀬二冠が用意してきたであろう序盤の研究に対応するため、時間を使い過ぎて終盤に響いた」と三枚堂は振り返った。

 第2局は永瀬の先手矢倉対、三枚堂の雁木という形になった。

【第2図は△5五角まで】

 第2図からの▲5一銀△3一玉▲2二歩△2三歩▲2一歩成という進行について「必勝と思った」と永瀬。だが直後に読み抜けがあったようで形勢混沌。最後は三枚堂が抜け出した。羽生は「すごい攻防だ」。鈴木は「私は感動しました」とチームメイトを称えた。


Abemaドリームチームの控室の様子

 第3局も相居飛車の熱戦となったが、最後は永瀬が自玉の入玉を確定させる形で勝利し、1回戦に続いての2勝1敗でチームに貢献、リーダーとしての責務を果たした。「フィッシャールールは苦手だと思うが、以前よりは強くなっていると思う。小細工が通用せず、自分の技量、最終盤の決定力がものを言う将棋」と感想を述べた。

【大将戦】藤井七段VS羽生九段


大将戦 藤井聡太七段VS羽生善治九段

 ドリームマッチの実現となった大将戦。第1局は羽生の先手で角換わりに。

【第3図は△8七同飛成まで】

 第3図はその最終盤で、先手玉は既に受けがなく、後手玉が詰むかどうかの勝負だ。羽生は▲2一馬△同玉▲3二桂成△同玉▲4四桂△4二玉▲4一金△同玉▲6三角と迫るが、△4二玉▲3二金△4三玉▲5二銀△4四玉と進んで後手玉の逃げ切りが濃厚となった。以下は▲4六香△4五歩▲同角成△同銀▲同香△同玉まで、藤井の勝ち。

 手順中の▲4四桂に△4二玉以外だとトン死するし、また▲4一金に△4三玉も詰み。そして▲5二銀に△同金も▲同角成から捕まる。危ない筋だらけで、「詰まないのか~」と作戦部屋の鈴木九段は嘆息した。

 細い綱を見事に渡り切った藤井は続く第2局にも勝ち、自身の予選成績を2勝2敗のタイに戻した。「1回戦の経験を生かして、時間をうまく配分できた」と振り返る。

 予選D組は2回戦を終えて、チーム永瀬がプラス3ポイントで予選通過を確定させる。対するAbemaドリームチームはマイナス5ポイントと苦しいスタート。最終3回戦での対チーム広瀬戦に大逆転の望みをかける。

 予選Dリーグ3回戦は放映が土曜日に戻り、6月27日(土)に放映が予定されている。どうぞお楽しみに。


予選通過を決めたチーム永瀬(左から増田康宏六段、永瀬拓矢二冠、藤井聡太七段)

■ABEMAプレミアムで公開中 予選の動画一覧はこちら>>

予選Aリーグ:
予選Aリーグ第一試合<チーム豊島 VS チーム久保>
予選Aリーグ第二試合<チーム豊島 VS チーム三浦>
予選Aリーグ第三試合<チーム久保 VS チーム三浦>

予選Bリーグ:
予選Bリーグ 第一試合<チーム天彦 VS チーム稲葉>
予選Bリーグ 第二試合<チーム渡辺 VS チーム天彦>
予選Bリーグ 第三試合<チーム渡辺 VS チーム稲葉>

予選Cリーグ:
予選Cリーグ 第一試合<チーム康光 VS チーム糸谷>
予選Cリーグ 第二試合<チーム木村 VS チーム糸谷>
予選Cリーグ 第三試合<チーム康光 VS チーム木村>

予選Dリーグ:
予選Dリーグ第一試合<チーム永瀬 VS チーム広瀬>
予選Dリーグ第二試合<チーム永瀬 VS Abemaドリームチーム>

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AbemaTVトーナメント

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2024年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、棋王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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