棋聖戦に藤井七段登場、タイトル戦が目白押しな6月上旬の注目対局を格言で振り返る

棋聖戦に藤井七段登場、タイトル戦が目白押しな6月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2020年06月23日

 いよいよ名人戦、棋聖戦、女流王位戦と注目のシリーズが始まりました。マイナビ女子オープンは西山朋佳女王がフルセットの末に防衛を果たしています。

第78期名人戦七番勝負第1局

【第1図は△1二玉まで】

第1図は第78期名人戦七番勝負第1局(▲豊島将之名人△渡辺明三冠)。渡辺三冠がついに名人戦に登場です。角換わり腰掛け銀から激戦の終盤、ここで▲1五歩が「端玉には端歩」です。取るのは危険と見て△2五銀打としのぎに掛かり、▲4二と△3四銀▲3二と△同飛▲1四歩△2二玉と進み、難解な終盤戦が続きました。最後は一気の寄せを見せた渡辺三冠が先勝しています。

第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局

【第2図は△1四同竜まで】

第2図は第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局(▲藤井聡太七段△渡辺明棋聖)。史上最年少のタイトル挑戦として、社会的にも大きな注目を集める、藤井七段の初陣です。相矢倉から激戦の終盤戦、▲2二銀が「玉の腹から銀を打て」の寄せ。△1三歩なら▲3三銀成△2一香▲1五歩があります。実戦は△7九角から王手ラッシュが続きましたが、藤井七段がかわしきってタイトル戦初勝利をあげました。

第13期マイナビ女子オープン五番勝負第5局

【第3図は△3三同桂まで】

第3図は第13期マイナビ女子オープン五番勝負第5局(▲西山朋佳女王△加藤桃子女流三段)。中飛車対居飛車穴熊の終盤戦で、駒得の先手が優勢です。ここで▲6六角が好打。△2六金には飛車に目もくれず▲4五桂で「角筋は受けにくし」です。以下△4四歩▲同角△2二角に▲3三桂成△同金▲2三歩から寄せきって、西山女王が3勝2敗で防衛となりました。

第31期女流王位戦五番勝負第1局

【第4図は△9九とまで】

第4図は第31期女流王位戦五番勝負第1局(▲里見香奈女流王位△加藤桃子女流三段)。中飛車対居飛車穴熊となり、端でポイントをあげた先手が優勢になりました。図で▲2五銀が「桂頭の銀定跡なり」の手堅い受け。△1六香▲同銀△3六桂の勝負手にも▲2七金打と投入し、絶対に負けない姿勢で勝ちきりました

第31期女流王位戦五番勝負第2局

【第5図は▲7四桂まで】

第5図は女流王位戦の第2局(▲加藤女流三段△里見女流王位)。第1局と同じ戦型となり、こちらも振り飛車がリードしました。▲7四桂の王手には△同銀でも良いですが、△7三玉が「桂頭の玉寄せにくし」です。先手は銀も角も持っていないので、これで効果的な攻めがありません。以下▲2四馬に△5二飛と冷静に対応し後手勝勢です。

第2期ヒューリック杯清麗戦挑戦者決定戦

【第6図は▲7一飛まで】

第6図は第2期ヒューリック杯清麗戦挑戦者決定戦(▲伊藤沙恵女流三段△上田初美女流四段)。後手リードの終盤戦ですが、▲5二桂成に対する受けが必要な局面です。△4二金引が「金は引く手に好手あり」で、後手陣が引き締まりました。以下▲6三歩△6一歩▲5二桂成△同金寄で堅陣を維持しています。リードを守りきった上田女流四段が里見清麗への挑戦権を獲得しました。

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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